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ヒヤリハットを集約してAIで分析 インシデント対策を即座に提示

日本航空株式会社様

プロジェクト概要

背景

安全管理部門が主体となり世界から集まるヒヤリハット事象の定性データを分析、インシデント対策を講じてきたが、生成AIを活用することでさらに深く効率的なデータ活用を目指した。

ソリューション

日々のヒヤリハット事象のリポートと過去からの約22万件のデータを、ベテランの知見や各種フレームワークを生成AIに学習させ分析。リスク要因の特定から対策立案までを自動化するシステムを新たに構築した。

成果

過去に遡っての類似事象のマクロ分析により、新たな視点から予防的な安全対策の検討が可能になった。今後は各空港の現場での利用、さらには空港運営会社や他社エアラインとの安全対策の共有も視野に。

空港業務の安全管理を強化

政府のインバウンド政策により、空港利用者数の増加が著しい。それに伴い、航空会社には、より高度でスピーディーな安全対策が求められるようになってきた。
日本航空では、現場から上がってきたヒヤリハットのリポートの分析とリスク評価について、生成AIを活用することでスピードと精度を高め、空港における安全管理をさらに強化したいと考えた。空港安全推進部企画グループ・グループ長の諏訪 次郎氏は振り返る。
「海外を含め、毎月約1800件ものヒヤリハットのリポートが送られてきます。過去10年分・約22万件のデータも蓄積されています。一方、リポート全体から重大なインシデントの兆候を見定めるためのマクロ分析は、BIツールなどを駆使してもなお、大きな手間がかかっていました」
また、インシデントが発生した際に再発防止策を立ち上げるという事後的(リアクティブ)な安全管理だけでなく、リスクを未然に予測する予防的(プロアクティブ)な安全対策を強化したいという狙いもあった。

日本航空株式会社 空港安全推進部 企画グループ グループ長 諏訪 次郎氏
日本航空株式会社 空港安全推進部 企画グループ グループ長
諏訪 次郎氏

ベテランの知見もAIに学習させる

日本航空は、こうした課題を解決し、ヒヤリハットのデータをより高度利用するための独自システム「JAL-AI FALCON(ファルコン)」(以下、FALCON)の構築を検討し始めた。2025年初頭のことだ。
システムの開発にあたっては、リスクレベルの評価から対策案の提示までをワンストップで行えることを要件とした。まずは空港安全推進部での活用となるが、将来は各空港の現場担当者が自らFALCONを使ってリスクレベルを分析し、現場での日々の注意喚起につなげるような活用法を考えていたからだ。
開発のパートナーには、日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)を選定した。生成AIに関する技術力と実績、そして、航空・旅行業界の深い知見が決め手になったという。
開発は両者の密接な連携の下で進んだ。「初期段階では、AIでできること/できないことをPoC(概念実証)で確認しながら適切な提案をしていただけた」と諏訪氏は振り返る。
空港安全推進部リスクマネジメントグループマネジャーの武藤 隼氏は「我々が普段使用している『4M5E分析』(原因や対策を多角的に分析するフレームワーク)やベテラン担当者の知見などを即座にかつ詳細に理解いただき、AIに学習させながらシステムを作り込んでいきました。その結果、要因分析や対策において納得感のある答えを得られるシステムとなりました」と語る。

日本航空株式会社 空港安全推進部 リスクマネジメントグループ マネジャー 武藤 隼氏
日本航空株式会社 空港安全推進部 リスクマネジメントグループ マネジャー
武藤 隼氏

まずは羽田空港で本格稼働

日本航空では2026年2月、まず羽田空港の安全管理業務でFALCONの活用を開始した。その成果について諏訪氏は、「対策を打たないと何が起こるのか、というインシデントの予測シナリオや、即時性、コストといった切り口から複数の対策案を示せるようになりました。単にトラブルの要因を分析するだけでなく、『何をすべきか』という我々が求める次のアクションに結び付けられるシステムだと考えています」と述べる。
FALCONが分析した問題点とその対策を、すぐに次の日のブリーフィングで共有できるというスピード感は、インシデント削減といった定量的な効果も期待されている。また、AIによるマクロ分析により、これまで個人の判断ミスとされていた事象でも、実は構造的なリスク要因があると判明した例もあったと言う。
空港安全推進部企画グループの栄村 匡哉氏は「FALCONの導入で、他の空港や過去のヒヤリハット情報とひもづけ、共通する要因を見ることができるようになりました。現場の安全に対する意識もさらに高まるだろうと感じています」と語る。
今後、日本航空では国内すべての空港における安全管理部門にFALCONを横展開しつつ、貨物の取扱部門や航空機の整備を行う部門との連携も進めていく予定だ。
諏訪氏は「当面の目標は、現場における分析と改善のプロセスを確立させ、全社において安全文化をさらに浸透させていくことにあります。将来的には空港運営会社や、他社エアラインとも安全対策を共有するような枠組みが必要となるでしょう。NSSOLには、ぜひ今後も様々な面でご協力いただきたいと思います」と、さらなる展開を構想している。

日本航空株式会社 空港安全推進部 企画グループ 栄村 匡哉氏
日本航空株式会社 空港安全推進部 企画グループ
栄村 匡哉氏

コアテクノロジー

●生成AIによる定性データ分析ノウハウ、航空運輸業界の知見、アジャイル開発

システム概要

●既存のAWS基盤上で構築した生成AIによる現場データ分析システム

関連SDGs

SDGs 9

重要な社会インフラである航空輸送を提供

SDGs 13

日々の運航での温室効果ガス排出量削減

JAL-AI FALCONのシステム構成の概要

・NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。
※JAL-AI FALCONは日本航空の社内システムの通称です。

日本航空株式会社様

本社: 東京都港区赤坂9-7-1
設立: 1951年
資本金: 5474億4200万円
売上収益: 1兆8440億円(2025年3月末時点)
就業者数: 連結3万8433人(2025年3月末時点)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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