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新薬開発のスピードアップへ 統合データ利活用基盤を構築

小野薬品工業株式会社様

プロジェクト概要

背景

サイロ化されているデータを全社横断で統合し、データドリブンなビジネスに利活用することで、新薬開発のスピードアップを目指していた。

ソリューション

日鉄ソリューションズの統合データマネジメントプラットフォームDATAOPTERYXをベースに統合データ利活用基盤「OASIS」を構築。セキュリティーとガバナンスも強化した。

成果

本基盤の導入により、データの一元管理・高速分析が可能な環境を実現した。現在、デジタル製造業ブランド「PLANETARY」を掲げるNSSOLとともに、データ利活用文化の醸成に取り組んでいる。

データを一元化し、高度活用へ

抗悪性腫瘍剤をはじめとする医療用医薬品に強みを持つ小野薬品工業は、新たに統合データ利活用基盤「OASIS(Ono Advanced Scientific Insight Service)」を構築した。同社は独自の手法で新薬開発を進めており、社内に有用なデータを蓄積している。これらをOASISに一元化し、AIやデータサイエンスなどを併用することで、新薬開発のスピードを高める考えだ。
OASISの構築には、大きく2つの狙いがあった。1つはデータの「サイロ化の解消」だ。デジタル戦略企画部データ戦略企画推進室の渡邊 崇氏はこう話す。「臨床データのように取り扱いに注意が必要なデータが多く、以前は部署ごとに管理していました。そのため、どの部署がどんなデータを持っているのか、ほかの部署には分からない状況でした。こうしたデータのサイロ化を解消し、共有すべき有用なデータを全社横断で利活用できるようにしたかった」。
新基盤におけるもう1つの狙いは「データ利活用文化の醸成」である。デジタル戦略企画部DX戦略企画推進室の大西 徹氏は、「データドリブンな創薬ビジネスを展開していくには、何か新しいことに取り組むとき、担当者自身が『そうだ、データを活用してみよう』と思えるような文化を醸成する必要があります。従来のように一部のエキスパートだけがデータ利活用に取り組むのではなく、ユーザーの裾野をもっと広げていきたいと考えています。OASISがそういう基盤になることを目指しています」と語る。

小野薬品工業株式会社 デジタル戦略企画部 データ戦略企画推進室 プロジェクトマネージャー 渡邊 崇氏
小野薬品工業株式会社 デジタル戦略企画部 データ戦略企画推進室 プロジェクトマネージャー
渡邊 崇氏

サイロ化データを短期間で統合

2022年1月、小野薬品工業はOASISの構築プロジェクトを開始した。パートナーに選ばれたのは日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)だ。小野薬品工業における機械学習の導入実績やデータ分析の知見、技術力などが評価された。
大西氏は「データサイエンティストのスキルの高さやプロジェクトマネジメントにおける信頼性はもちろんのこと、『データ利活用人材を全社的に育成したい』という当社の目的を正しく理解し、積極的なスキル移転を提案してくれたことを高く評価しました」と選定の理由を語る。
OASISの構築には、クラウド型データウエアハウスの「Snowflake」やデータ統合・連携ツール「Talend」を利用するNSSOL独自の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」を導入。サイロ化していたデータをクラウド上のデータウエアハウスに短期間で統合し、データの匿名化や適切なアクセス制御などによって強固なセキュリティーとデータガバナンスも確立した。

小野薬品工業株式会社 デジタル戦略企画部 DX戦略企画推進室 チームリーダー 大西 徹氏
小野薬品工業株式会社 デジタル戦略企画部 DX戦略企画推進室 チームリーダー
大西 徹氏

データ分析の代行サービスも提供

OASISは2022年8月から運用を開始した。現在は第1フェーズとして、OASISによるさまざまなユースケース(データ利活用案件)の検討が行われている段階だ。
さらに小野薬品工業は、NSSOLとともに、データ利活用スキルが不足しているユーザーに対してデータ分析の代行サービスを提供している。これまでデータ分析をしていなかった部署からの引き合いが多いという。また、OASISの活用に関する勉強会やデータ分析コンペティションの開催といったデータ利活用促進策も積極的に実施している。

ビッグデータ処理時間を大幅短縮

OASISの構築により大きな成果が得られた。「データ量にかかわらず高速に解析できるようになったため、従来は30分かかっていたビッグデータの分析作業がわずか5分で済むなどの効果が出ています。ユースケースについてはこれからですが、疾患の発症予測モデルの構築、研究プロセスの最適化などが各部署で検討されています」(渡邊氏)。
データ利活用文化の醸成にも一層注力していく。「今回、データドリブンで事業を推進するための土台ができたので、これからOASISの認知度をさらに高めていく施策をNSSOLとともに推進していきます。最終的にはノーコードで分析できる環境を構築したい」(大西氏)。
今後もNSSOLへの期待は高い。「ITによる変革のスピードは速く、社内でノウハウを蓄積するだけでは追い付けない部分があります。他業種の実績を含め、NSSOLには引き続きさまざまな情報提供や提案をしてほしい」と渡邊氏は語る。

コアテクノロジー

●データマネジメント、データ匿名加工、データガバナンス

システム概要

●統合データマネジメントプラットフォーム:DATAOPTERYX

  • データガバナンスソリューション「Talend Cloud」
  • データクラウドプラットフォーム「Snowflake」

関連SDGs

SDGs 3

独創的で革新的な治療薬の創製により、社会に貢献

SDGs 9

イノベーションの促進および研究開発基盤の構築

SDGs 17

世界の最先端技術や知見を活用した自社創薬を推進

小野薬品工業が構築した統合データ利活用基盤「OASIS」のシステム構成

・NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

小野薬品工業株式会社様

本社: 大阪市中央区久太郎町1-8-2
設立: 1947年
資本金: 173億5800万円(2022年3月31日現在)
売上高(連結): 3613億6100万円(2022年3月期)
従業員数(連結): 3687名(2022年3月末現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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