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2017-09-25 DX 働き方改革
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NSSOLがロボットに携わるからこそ意味がある。ロボットのいるオフィスの風景

システム研究開発センター 笹尾 和宏さん(右)、古田 裕介さん(左)

今年で29回目を迎える、「知能ロボットコンテスト」(スリーエム仙台市科学館)が2017年6月10日に開催されました。NSSOLは、このロボコンへ協賛するとともに、審査員としてシステム研究開発センター 笹尾 和宏さんが参加しました。
NSSOLは昨年よりロボットの活用を進めるNSSOL Pepper部の活動を始めています。なぜNSSOLがロボットに取り組むのか。笹尾さんと、NSSOL Pepper部の中心メンバーである古田 裕介さんが、その可能性に迫ります。
※ NSSOL Pepper部 ソフトバンクロボティクスのPepperを活用し、NSSOLが独自に実施している研究。

人とロボットが一緒に働くオフィスを考える。NSSOL Pepper部、始動!

NSSOLがロボットを扱う意義

古田:笹尾さんは長年、ロボコンに参加されていると聞いていますが。

笹尾:そうです。大学在学中から様々なロボコンに参加しています。「知能ロボットコンテスト」は1989年からはじまっており、私は1994年から出場していました。卒業後は審査員として参加させていただいています。

古田:20年も!すごいですね。
最近のロボットの進化には、目覚ましいものがありますが、それに合わせて、ロボコンも変わってきているのではないですか?

笹尾:「知能ロボットコンテスト」の場合、私が出場しはじめた頃から「人が操作することなくロボットが周囲の状況を認識して自動で様々な物体を所定の場所に片づけていく」という基本的なルールは変わってないんです。
だけど、技術の進歩は著しくて、そもそも90年代はじめは、USBカメラなんてなかった。「カメラ」と言えば、アナログ映像信号が出力されるカメラ。だから、映像をデジタル化する電子回路から設計しなければいけません。それが今では、カメラは手軽に買うことができるし、すごく性能が良いライブラリーもあるので、画像処理も楽にできる。コンピュータも簡単なプログラムで動くようになりましたし、めちゃくちゃ速くなりました。ロボットの筐体も3Dプリンターでできてしまうし、ロボットを作る難易度は、昔よりも下がっています。

古田:20年前は、ロボットをつくることで精一杯だったんですね。

笹尾:今はロボットを簡単につくれるようになった分、「どう動かすのか」「どう使いこなすのか」といった知恵の部分が求められてきているように思います。

ロボコンの様子

古田:私たちも昨年、有志でNSSOL Pepper部を立ち上げて、ロボットがどう役に立つのかを考えてきていますが、「システムインテグレーターであるNSSOLが、どうしてロボットを扱っているの?」とよく聞かれます。そこらへんはどう考えていますか?

笹尾:「システムインテグレーター」であること。これって結構、言い得ていると思うんです。

古田:というのは?

笹尾:NSSOLは、ずっと、コンピュータシステムの開発を通して、「人の仕事の支援」をしてきました。NSSOLはコンピュータシステムを開発するのに、さまざまな要素技術をインテグレートして社内システムとか業務システムを開発して「人のデスクワーク」を支援してきました。

古田:はい。

笹尾:ここ10年ほどで、モバイルやARとかVRといったウェアラブルという技術が身近なものとなってきました。それらとコンピュータを組み合わせて、製造現場の作業者の方やオフィスの中で働いている方などの「働いているシーンそのものを手助けする」システムを開発できるようになりました。

古田:ウェアラブルの技術を使ったシステムは、今、IoXソリューションとしてお客様に提供していますが、これもインテグレーションといえますね。

笹尾:もう少し先の未来には、例えば、工場の中で危険な場所ってあると思いますが、そういった人が行けない場所へはロボットに行かせて、人は離れたところからロボットをコントロールして作業をさせる、ということが可能になってくると思っています。

古田:「テレイグジスタンス」ですね。NSSOLも作業者が手袋をはめて指を動かすと、ロボットの手が同じ動きをする仕組みを先日、展示会でNTTドコモ様と共同で発表しました。

