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2018-06-21 イベント
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書道やダンスをするアバター型ヒューマノイドロボット「5G FACTORYⅢ」。

開発者に聞く開発秘話とヒューマノイドロボットが活躍する未来の現場。

NSSOLは株式会社NTTドコモ(以下 ドコモ)とアバター型ヒューマノイドロボット「5G FACTORYⅢ」を「Mobile World Congres2018(以下MWC2018)」(期間2月26日~3月1日、於スペイン・バルセロナ)に共同出展しました。ドコモとの共同出展は昨年に続き2回目となります。

MWC2018は、2300社を超える出展数に10万人を超える来場者。世界最大規模のモバイル関連展示会でも「5G FACTORYⅢ」は注目を集めました。

この「5G FACTORYⅢ」の研究開発に携わってきたシステム研究開発センターの王 陸洲さんに、開発者側からの話を聞きました。

―― 「Mobile World Congres2018(以下MWC)」にはどういう経緯で出展されたのですか。

王:当社は、昨年11月に、ドコモ様の最先端技術を紹介するイベントにドコモ様と共同開発したヒューマノイドロボットを出展しました。その時に非常に反響がありドコモ様からも高いご評価をいただきました。そうしたこともありMWCにも共同出展のお声がけをしていただいたのです。

―― 今回はパフォーマンスをしましたね。

はい、ヒューマノイドロボットがプロのダンサーと一緒にダンスと書道をするという10分程度のパフォーマンスです。動画を見ていただけるとどういうパフォーマンスをしたかおわかりいただけると思いますが、こちらを一日に数回行いました。

―― 書道で書いた漢字は5Gにちなんだ文字ですね?

王:はい、「速(高速)」「低(低遅延)」「五(5G)」「多(多接続)」のいずれかの文字と「龍」の絵を各パフォーマンスで披露しました。龍は一番かっこいいし、絵なのでみんなにわかりやすくて好評でした。

―― ギャラリーの反応はどんな感じでしたか?

王:すごく盛り上がりました。まず、ダンスで人とロボットが同じ動きというのに驚いて、動き出すやいなや「うぉ~」って感じでした。さらに字を書くときも「ええ~」って感じでパフォーマンスが終わった後は担当者が質問攻めになりました(笑)。一番盛り上がったときは100人以上が見学していたと思います。スペインのニュースにも取り上げられたのでその日は特に多かったです。

ギャラリーの様子。パフォーマンスが始まると大勢の見学者が集まった。

―― 王さんがこのイベントで一番達成感があったことはどういったことでしょうか。

王:冶具ですね。

―― 冶具...ですか?

王:はい、それは何かというと、ロボットは筆を握る指のパワーがないので筆を持たせるのに筆を固定させなければならず冶具で固定することにしたのですが、ロボットの指が折れないように指よりも強度を弱くしなければなりませんでした。どこかに発注するよりも自分でつくったほうが早いと思い、自分で設計して3Dプリンターでつくりました。それが私の想定通りになったハプニングがあって...。

―― どのようなハプニングでしょうか?

王:本番のパフォーマンスで筆が1回折れてしまったことがあったのですが、その時に冶具も根元から折れました。ロボットって手加減しないので結構強い力で動くのですが、あの時に冶具が折れなかったらロボットの指が2本くらい折れていたと思います。冶具が折れたときはみんなヒヤっとしたと思うのですが、私だけ「やったあ」と思いました。なぜなら想定していた通りのことだったので。冶具が折れることで指を守った。想定どおりでよかったと思いました。冶具はもともと折れる前提で4つほどももっていっていました。

―― 今回を含め「5G FACTORY」シリーズではたくさんの展示会に参加されましたが、このプロジェクトに参画してみてどのように感じていますか?

デモ展示だと、新奇性や先進性の名目で、実用化の一歩手前、二歩手前の技術も試しやすいと思いました。しかも、その技術に前例がないほどお客様の満足度が高いということを実感しました。また展示会に訪れる方々との技術交流も自然に発生するので、当社の真の技術力を印象づけることができたと思います。いろいろと大変なこともありましたが楽しかったですし、多くのことを学ぶことができて大変感謝しています。

―― このロボットの名にFACTORYがついていますが、工場でロボットが働くようになりますか?

王:ロボットとヒトが一緒に働くのに一番難しいのは安全性です。ヒトにケガをさせてはいけません。

―― 今回のロボットはヒトとロボットが離れて働くアバターシステムがコンセプトですよね。ケガは関係ないのでは?

王:それだとおそらくヒトとロボットが一緒に働くとは言えないと思います。それならロボットがヒューマノイドである必要もないでしょうし、以前からある産業用ロボットのほうが安全性も高いです。

―― なるほど。では、ヒューマノイドである意味はどこにありますか?

王:それはヒトが多い現場で、現場自体がヒトを中心に設計されている場合です。階段があったり、もぐったり、しゃがんだり。そこに産業用ロボットを入れようとしても入れることができません。

―― これから人手も足りなくなってきますからロボットが必要になりますね?

王:そう。ヒトが半々、ロボットが半々という現場は将来できるはずです。ロボットだけだと融通が利かないですからヒトが入ることが重要です。私は自動車の工場に何度か行ったことがありますが、ロボットレーンは量産レーンです。量産しないレーンはやはりヒトです。ここにロボットが混ざる時代がくるので、そういう時にヒューマノイドです。混ざり始めるのに5年、普及以降となると10年先ではないでしょうか。結構先ですが、現実となると思います。

―― これから王さんがやってみたいことはなんでしょうか。

王:実はロボットではないですが(笑)、3年から5年先くらいのオフィスで使えそうなシステム、例えばARなどを研究していきたいと思っています。メガネをかけたらキャラクターが見えていろいろとサポートしてくれるなど、オフィスで役に立つシステムを考えていきたいです。

―― 楽しみにしています。またお話を聞かせてください。ありがとうございました。

ロボットが描いた龍の絵

・「5G FACTORY」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。

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