TO THE FUTURE NSSOL STORIES TO THE FUTURE NSSOL STORIES

2021-10-01 IoT DX データ活用
TwitterTwitterでシェア FacebookFacebookでシェア

システム研究開発センター 研究成果発表会を実施【後編】

~DX推進に資する技術とは~(アジリティ分野)

システム研究開発センターは「研究成果が実用的であること」をポリシーとし、3年後のビジネス化に向けて最先端技術の研究開発を行っています。2021年春実施の研究成果発表会では、研究成果とともに実際のビジネス現場での適用事例を紹介しました。本コラムでは、前編・後編に分け、その内容をお届けします。
後編では、前編で紹介した「データ活用分野」に並ぶもう一つのテーマである「アジリティ分野」に関する2つのセッションを紹介します。

テーマ4.システムのアジリティと信頼性を両立する
マイクロサービス・クラウドネイティブ

若林 耕平 システム研究開発センター 統括研究員
伊藤 宏樹 DX&イノベーションセンター アーキテクチャ&コンサルティング部長

DX向けのシステムを開発するDevOpsチームはサービス提供や分析を行うシステムを素早く形にする「アジリティ」を今まで以上に必要としています。それは新しいビジネスアイデアを競合に先駆けて実現することがDXの領域では特に強く求められるためです。

そのアジリティの向上を従来のシステム開発・運用手法で実現しようとしても、期待する結果は得られません。無理してアジリティを高めようとすれば、人に負担がかかり、例えばテストの不足によるバグの混入といったシステムの信頼性の低下を招いてしまいます。
このような認識の下、システム研究開発センターでは「信頼性を犠牲にせずにアジリティを高める」手段として、「マイクロサービスアーキテクチャ」と「クラウドネイティブ」の2つの新しい技術を研究してきました。これらの新技術には、例えばマイクロサービスの設計プロセスといった新手法の「学習」の問題、信頼性の実装におけるDevとOpsの間の「業務分担」の問題、進歩の早い技術の中から適切なものを選びシステムとして組み上げ効果を検証する「技術への追従」の問題、といった難しい問題があります。
私たちはこうした難しさを解消するために、新技術を活用したシステムの開発・運用手法を「デザインパターン」としてまとめる活動を行ってきました。デザインパターンとは、システムのアジリティと信頼性の向上を目的に、CNCFコミュニティにおけるコンテナを中心とした関連技術から選択した適切なツールでアーキテクチャを形作り、それに適した業務プロセスをまとめたものです。

デザインパターン例

私たちはCNCFコミュニティにおけるコンテナを中心とした関連技術と、NSSOLの強みであるアプリケーションからインフラまでのワンストップの体制、各業界での大規模開発の経験などをベースにこれまで10個のデザインパターンを整理しました。このように新技術の問題に対処することで、シェアリングサービスのプラットフォームを提供されているお客様や金融業界の商品管理システムを構築されたお客様など10案件に適用してきました。

私たちはコミュニティの技術動向の調査を継続しており、今後20個の新規のデザインパターンの開発を予定しています。加えて、デザインパターンを実践できる技術者の育成にも取り組み、育成された技術者が新技術を案件で活用する際の支援も行います。そこでの経験を汎化し、デザインパターンに反映してノウハウの蓄積と横展開を図っていきます。

【発表動画】クラウドネイティブはこちら

テーマ5.NSSOL開発DXの実現 Tetralink

小野 卓彦 アーキテクチャ&テクノロジーセンター所長

「アーキテクチャ&テクノロジーセンター」は、当社の開発プロジェクトに対して「開発プラットフォーム」・「開発支援ツール」・「開発ノウハウ・プロセス」の提供と「人材育成のフィールド」としての役割を担う組織です。当組織のサービス・ツールを利用しているアクティブプロジェクト数は約600、また、当社社員とパートナー合わせて約1万名の開発者を支える開発プラットフォームです。

設立から今に至るまで、アーキテクチャ&テクノロジーセンターが提供する技術やサービスは、お客様と現場のニーズに合わせて変化し続けてきました。つまり、アーキテクチャ&テクノロジーセンターは、当社の開発現場の変革(=DX)を担ってきた組織であるといえます。また、アーキテクチャ&テクノロジーセンターは、常にシステム研究開発センターとコラボレーションしてきましたが、そうすることにより、より多くの開発現場に研究開発成果を届けることが可能となっています。SIerが研究開発センターを持つことは非常に珍しいことですが、研究開発成果をこうした形で、実際の開発現場で活用しているのも当社の強みとなります。

そして、2020年4月に、新しい開発プラットフォームであるTetralinkをリリースしました。Tetralinkには大きく4つのコンセプトがあります。

  • アジャイル開発・クラウドネイティブ・マイクロサービスに適した環境であること
  • 当社全体でナレッジを共有するための機能を備えていること
  • 開発自体をより高度なものにするために開発ビッグデータとAIを活用すること
  • ますます多様化する働く環境へ対応すること

Tetralinkで目指す世界は2つです。

  • お客様のファーストDXパートナーとして、お客様のDXを支え続けること
  • エンジニア自身が、お客様のために挑戦できる環境を継続的に進化・発展させること

私たち自身の開発のDXは、お客様のDXへもつながると確信しています。

【発表動画】Tetralinkはこちら

関連リンク