地球温暖化に関する研究強化に向け衛星データ研究解析用システムを導入

独立行政法人国立環境研究所様

プロジェクト概要

背景

・地球温暖化に関する研究強化のため、より幅広い研究を行えるよう高い計算性能と電力効率を備えた衛星データ研究解析用システムを求める。

ソリューション

・CPUとGPUの両方を計算に利用するハイブリッド計算ノードをベースとしたスーパーコンピュータの導入。

成果

・74.84TFlopsの高い実効性能を実現
・消費電力あたりの実効性能(636.36MFlops/ワット)で世界ランキング10位を達成

  • 地球温暖化研究の強化に向けスーパーコンピュータ導入を検討

    地球温暖化や資源循環・廃棄物などの幅広い環境問題に取り組む国立環境研究所(NIES)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、環境省と共同で「GOSAT(Greenhouse gases Observing SATellite)プロジェクト」を推進している。最先端のセンサーを搭載した人工衛星「いぶき」からのデータをJAXAが受信し、NIESがデータを解析して温室効果ガスの長期的な濃度変動を研究している。
    従来は所内のスーパーコンピュータおよび東京大学情報基盤センターの「T2Kオープンスパコン」を利用し、解析データを公開していたが、研究者がより自由に使える衛星データ研究解析用システムを求めていた。
    人工衛星からは大量の観測データが届くが、その1年間分の観測データを長くとも1ヶ月以内に処理できる性能が求めた。しかし、環境問題の観点から消費電力はできるだけ抑制する必要があった。
    こうした用件を満たすシステムの調達に向けて本格的に調査を開始したのは2009年1月。2010年1月に入札を行った結果、選定されたのが、新日鉄ソリューションズだった。

  • 新日鉄ソリューションズがシステム全体を2カ月で導入

    導入された衛星データ研究解析用システム「GOSAT研究用計算設備(GOSAT RCF)」は160台の計算ノードで構成。インテル XeonプロセッサE5530を320個(1280コア)、GPUのNVIDIA Teslaを320個使って計算できる。
    苦労したのは、コンピュータルームに収容スペースがなかったことだ。そのため既存実験施設を利用したが天井が低く床下配線や床下空調が利用できないこと、使用期限があった。そこで空調設備も含めてシステム全体を将来移設可能な設計とし、システムラック内に設置するタイプの空調装置を採用して、システムラック単位できめ細かく計算ノードを冷却できるシステムとした。また、計算ノードが熱を排出する通路をドアと天井パネルで覆うHACS(Hot Aisle Containment System)という手法を導入し、冷却効率を高めることにした。
    構築プロジェクトも短期間で進める必要があった。1月の入札からわずか2ヶ月でシステムの設置、電源やネットワークの配線を含めた工事を終える必要があったが、新日鉄ソリューションズはこの難しいプロジェクトを効率よくすすめ、予定どおり2010年3月にシステムが稼働を開始した。

  • 消費電力当たりの実効性能が世界ランキングのトップ10に

    さらに、2010年5月にはシステムのGPUをNVIDIA Tesla C2050へアップグレードし、実効性能 74.84TFlops、および消費電力1ワット当たりの実効性能 636.36MFlopsを実現。スーパーコンピュータの電力効率を競う世界ランキング「The Green 500」で、2011年11月に第10位となった。

コアテクノロジー

CPU/GPUハイブリッド計算ノード、並列ファイルシステム、HACS、InfiniBand

システム概要

●サーバー:
CPU/GPUハイブリッド計算ノード×160台(インテルXeonプロセッサーE5530×320個[1280コア]、NVIDIA Tesla C2050×320個)
●ストレージ:
DataDirect Networks S2A9900
(実効容量100Tバイト)

独立行政法人国立環境研究所様

所在地:茨城県つくば市小野川16-2
設立:2001年
人員構成:役職員252名、客員研究員等601名

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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