日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:玉置 和彦、以下「NSSOL」)は、製造現場に散在する非構造化データをコンテキスト化・関連付けし、業務判断の質とスピードを高める操業基盤として、統合ナレッジ基盤「データシンクロニシティプラットフォーム」と、デジタルツインソリューション「Geminant(ジェミナント)」を連携させたデータ活用環境の展開を本格的に進めています。
データシンクロニシティプラットフォーム構想の背景
製造業では、IoTやペーパーレス化の進展によりデータが急増する一方で、それらのデータへの意味付け・紐付けが難しく、必要な情報を取り出すための整形・探索に工数がかかるといった課題が顕在化しています。また、生成AIの活用PoCにおいても、製造現場固有のドメインナレッジをAIの回答内容に反映できず、期待する回答が得られないまま、本番利用を断念するケースも少なくありません。
NSSOLのデータシンクロニシティプラットフォームは、AI OCRを用いて取り込む文書・図面などのドキュメントや 、現場からリアルタイムで取り込まれる画像・映像・時系列データなど、形式の異なるデータをマルチモーダルで取り込み、独自技術でドメインナレッジを反映したコンテキスト化・関連付けを行います。これにより、AIエージェントによる複数のサブシステムを横断した情報の収集・集約を可能とし、様々な利用シーンにおける複合的なAIガイダンスを実現します。
データシンクロニシティプラットフォームのデータ構造イメージ
データシンクロニシティプラットフォームは、様々な形式の文書や図面画像を読み込み、情報をナレッジグラフとして集約します。集約時に自動で行われる複数データの関連付けや生成AIによるガイダンスにより、ユーザーがAIチャット経由で必要な情報を引き出すことができます。また、チャットでのやり取りをAIがディープラーニングするため、継続して利用することで回答の精度は向上していきます。
データシンクロニシティプラットフォームの活用ユースケース
実際の製造現場でのデータ(現場の操業/保全トラブル報告書)を利用した事例においても、一般的な生成AIを用いた検索と比較し、実業務での活用が可能な、精度の高い回答を得られることが確認できています。
そのほか、現在NSSOLが手掛けているデータシンクロニシティプラットフォームの検証・本番導入事例及びユースケースは以下の通りです。
| 業種 | 分類 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 鉄鋼 | 規格準拠レビュー自動化 | 大量のドキュメントを参照し、生成AIにより規格準拠レビューを自動化する技術を開発。 |
| 鉄鋼 | 類似トラブル検索 | 過去のトラブル報告書をOCR/生成AIを用いてナレッジとして構築(コンテキスト化)、それらのデータから作業前に類似のトラブル事例をレコメンドするシステムを開発。 |
| 非鉄(保全) | トラブルのアクション表示 | 過去の保全日誌や整備記録、機器の取説や図面などをOCR/生成AIを用いてナレッジとして構築(コンテキスト化)、保全課の若手社員に対するトラブル時の原因や対応アクション候補を提示するレコメンドシステムを開発。 |
| 非鉄(エンジ) | 建設・修繕時の過去情報の検索 | 現場から設備・装置に対する建設や修繕の依頼を受けた際の、類似する設備・装置の設計思想・設計方法・購入品・トラブル履歴などの情報を取得するレコメンドシステムを開発。 |
| 石油 | 作業時の注意喚起提示 | 当日作業に対して、過去の労災・ヒヤリハットデータを検索し、現場作業員への注意喚起を発出するシステムを開発。 |
| 非鉄(操業) | トラブル予測・要因分析 | 原料や操業など複数データを生成AIを用いて活用することで、トラブルの予兆検知・網羅監視、トラブルの予測・要因分析、さらには自立予防による安定操業(操業最適化・生産量最大化)を実現するシステムを開発。 |
| インフラ | トラブル原因・対策提示 | 過去のトラブルデータと安全仕様書から生成AIにより原因や対策を提示し、分析するシステムを開発。 |
| 水処理(操業) | トラブルのアクション提示・分析 | 操業設備から収集したアラーム情報から原因と対策を提示することや、分析を行うシステムを開発。 |
円滑にプロジェクトを進め、より高精度な回答を得るためには、製造現場で扱われる情報を 設備構成、工程条件、運転状況、保全履歴などの現場固有の文脈を踏まえて正確に解釈することが不可欠です。NSSOLはこれらの事例で示したような製造現場における豊富な実績を有しており、現場特有の表現や暗黙知を業務文脈に即して捉える深い知見を有しています。その知見をベースに開発したユースケース別のナレッジグラフテンプレートにより、AIエージェントが理解しやすいナレッジグラフを構築することが可能です。また、NSSOLが保有する特許技術を活用して構築したAIエージェントは、資料間をわたりながら情報を集めて判断を行います。これらを駆使することにより、ユーザーの意図に沿った回答を提示することができます。
さらにデジタルツインソリューション「Geminant」と連携することで、設備・場所・作業に紐づいた情報を3D空間上で一元的に可視化・共有し、現場の状況把握・判断の迅速化を支援します。本ソリューションのユースケースとして、保全DXをはじめ、操業・安全・物流など幅広い業務での適用を想定しております。
データシンクロニシティプラットフォームとGeminantを組み合わせた操業一元化イメージ
参考事例
日本製鉄 製鉄所における利用イメージ動画
また、データシンクロニシティプラットフォームとGeminantを組み合わせて操業を一元化する様子を、以下の動画でもご覧いただくことができます。
今後もNSSOLは、製造現場で培った様々なスマートファクトリーソリューションを通じて企業価値の向上を支援していくとともに、「Social Value Producer with Digital」をビジョンに掲げ、アプリケーション・基盤・通信を含めたトータルDXソリューションを提供し、日本のインダストリー4.0の実現に貢献してまいります。
以上
