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2017-02-22 データ活用
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AIでJリーグをアシスト

JISA主催の記者説明会でJリーグ様向けにAIを活用したデータ分析事例を発表

2017年2月16日 JISA(一般社団法人情報サービス産業協会 広報委員会)が主催した第二回記者説明会が「スポーツ×IT」のテーマで開催されました。
JISA会員各社からの事例紹介のなかで、当社のシステム研究開発センターのデータ分析・基盤研究部の赤塚慎平さんが「AIを用いたJリーグの年間入場者予測」の事例を紹介しました。

プレスリリース:
新日鉄住金ソリューションズ、Jリーグ向けに年間入場者数(J1)の予測モデルをAIで開発

―― お客様の課題はどのようなものだったのでしょうか?

Jリーグ様では、2014年よりNSSOLが開発した組合せ最適化ソリューションを適用した「試合日程自動作成システム(通称:Jリーグ・マッチスケジューラー)」にてシーズン試合日程作成業務をおこなっています。これまでは自動作成システムから出来るいくつかの試案日程パターンを、経験や勘などで最終的には決定していましたが、よりよい試合日程を決めるために定量的な指標が求められていました。同時に、入場者数の増減はどんな要因があるのかを見つけたい、という課題もあったようです。

参考:
進化する最適化技術 VOL.1-「日程くん」でJリーグの試合日程作成を絶妙にアシスト!

―― 今回事例での特徴的な点を教えてください。

最近、さまざまなメディアでも取り上げられていますが、AI・機械学習を活用して予測モデルを開発した点と、それが2016年シーズンではほとんど誤差なく予測できた、という2点ですね。

―― 予測モデルの開発とは具体的にどんなことをするのでしょうか?

過去の実績データ、例えばスタジアム別の平均入場者数やキックオフ時刻、平日か週末土曜か日曜かなどの日付および特徴的な節かどうかなどのデータを用いて将来を予測します。その予測モデルを開発するわけですが、さまざまな手法を試行錯誤して最も精度の高かった重回帰モデルを採用しています。

―― 重回帰?

売上などの連続値を予測するモデルとして、需要予測のシーンでは広く使われているモデルです。多変量解析の一つで、2つ以上の独立変数から予測を行います。

―― 今回のモデル開発で苦労した点を教えてください。

Jリーグでは成績によってJ1⇔J2といったリーグの入れ替えがあります。そのため、J2からJ1へ昇格したチームはJ2での平均入場者数を用いて開発しました。
※精度を上げる特徴量の探索ですね。最終的にはスタジアム別平均入場者数が精度に最も貢献することがわかりましたが、捨てた変数は20以上あります。

―― 今回の予測モデルによってJリーグ様にはどんな効果がでるのでしょうか?

試合日程の組み合わせ業務のなかで、年間来場者予測を参考データとして取り入れることによって、観客数を増やすことが期待できる、よりよい試合日程の組み合わせを実現できるのではないでしょうか。

―― 今回の予測モデルが2017年シーズンから使われるのですか?

いえ、2017年ではまだ適用されていないのです。Jリーグは2017年から1シーズン制に変更になりました。そのためこれまでの2シーズン制で開発された予測モデルでは精度が上がらないと考えています。そういった懸念もあり、2017年は予測モデル開発を再度進め、その予測精度を2017年に再検証し、2018年を目途に試合日程自動作成システムに組み込めたらと考えています。

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