匿名加工のコンテストで第3位、再識別賞も受賞

新日鉄住金ソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:謝敷 宗敬、以下 NSSOL)の参加チーム『鋼鉄の錬金術師』が、第2回プライバシーワークショップ(主催:一般社団法人 情報処理学会/後援:個人情報保護委員会、2016年10月11日~13日 秋田キャッスルホテルにて開催)で実施された、個人情報を守る技術を競うコンテスト「PWS CUP(匿名加工・再識別コンテスト)」にて第3位および「再識別賞」を受賞しました。

2017年に施行予定の改正個人情報保護法にて「匿名加工情報」に関する条項が新設されたことを受けて、データ活用の現場では高度な匿名加工技術が求められるようになります。しかしながら、その具体的な加工方法についての標準的な定めはなく、安全性と有用性を両立した匿名加工を施すことは容易でないのが現状です。こうした背景を受けて、2015年に「匿名加工技術の開発と再識別に対する公平な安全性評価手法の確立」を目的とした PWS CUP(*1) が設立されました。

PWS CUP での具体的な流れは以下の様になります。

  1. 各参加チームは、個人情報を含む決められたデータに対して、個人を特定できない形に匿名加工を施し、匿名加工データとして提出
  2. 他チームの提出した匿名加工データに対して、それぞれ個人を特定する再識別攻撃を試行し、個人特定予想リストを提出
  3. 他チームからの再識別数が少なく(安全性が高く)、かつ分析に必要なデータ特性を残した(有用性が高い)匿名加工データを提出したチームが勝利

第2回目となる2016年のコンテストでは、購買履歴を用いた「マスターデータ+トランザクションデータ」の匿名加工・再識別に取り組みました。

匿名加工の難しさは、匿名性を高めることだけに注力した加工を行う(安全性を重視する)と、データ活用に必要な情報までも失われてしまう(有用性が低下する)ことにあります。我々のチームは、以前より取り組んでいる「データ分析技術」(*2)と「最適化技術」(*3)を活用し、安全かつ有用な匿名加工を実現しました。特に最適化技術の匿名加工への適用は有力で、有用性を目的関数、安全性を制約条件として、最適化エンジンを用いて求解することにより、有用性を維持しつつ再識別攻撃に強い安全な匿名加工を施すことが可能となります。

こうした取り組みの結果、匿名加工にて第3位、また最も強い匿名化データに対して、最も多くの再識別に成功し「再識別賞」も受賞しました。匿名加工での入賞と再識別賞受賞のダブル受賞は、参加チーム中唯一でした。今後もNSSOLでは、益々ニーズの高まるデータの有効活用に向けて、有用性と安全性を両立する技術により、お客様の安全なデータ活用に貢献してまいります。

以上