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2020-02-19 サステナビリティ
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島根県出雲市で地元のIT企業が連携して、小学校にプログラミング出前授業を開始

~NSSOLがK3Tunnelで地方創生をバックアップ~

左:小村淳浩さん(株式会社イーグリッド※1 代表取締役社長)右:吉山雄さん(NSSOL流通・サービスソリューション事業部)

2020年小学校でプログラミング学習が必修化される。教育の現場ではどのように取り組むべきか、といった不安や戸惑いが残っている。そうした中、島根県出雲市では地元のIT企業の集合組織である「チーム出雲オープンビジネス協議会(以下チーム出雲)」が市内の小学校にプログラミングの出前授業を開始する。

NSSOLはこの活動の立ち上げに協力するとともに、チーム出雲と提携してNSSOLが開発したプログラミング学習ツール「K3Tunnel/ケイサントンネル」を提供している。

この活動の中心メンバーがチーム出雲の理事であり、株式会社イーグリッドの代表取締役社長でもある小村淳浩さんだ。小村さんに、地元出雲の小学校への出前授業に込める思いを、地方の現状と共に語ってもらった。

(インタビュアー:NSSOL流通・サービスソリューション事業部 吉山雄さん)

イーグリッドはNSSOLの大切なニアショアパートナー

―― NSSOLとイーグリッドの関係は?

吉山:私が担当するあるプロジェクトで、プログラミング言語の「Ruby(ルビー)」の技術者が必要になりました。現在、首都圏ではスタートアップ企業が活況で、そうした企業はスピーディな開発が可能なRubyを採用するケースが多くなっています。そのためRubyの技術者が不足していて、島根県はRuby発祥の地で県をあげてIT産業振興に取り組んでいるのできっと技術者がいるだろうと思ってWebで検索して一番上に表示されたイーグリッドさんに問い合わせました。

小村:そうでしたね。そういった問い合わせはたくさんいただくのですが、実はほとんどお応えしていないんです。

吉山:そうなんですか。なぜ当社にはお応えをいただけたのでしょうか。

小村:NSSOLさんのことは以前から知っていましたし、その頃ちょうど当社の事業転換期でもあったので将来を見据えたときにNSSOLさんのような会社とお付き合いできたらいいなと思って飛びつきました(笑)

吉山:そうでしたか。イーグリッドさんには本当に前向きに仕事をしていただいてお客様からの評価も高いです。今では当社にとって大切なニアショアパートナーです。

小村:ありがとうございます。

地方創生のためには地元の民間企業が元気に活躍すること

吉山:小村さんは出雲ご出身ですよね?

小村:そうです。出雲大社の近くで育ちました。高校まで出雲で過ごし大学で東京に出てそのまま通信メーカーに就職しSEをしていました。

吉山:出雲に戻ってきたかったのですか?

小村:実はあまり戻ることは考えていませんでした(笑)。出雲に父の会社があっていずれは継ぐのかなとぼんやりと思っていたのですが、東京での仕事が楽しすぎてあっという間に10年くらい経ってしまって。結局、勢いで帰ってきたみたいな形で戻ってきました(笑)

吉山:お父様の会社はIT関連ですか?

小村:いいえ、別の業種です。出雲に戻ってきてすぐは父の会社で働いていましたが、それまでずっとITの仕事にかかわってきたので、だんだんうずうずしてきて1年もたたないうちにITの会社を立ち上げてしまいました。

吉山:小村さんにとって出雲はどういうところだと感じていますか?

小村:これは東京から戻ってきてから特に感じることなのですが、地元のために活動している人が多いなと思います。あと人とのつながりが強いです。特に出雲で事業をしている人たちは横の関係が深いので毎週のように会合がありますし、運動会や清掃など地域の活動も盛んです。もてなしもすごくて、東京から人が来てくれたりしたら、しつこいくらいにもてなしますしね(笑)

吉山:それは感じます。「ご縁の町」なのでご縁を大切にしている人たちが多いんだなあと出雲に来るたびに思います。そんな出雲でも高齢化や人口減少といった問題はありますか?

小村:島根県は全国でも高齢化率は高い方です。出雲も例外ではありません。高齢化が進む要因でもありますが、例えば地元の大学の卒業生の大半が大都市圏に就職するなど、若い人たちの地元離れが深刻です。

吉山:それは就職先がないということでしょうか。

小村:まず地元の企業を知らないということが大きいと思います。それに比べて大都市圏の上場企業の情報はたくさんあります。若い人にとっては「これをやりたい」という思いを持って就職するケースよりは、「聞いたことのある会社だ」ということで就職することの方が多いように思います。これに対して行政側も対策を考えていますが、私は地元の民間企業がもっと元気に活躍して伸びていくことがなによりの対策だと考えています。

小学校で授業をする意義は、世の中にある職業を知ってもらうこと

吉山:チーム出雲さんは地域貢献活動としてプログラミングを若い人に教えていますね。

小村:はい。チーム出雲としてはロボットコンテストに出場する専門学校生を支援していて当社の社員もその活動に参加しています。また当社の独自の活動では大学生を集めてプログラミング学習の合宿をしたり、高校生をインターンで受け入れたりしています。県の後押しもあって商業高校は結構Rubyの学習を頑張っているんですよ。

吉山:若い人と企業の間にそういう接点があると、地元企業の認知度が高まりますし優秀な人材を採用できますね。

小村:そう思っています。

吉山:小学校では2020年度からプログラミング学習が必修化されます。これをきっかけに小村さんは小学校に出前授業をしたいという思いも持っていらしたのですよね。

小村:小学校の出前授業はチーム出雲で何かできないかと模索していたのですが、いい教材を見つけられなくて、でも私たちが教材をゼロから作り上げるのは難しいと思って諦めかけていました。そんなところに吉山さんからK3Tunnelを紹介していただいてありがたかったです。

