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2017-11-15 サステナビリティ
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「身近な生活の問題解決にプログラミングを活かす」

プログラミング学習サイト『K3Tunnel(ケイサントンネル)』開発者の想いを聞く

2020年に小学校でプログラミングが必修科目となることはご存知でしょうか。一方、金融機関も数年前から次世代向けの金融教育に注目しています。今、子どもたちを取り巻く教育環境は転換期を迎えています。

当社では9月22日、身近な生活の問題解決にプログラミングを活かすためのプログラミング学習サイト『K3Tunnel(ケイサントンネル)』のサービス提供を開始しました。サービスの開始に先立ち8月9日に行われた体験イベントでも好評を博したK3Tunnelの企画・開発を手がけた今野 奈穂子さんに、開発経緯と子どものプログラミング学習に対する想いを語っていただきました。

子育て中のママエンジニア、子どもにも愛される学習サイトを開発

―― K3Tunnelはどのようなツールなのでしょうか

K3Tunnelは、計算するためのビジュアル・プログラミング・アプリケーションです。難しいと思える問題に対してもプログラミング的思考を使えば、より簡単に答えを導き出せることを実感できるオリジナルコンテンツを提供しており、小中学生でも楽しんで学べるものになっています。

具体的には、家電の買いかえや大学生活のマネープランなど様々な問題に対して与えられた任務をプログラミングで解決する「ミッションに挑戦してみよう!」と、一から自由に作成していく「自由につくってみよう!」の2つのコンテンツがあります。

『K3Tunnel(ケイサントンネル)』ウェブサイト

―― なぜ「ケイサントンネル」という名前になったのでしょうか

「計算というトンネルを通す」というイメージで名づけました。着想は、『へんしんトンネル』という絵本。例えば、かっぱが「かっぱかっぱかっぱかっ...」と、トンネルから出てくると馬に変身している、というような内容のお話をたくさん集めた絵本です。

コンピュータの計算処理は、入力・計算・出力の処理から成り立っていますが、計算内容はブラックボックスになっていることが多いと思います。このブラックボックスになっているところをトンネルに見立てているので、トンネル部分をプログラミングで作っていくというイメージを持ってもらえたらと考えています。

―― 開発するきっかけは何だったのでしょうか

数年前から2020年度から小学校でのプログラミング必修化が検討され始め、今年になって正式決定しました。それを受けて、子ども向けの教育コンテンツが爆発的に出てきています。ひとりの母親として、その動向は気になっていました。一方、数年前から大手の金融機関は次世代投資家の獲得に向けて金融教育を始めていて、ある証券会社さんからシステム開発のお話をいただいたこともありました。その時は実現に至らなかったのですが、この分野で何かソリューションを提供できないかと考えたときに、投資に無関心な層に対しては、それ以外のコンテンツをつけることが必要なのではないか、特に子ども向けのプログラミング教育をくっつけたコンテンツは必ずニーズがあると考えました。

もう1つ、ここ数年、個人的に、何か新しいサービスを作るような仕事をしてみたいという想いがありました。金融教育+プログラミング教育というコンセプトなら、金融機関担当SEとしてのキャリアと、育児を通じて得た知識・感覚を生かすことができるので、自分の手で形にしたいという強い想いが湧いてきました。具体的なサービスの形も見えていないアイデアの段階でしたが、上司に相談したところ「やりたい」という想いを買ってくれて一緒に企画の具体化に取り組んでくれました。結果、役員に開発着手の承認を得て、今に至ります。現在子育て中で短時間勤務と在宅勤務を選択している環境の下、企画の原案作り、アプリケーションの設計・開発をほぼ1人で実行しました。といっても、独力で作り上げたわけではなく、所属部署の上司や同僚はもちろんのこと、部や事業部の枠を超えて、多くの社員が少しずつ支援してくれました。常に全力疾走状態ですが、入社以来、一番楽しい日々を送っているかもしれません。(笑)

ちなみに、自分の子どもにもK3Tunnelをやってもらおうとしているのですが、まったく興味がなくて。「これお母さんがつくったからやってよ」と言っても全然やってくれませんね(笑)。

「難しいけれど楽しい」子どもの好奇心と意欲をかきたてるツールに

―― K3Tunnelが他の子ども向け教育用プログラミングツールと異なる点はありますか

他のプログラミングツールとK3Tunnelとの違いは、「プログラミングを学ぶ」のではなく、「プログラミングで学ぶ」ためのミッションを与えているところです。また、グラフや表でアウトプットを分かりやすく表現できるようにしています。

世の中に出回っているプログラミングツールはイラストを動かすようなゲーム感覚なものに偏っています。子どもたちにまずはプログラミングを知ってもらって体験してもらうという観点からは、とても優れているツールが既にたくさんあります。でも実際に社会の中でプログラミングが使われているところって、クリエイティブな領域だけではないですよね。世の中で起きている問題を解決するために使われています。
その面白さを知ってもらうために、子どもたちには理科や社会といった教科をプログラミングで学んでもらえたらいいなと思うんです。

例えば、夏休みに種の数と花びらの数に比例しているという仮説をたてて、観察するというような自由研究に取り組む子はたくさんいると思います。そういうところでK3Tunnelを使ってもらえたらうれしいです。

―― 子ども向け体験イベントを今年開催されましたが、子どもたちの反応はいかがでしたか

体験イベントは、春休みに社員のお子さん向けと夏休みに地域の小学生向けに実施して、「家電買いかえ大作戦」のミッションに挑戦してもらいました。プログラミングの前に、実際に欲しい家電を選んで合計金額などを計算してみるワークをやったのですが、こちらが笑いたくなってしまうくらい、みんな真剣に選んでいました。実際のプログラミングも積極的に取り組んでくれて、終了後のアンケート回答では、「難しかった」と「楽しかった」の回答がほぼ同じ割合で大半を占めていたのには驚きました。

つくった私たちが「ちょっと難しすぎるかな?」と思った問題でも身近な生活にシーンを設定したことで興味を持って楽しんで取り組んでくれました。全部解けなくてもまた挑戦したいと言ってくれて、嬉しい発見でした。これからもワークショップなどをやっていきたいと思っています。

ミッションの提示

オフラインワーク

プログラミング

グラフによる結果表示

―― 今後の抱負を教えてください

小学生向けからスタートはしていますが、小学生から大人まで、幅広く使ってもらえるツールしたいと思っています。もともと、金融教育とプログラミング教育の融合というコンセプトで始めたので、消費者教育から投資家教育まで、「プログラミングで学べる題材」を今後もサイト上で提案していきたいですね。教育機関や金融機関とコラボレーションできればいいなと思います。
サイエンスアゴラ2017には、「宇宙ステーションへの旅」というミッションを出展予定です。こちらは、社会公共ソリューション事業部が主管でコンテンツ開発しており、宇宙×プログラミングというコンセプトになっています。K3Tunnelのアプリケーションをベースにいろいろなコンテンツやサービスを作れればと思います。
まだ、公開したばかりなので、まずは、いろいろな人に使ってもらって、こんな使い方ができるのでは、こういうコンテンツが欲しいというような声を集めて行きたいと思っています。

広報・IR室 籔本 春

実際にお試しいただくと「もっと色んなテーマでやってみたい!」「子どもにやらせてみたい!」と思っていただけると思います。これからの展開にご期待ください。

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