増加する科学衛星のデータ量に対応し より拡張性のあるシステム基盤に更改

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)様

プロジェクト概要

背景

科学衛星データ処理システムが5年サイクルの更改時期を迎え、増え続けるデータ量に対応できて、サーバー/ストレージ運用管理面での負荷も軽減できるシステム基盤への切り替えを検討していた。

ソリューション

信頼性、拡張性、運用管理性に優れたサーバー、ストレージ、運用自動化ツールを組み合わせたNSSOLの提案を選択。システム移行は、スケジュール面で非常に大きな制約があったが、ピンポイントの日程で完遂した。

成果

衛星データの処理、蓄積にあたり、より信頼性・拡張性の高いシステム基盤を構築できた。また運用負荷が軽減され、ユーザーの要望に対して迅速に仮想サーバーを提供できる仕組みを実現した。

  • データの増大へ、より柔軟に対応できるシステムを計画

    「宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所(JAXA/ISAS)は日本の宇宙開発の中心的機関として、小惑星探査機「はやぶさ2」をはじめ、様々な科学衛星・探査機の開発や打ち上げ、運用を任っている。科学衛星・探査機から届く観測データは、科学衛星データ処理システムで必要な変換処理をされたのち、衛星データアーカイブシステムに保管。累計600テラバイトに上る観測データが世界中の科学者に公開されている。
    このシステムが更改期を迎えた。最近は科学衛星が収集するデータ量が増える傾向にあり、ストレージ容量・サーバー処理能力とも不足感があった。また、仮想サーバーを払い出した後の設定に多大な時間を要していたため、今回の更改ではデータ量の増大に柔軟に対応でき、かつ運用負荷を軽減できるシステム基盤を求めていた。

  • 各部門のスケジュール調整をNSSOLが支援し、確実な移行を実現

    入札の結果、JAXA/ISASは科学衛星のデータ処理に豊富な知見を有し、前システムにおける基盤構築・運用の実績をもつ新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)の提案を採用した。基本構成は、Dell EMCのハイパーコンバージド・インフラ「VxRail」とスケールアウト型ストレージ「Isilon」に、運用自動化ツールを組み合わせたものだ。
    JAXA/ISASは新システム基盤への切り替えを2018年の6月から順次実施した。いかなるデータの消失も許されず、かつ小惑星に接近中だった「はやぶさ2」の運用がクリティカルな時期に入るなどの困難がある中、NSSOLはJAXA/ISAS内の各サブシステムを運用する部署やベンダーと連携しながら移行を支援。綿密な移行スケジュールのもと、システムの停止期間を最小限に抑え、予定通り8月末での移行を完了した。

  • システムの柔軟性と拡張性を増し、ITリソースの迅速な提供が可能に

    新システム基盤の稼働により、バックアップを含めた総論理容量は3.3ペタバイトに増加した。スケールアウト型ストレージの採用によりストレージ容量の拡張が容易になったことから、高信頼性を維持しつつ将来におけるデータの増大にも柔軟に対応できるようになった。また、旧システムでは数週間から最大2カ月かかっていた仮想サーバーの設定作業が、新規導入した運用自動化ツールなどにより数日に短縮された。これにより、検証サーバーにおいてJAXA/ISASや研究者の様々なニーズに対して必要なITリソースを迅速に提供できるようになり、業務の効率化に貢献している。
    JAXA/ISASは今後もさらなる安定運用やセキュリティの向上を目指し、NSSOLの協力のもとシステムの改善を検討していく予定だ。

コアテクノロジー

業界トップクラスの業務知識、インフラ構築のノウハウ

システム概要

●サーバー:Dell EMC VxRail E460 Hybrid(VMWare VSAN)
●ストレージ:Dell EMC Isilon H600、A2000
●ミドルウエア:Red Hat Ansible Tower、Red Hat CloudForms

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)様

本社:東京都調布市深大寺東町7-44-1
設立:2003年
資本金:5442億円
予算:1287億円(2017年度、本予算+補正予算)
職員数:1525名(2018年4月現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

見積もり、提案依頼はお問い合わせください。

関連リンク