吉山:イーグリッドさんには開発センターを新設するなど当社の案件のために寄与いただいています。その背景に島根県や出雲市のバックアップがありましたので、当社ができるところでみなさんに何か恩返しができたらという思いがありました。

小村:K3Tunnelは問題解決型であることが特徴ですよね。小学校向けのプログラミングツールではロボットを動かしたりキャラクターを動かしたりするツールが多いですが、これはシステムインテグレータだからこそ開発できたツールだと感心しました。

吉山:そうですね。まさに我々がお客様のシステムを開発するときと同じような考え方を子どもたちが体験できるようになっています。

小村:私は小学校で授業をする意義としては、世の中にある職業を知ってもらうことかなと思っています。それはなぜかというと、これは地方特有のことなのかもしれませんが、大学生と話をしていても、職業として世の中にどんな業種があってそこにどんな企業があるのかをほとんど知らないんですよね。だったらもっと小さい頃から、建設業だったらこういう仕事、IT企業だったらこういう仕事、というようにある程度世の中の職業というものをイメージできる機会を与えてあげることが必要なのではないかと、そうずっと思っていました。K3Tunnelはそれに繋がるひとつのツールなのかなと思っています。

吉山:同感です。私も地方出身者ですので、小学生の時にK3Tunnelに出会っていたらもう少し人生が変わっていたかもしれないと思っています。ビジネスって結局はどのような場面であっても「問題を解くこと」なんですよね。そういう経験を小さいうちからできるといいのですが、地方だととても難しいと思います。私もそういう機会を地方の子どもたちに届けられたらいいなと常に思っていて、それでK3Tunnelをご紹介しました。

小村:吉山さんには出雲市の教育委員会にも同行していただいたり、K3Tunnelの資料を出雲市内の小学校分送っていただいたり、多くのご協力をいただきました。おかげで遙堪(ようかん)小学校でパイロット授業を実現することができました。

出雲市立遙堪小学校でのプログラミング授業の様子(上下とも)

若いうちは東京や海外に出て行ってもいい。でもいずれは出雲で活躍してほしい。

吉山:遙堪小学校はみなさんにとって最初の出前授業になりますので、NSSOLメンバーがご支援させていただきました。次回からはチーム出雲が中心となって実施していくことになりますね。

小村:NSSOLさんの授業を拝見しましたが、初めてプログラミングを経験する子どもたちが多い中で、みんな楽しそうに興味を持って学習に取り組んでいる姿が印象的でした。それと最初に私たちが普段の仕事の内容をまじえながら自己紹介をしましたが、その時に子どもたちが「そんな仕事もあるんだ」と興味を持ってくれたように思います。

吉山:担任の先生も最後にそうおっしゃっていましたね。小村さんの考えていることが少し実現できた感じです。

小村:そうですね(笑)。でも、これから自分たちだけでうまく授業を進められるか不安もあります。

吉山:最初はそう思いますよね。

小村:ただ、基本的に私たちは教育者ではないので子どもたちが純粋に楽しんでくれるのが一番かなと思っています。K3Tunnelは普段学校の授業で接することがないような課題をプログラミングすることで解いていきますが、子どもたちにそういう機会を与えられるのは、単にプログラミングという観点だけでなく、今までの学校でうまく教育できてなかった部分をカバーすることでもあるのかなと思っています。私たちも学びながら進めていけたらいいなと思います。

吉山:K3Tunnelを学んだ子どもたちが出雲で活躍してくれるといいですね。

小村:そうですね。ただ私はちょっと考えが変わっているのかもしれませんが、若い人たちを出雲にとどめるのは無理だと思っているんです。それよりは、いろんなことに興味を持って東京や海外に出て行ってもいいと思っています。でも、いずれ帰ってくるとか、帰ってこないまでも地元に関与することで出雲のために活躍してくれればいいのかなと思っています。

吉山:なるほど。そうしてこの自然豊かで温かな人たちが住む出雲を守り続けてほしいですね。今日はありがとうございました。

※1
株式会社イーグリッド概要
所在地:島根県出雲市江田町40-1
事業内容:ソフトウェア開発・サービス/Webマーケティング
設立:2010年
資本金:4,000万円
従業員:40名
URL:https://www.e-grid.co.jp/

チーム出雲オープンビジネス協議会会長 北村功氏よりメッセージ

チーム出雲オープンビジネス協議会会長 北村功氏

私たちは地方ビジネスにおける喫緊の課題である人材不足を解消するために、参画企業で人的リソースを上手く活用し、企業・お客様全てがWin-Winの関係となることを目的に「チーム出雲オープンビジネス協議会」を発足しました。『IT技術の集積地 出雲』として、特定地域また特定技術に囚われない幅広く高い技術・品質を評価される団体、またそれにより地域が活性化することを目指しています。
私たちがこれから取り組む小学校へのプログラミング出前授業においては、地域の課題解決等を組み合わせることにより、今後を担う若年層視点から地域をしっかりと見つめ、考えることにより、地域の活性化・発展に繋がるよう推進していきます。
チーム出雲オープンビジネス協議会サイト

広報・IR室 エキスパート 奥村 康子

いよいよ小学校でプログラミング学習が始まります。当社ではK3Tunnelを地方でもご活用いただける支援をしていきたいと思っています。学校関係者はもちろん、地域貢献を考えてらっしゃるNPOや地元企業のみなさんからのご相談も承っています。「問い合わせフォーム」よりお気軽にお問い合わせください。

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