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2018-01-23 イベント
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アバターシステム型ヒューマノイドロボット「5G FACTORYⅢ」の開発舞台裏

NTTドコモ様(以下、ドコモ様)主催の最先端技術を紹介するイベント「見えてきた、"ちょっと先"の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」(2017年11月 日本科学未来館にて開催)でNSSOLはNTTドコモ様と共同開発したアバターシステムを実現する人型ロボットを展示し大きな反響をいただきました。

開発に使ったのは、VR(仮想現実)を実現するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と触覚フィードバックデバイスのウェアラブルデバイスを組み合わせたシステム。システム開発をメイン事業とするNSSOLがなぜロボットを開発したのか。ロボットを使い、どんな未来を展開したいのか。開発メンバーに聞きました。

テレコムソリューション事業部
小川 哲男さん

システム研究開発センター
上田 雅道さん

戦隊ヒーローのような人間拡張型ロボット

―― ドコモ様の5Gイベントへは昨年に続いての出展になりました。そもそもNSSOLがドコモ様と共同開発することになった経緯はなんでしょうか?

小川:2015年12月にドコモ様が5Gサービスの普及のために開催した、「5Gアイデアコンテスト」にNSSOLがエントリーしたのがきっかけです。そこでドコモ様から評価をいただいて共同開発することになりました。今では「世間をあっと言わせるような、新日鉄住金らしいものをつくって欲しい」といった要望をいただいており、製造業出身の当社らしく工場をイメージした「5G FACTORY」シリーズを展開しています。前回の第一弾の作品はロボットアームを使った自由視点映像システムでした。

<参考>
[5G FACTORYⅠ]
5Gで描く未来の工場 ~VR技術を利用した5G活用~

[5G FACTORYⅡ]
無線通信技術の国内最大級のワイヤレス専門イベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」に「5G FACTORYⅡ ウェアラブル型ロボット遠隔操作システム」を出展

NTTドコモ様と共同開発した人型ロボット遠隔操作システム(右)

―― 今回開発した人型ロボットはどんなことを実現するのでしょう。

小川:写真の左側にHMDやケーブルがたくさん繋がったグローブなどのウェアラブル端末を装着している人がいますよね。この人の動きがセンサーを通じて右側のロボットに伝わることで、人の動きと同じ動きをロボットがします。その動きにはタイムラグをほとんど感じません。以下の動画をみていただくとイメージがつかめると思います。

上田:人が装着しているHMDに映る画像はロボットの目が見ているものになっていますし、ロボットの指先には触感センサーがあり、ロボットが何かに触れたり持ったりしたら、その触感が人に伝わってきます。

王:操作していると自分がロボットになったような、ロボットに乗り移ったような不思議な感覚になります。

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)

触感センサー

―― 「5G FACTORY」というコンセプトからこのロボットも工場と関連がありますか?

小川:はい。工場には危険な場所や、危険な作業があります。それを人が安全なオフィスや自宅から遠隔操作でロボットにさせようという発想です。人とロボットが一体になった感覚になるので、工場の作業をロボットにさせてもまるで自分が作業しているように感じます。

―― とても未来的なイメージです。

王:ええ、これはアバターシステムという近未来の技術になります。ドコモ様から2020年の5Gのカットオーバーに向け、2020年の世界を今のタイミングで見せたいというご要望をいただき、このロボットを開発しました。

小川:ただ、私たちはこれをロボットとはとらえていません。能力をちょっと拡張した人間のイメージでつくりました。拡張した人間ってなんだろうと考えたら「戦隊ヒーロー」が浮かんだので、一般的なロボットでは使わないウエットスーツなどの素材を使用したり、赤いスカーフを首に巻いたり、胸に光るマークを付けたりしました。

―― 戦隊ヒーローですか(笑)でも、システムインテグレーターとロボット開発というのは結びつきにくいです。

小川:いろいろな製品を組み合わせてベストなシステムを構築するのがシステムインテグレーターです。ロボットもNSSOLがいちからつくっているわけではありません。さまざまなパーツを購入して組み立てて、足りないところをソフトウェアでつないで動かし、ベストなロボットをつくるという意味ではNSSOLの強みそのものだと思っています。

王:近未来の世界は、ロボットと人が一緒に働いているのが当たり前になる。そういうビジョンからきています。

―― なるほど。来場者のみなさんの反応はいかがでしたか?

上田:会場がお台場で、週末も開催したこともあり、ビジネスマンだけでなくお子さん連れの方々もたくさんいらっしゃいました。

王:テレビのニュースなどマスコミにNSSOLのロボットを取り上げてもらったこともあって、NSSOLのブースへの注目度が高くなったように思います。来場者の方々からは「すごい」「未来みたい」「こんなことできるんだ」などいろいろな表現で反応してくださって、嬉しかったですね。

NSSOLのブースにはたくさんの方々にお越しいただきました。

―― お子さんにはうけたでしょうね。

小川:目がキラキラしていました。あと今回は学術的にもチャレンジ項目があって、大学関係者からも驚かれました。

―― 例えばどのような点ですか?

王:先ほどお話ししたアバターシステムそのものも技術的なチャレンジでしたが、もっと細かい点、例えばロボットのハンドで名刺交換したり、ジャンケンしたりする技術などが注目されました。このロボットがグーとパー、特にチョキを自由に出せるのが技術的にすごいことです。

上田:あと、来場されたみなさんは写真を撮影されていましたが、その時、ロボットがカメラ目線になる。これも技術的には結構インパクトが強いと思います。

来場者と握手!

―― こうした「5G FACTORY」シリーズのプロデューサーは小川さんですか?

小川:はい。企画は私が考えています。ただ私は王君や上田君に「人間が動くように動くロボットをつくって」と、自分のイメージを伝えるだけ。それを実現する技術的なことは王君や上田君にすべて任せています。

王:小川さんの要求はハードルが高いので、もう毎日が全力投球です。でも、私はなによりもチャレンジすることが好きなので、今の環境はとってもハッピーです。

上田:私はもともと未来志向とか、コンセプトメイキングということにとても興味がありましたので、このプロジェクトで学ぶことは多いです。実際に自分ではない人(ロボット)に乗り移るインパクトは想像以上に大きくて、自分でも驚きました。まだ技術的に難しいアバターシステムをいち早く経験できてよかったと思います。

王:これはNSSOLの特徴だと思いますが、仕事を任す際、その人のスキル以上に"やる気"、マインドの部分を見ている傾向が強いと感じています。だから私のような新しい技術に興味を持つタイプは、無茶振りされてしまうところがあります(笑)。でもその無茶振りに応えていくうちに、技術者としてのスキルも上がっていくのだと思います。

―― 次の企画はもう考えていますか?

小川:まだ詳細は言えませんが考えています。次回も楽しみにしていてください。

―― はい、楽しみにしています。今日はありがとうございました。

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