日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森田 宏之、以下 NSSOL)の参加チーム『鋼鉄の錬金術師』が、個人情報を守る技術を競うコンテスト「PWS※1 Cup 2020(匿名メンバシップ推定コンテスト)」[08/27~10/27 オンライン開催]にて、総合優勝を果たしました。
組織や分野をまたいだデータの利活用のニーズが急速に高まる中、機微情報の保護とデータの効果的な利活用を両立する「匿名加工技術」は、最近注目されている技術の1つです。このような背景のもと、一般社団法人情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会(CSEC研究会)は、多くのプライバシー保護・データ利活用の技術者・専門家の交流を促すため、2015年よりプライバシーワークショップ(PWS)を年次開催しています。今年はオンライン開催となり、PWSのイベントであるコンテスト「PWS Cup 2020」には、国内外の企業や大学の20チームが参加しました。
コンテストでは、匿名化手法の1つである「擬似データ生成」と、擬似データの安全性指標として近年機械学習分野で注目されている「メンバシップ推定」をテーマとして、安全で有用な匿名化データを作成する技術を競いました。例えば新型コロナウィルス感染者の分析用データのような、個人がそのデータに含まれる(メンバである)こと自体が機微な情報になる、という場合を想定します。このようなデータを共有する際には、個人が含まれるかどうかの推定攻撃が成功しないように加工する必要があります。今回のコンテストにおいては、このような攻撃をメンバシップ推定と定義し、攻撃の成功率から加工されたデータの安全性を評価します。
今回のコンテストの流れ(下図参照)
まず、①各チーム(加工者)に運営からデータが配布されます。そして、指定された有用性基準を満たすように②各チームが、匿名化データを作成・提出します。提出された匿名化データに対して、③各チーム(攻撃者)がメンバシップ推定攻撃を行います。最後に、推定攻撃結果に基づいて匿名化データの安全性評価が行われ、その評価値を基に各チームの順位が定まります。
「鋼鉄の錬金術師」チームがPWS Cupに参加するのは今回で5回目となり、研究部門のメンバーが参加した2016年は総合3位※2、事業部門のメンバーを加えて参加した2019年は総合2位※3を受賞しています。コンテストでは、有用性基準を満たすためのデータ分析の知見と、安全性基準を満たすためのセキュリティの知見の2つを組み合わせた匿名加工が求められます。匿名加工のノウハウを研究部門から共有しながら、事業部門主導でアイディア整理と仮説検証を繰り返し、最終的に最適化と機械学習を利用した加工・攻撃手法を適用した結果、2020年は総合優勝を果たしました。
NSSOLでは、2015年から研究部門(システム研究開発センター)にて、匿名加工技術の事業展開に向けた研究開発を進めております。事業展開に向けては事業部門(社会公共ソリューション事業部)と研究部門が連携し、匿名加工データ流通ソリューション「NSDDD(エヌエスディースリー)」※4の開発や、国内2例目の認定医療情報等取扱受託事業者認定の取得※5など、データ利活用・データ流通事業を支援して参りました。
今後もNSSOLは、「ファーストDXパートナー」として、お客様のデータ活用ライフサイクル全体をご支援し、新しい価値の創出を目指します。
以上