公式戦の試合日程自動作成システムを刷新改善サイクルの高速化で公平性を最大化

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)様

プロジェクト概要

背景

年間約1000に上る公式戦の試合日程自動作成システムを刷新して、処理時間を短縮する。複雑な条件設定を満たす日程を、限られた期間内に、高速な改善サイクルで調整し、対戦カードの公平性を最大化したいと考えた。

ソリューション

製鉄所の生産計画作成をはじめ、幅広い業種へ新日鉄住金ソリューションズが提供する最適化システムを導入する。高性能最適化エンジン「Gurobi Optimizer」を採用し、専用のカスタム数理モデルを作成して構築した。

成果

処理時間が最高で数百分の1に短縮され、より多くの改善サイクルを回すことで、これまで以上に公平な試合日程が作成できた。将来は、より多くの観客が試合に足を運べる日程作成がシステムで実現可能になると期待する。

  • 処理時間の短縮に向け、試合日程自動作成システムの刷新を検討

    プロサッカーを通じて日本のサッカーの水準向上や普及を図っている日本プロサッカーリーグ(以下、Jリーグ)。各クラブが公平に総当たりの試合を行うように、多数の条件設定を基に対戦カードを決めている。元日の天皇杯決勝のあとの約5日間で、1年間の全対戦カードを作成するため、同団体は「試合日程自動作成システム(通称、日程くん)」を構築・運用していたが、クラブ数や試合数の増加などに伴って処理時間がかかるようになり、きめ細かな条件設定を追加することが難しくなっていた。
    2014年は「J1」や「J2」などに加え、新設の「J3」を含めて1000以上の試合が見込まれ、システムのサポート期限も迫っていた。そこでJリーグは同システムを刷新し、より多くの条件設定を基に、これまで以上に公平な試合日程を作成可能にしたいと考えた。

  • Gurobi Optimizerを採用し、NSSOLが数理モデルを構築

    複数のITベンダーの提案を比較した結果、Jリーグは新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)をITパートナーに選択。2013年9月に構築プロジェクトをスタートする。
    NSSOLは製鉄業における鉄鋼生産計画作成を出発点として、輸送業やサービス業など幅広い領域に最適化システムを提供している。新しい試合日程自動作成システムにはその技術を適用し、最適化エンジンとして「Gurobi Optimizer」を採用。NSSOLが持つノウハウを活用して専用のカスタム数理モデルを構築した。
    さらにNSSOLは、Jリーグの要望をきめ細かくヒアリングし「すべての条件設定を反映した計算結果になっているか」「矛盾するため両立しない条件設定はどれか」といった点が画面ですぐ確認できる機能などを盛り込んだ。

  • 条件設定を増やしても、短時間で公平な試合日程を作成

    新たな「日程くん」は2013年11月に完成し、処理時間は大幅に短縮された。2014年の試合日程作成では、J1の場合が最大2時間から約3~5分に、チーム数の多いJ2の場合が最大24時間以上から約1時間にそれぞれ処理時間が短縮されている。
    処理時間の高速化および矛盾する条件設定の自動表示機能によって、複雑に絡んだ条件設定を調整する改善サイクルが効率的に行えるため、Jリーグはこれまで以上に公平性を最大化した試合日程を組めるようになった。条件設定の入力・変更がシステム利用者でも簡単にできるようになるなど、使い勝手も向上している。
    今後は、より多くの来場者が試合に足を運べる条件設定などを加味しつつ、公平性を最大化した試合日程の作成がシステムで実現可能になると期待する。

コアテクノロジー

最適化システム、鉄鋼生産計画で培った数理モデリング技術

システム概要

●コンピュータ:3台(Windows)
●アプリケーション:最適化エンジン(Gurobi Optimizer)を利用した試合日程自動作成システム

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)様

所在地:東京都文京区本郷3-10-15

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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