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笹尾:この次にロボットの完全自律化があると思います。そのためには「作業が上手な人は、どうやって作業しているのか」といった情報を集める必要があるんですね。だからテレイグジスタンスのような技術によって、ベテラン社員は難しい作業をどのようにして行っているのかといった情報を全部コンピュータに記憶させて、集めた情報をロボットに埋め込んでいく。その結果、ロボットの自律化が実現すると考えています。

古田:NSSOLは、コンピュータができた頃から、「コンピュータで人を手助けするってどういうことだろう?」とずっと考えてきましたが、今は、少し先の未来を見据えた時に、「ロボットで人を手助けするってどういうことだろう?」と考える時代になったと言えるということですね。

笹尾:そうだと思います。

ロボットが仕事の現場を変えていく

古田:ロボットというと、工場で働くイメージは湧くのですが、オフィスの中ではどんな働き方をしていくと思いますか?

笹尾:オフィスの仕事って、その都度考えてする仕事が多くて、定型化が難しいですよね。すると、どうしても「人が行動した方が早いよね」みたいな状況になってしまいます。例えば、「ハンコリレー」は別に人がやる必要はないけど、しないといけない仕事です。まずはそうした作業をロボットにしてもらう考えはあるでしょうね。

古田:ロボットの「顔認証機能」を活用すれば、ハンコが必要な人を自動で訪ね歩くこともできますね。そのような機能を応用したら、来客されたお客様を出迎えるときも、「前回の打ち合わせ内容を踏まえた会話をしながら、打ち合わせ場所まで誘導する」なんてことが可能になるかもしれませんね。

笹尾:あと、ロボットを会議に参加させるのも面白いと思っているんです。例えば会議中に、「あなた、ずっと黙っていますけど?」とロボットにツッコミを入れさせるとか、「喋り過ぎだから発言を控えて」みたいな、人が人に言いづらいこともロボットなら言えますよね。そう言われた方も、「ロボットならしょうがないな」と感じると思いますし。

古田:確かに、ロボットの発言なら角が立ちにくいので、人間関係をギクシャクさせずにスムーズに仕事が進められるかもしれません。

笹尾:それだけでなく、最終的には、「仕事のやり方の質」そのものを変えられるもでは、と思っています。会議に参加するロボットは、人の発言の内容や分量を定量化することができます。そのため、「もっと改善するためには、どうすればいいんだろう?」とロボット自身が情報を収集して、改善方法を判断できれば、人の仕事の質もだんだんと良くなっていくはずです。

人とロボットの共存。すぐそこにある未来

古田:NSSOLのロボット事例といえば、2017年2月の宮崎ブーゲンビリア空港で、ANA様と共同でPepperの自律走行を実現させた案件があります。

世界初、HoloLensで自走するPepper ANA x NSSOL空港業務における人とロボットのコラボレーション検証を開始

笹尾:もともとANA様は、お客様へのサービスの質を向上させるため、Pepperをカウンターや搭乗口などで「接客係」として利用したいと考えてらっしゃいました。でも、Pepperは今の仕様だと自律的な移動ができないので、社員がPepperを毎回仕事場まで運ばないといけません。それでは社員の負担が大きいので、「Pepperに自律歩行をさせたい」と相談を受けたんです。

古田:Pepperの自律走行を実現させたのは、高度な空間認識機能を利用できるヘッドマウントディスプレイ「HoloLens(ホロレンズ)」ですよね。Pepperと別の技術を組み合わせることで、今までになかった新しい価値が生まれた事例です。

笹尾:このように、将来的にロボットが単独でできるであろうことを、私たちは今ある技術を組み合わせることで実現しています。

古田:5年ぐらい時代を先取りしていますよね。

笹尾:今、「こんなことがしたいが、実現できるだろうか」というご相談をいただければアイディアを出すことができるかもしれません。お客様が新しいビジネスを作っていくとき、私たちがお手伝いしたいと思っていますので、是非、お問い合わせいただければと思います。

古田:システム研究開発センターでも、幅広い技術を取り扱っていて、それらを組み合わせれば、新らたなソリューションも生まれてくると思います。さらに、それぞれの事業部はお客様の課題感をよく理解していますので、その課題感にあった解決策を提示できるのがNSSOLの強みです。

笹尾:そのような強みを生かしていければ、これからますます発展していくロボットの分野で、NSSOLの存在感も発揮していけると思っています。

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