アクセス分析基盤をAWSで刷新 データ検証に基づく意思決定を可能に

株式会社日本経済新聞社様

プロジェクト概要

背景

デジタルメディアの運営方針が変わり、新しいアクセス分析ニーズが生じた。これに対応するには従来の分析ツールが抱える2つの課題を解消する必要があったため、日本経済新聞社は新ツールの内製に踏み切った。

ソリューション

開発期間を短縮でき、高いスケーラビリティーを持つAWSを開発基盤に採用。AWSでのサービス開発に長けたNSSOLメンバーがプロジェクトを支援し、3カ月で新ツールの初期バージョンを開発した。

成果

従来の課題を解消し、リアルタイムなアクセス分析を実現したことによって、データ検証に基づく迅速な意思決定が可能となった。新システムの年間コストは、従来の10分の1にまで削減されている。

  • 読者との関係を強化するため、新しいアクセス分析ツールの自社開発へ

    2015年に英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズを買収し、世界最大級の経済メディアグループとなった日本経済新聞社は、先進的な欧米メディアが注力している「オーディエンスエンゲージメント(個々の読者との関係)」の構築手法をいち早く取り入れ、購読者の長期的な維持に取り組んでいる。
    オーディエンスエンゲージメントの強さは、読者一人ひとりの記事アクセスデータ(閲覧の頻度やページ数など)を基に測定する。しかし、従来利用していたサードパーティーのWebアクセス分析サービスでは、最新データを取得・集計するのに45分以上の遅延があり、扱えるデータ量の制約により正確な集計値を出せない、という根本的な課題があった。これらを解決するため、同社は分析ツールの自社開発を決めた。

  • 開発パートナーと技術的な議論を重ね、AWSで短期開発

    2016年8月、日本経済新聞社はアクセスログ収集分析基盤「Atlas」の開発に着手した。Atlasの開発・運用基盤には、リソースを機敏に増やせるAmazon Web Services(AWS)を利用している。
    開発の中心メンバーは、同社データチームの社員と、AWSに精通した新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)の技術者の2人だ。ビジネスのゴールをしっかりと共有しつつ、AWS上での実装形態などについてはゼロから2人で議論を交わし、アジャイル型で開発サイクルを回していった。突発的なアクセス増があっても処理が遅延しない仕組みの構築や、データ量の制限をなくしたことによる正確なデータ集計の実現など、社内の分析ニーズやサービス開発に応える機能を順次実現している。

  • リアルタイムのデータ分析を10分の1のコストで実現

    Atlasの最初のバージョンは、開発着手から3カ月後の2016年11月に完成。その後も段階的に機能拡張し、2017年6月から日経電子版のリアルタイム計測を始めた。
    Atlasは、正確な集計に必要な大量データをすべて処理しながらも、遅延を従来の45分から1秒未満に短縮した。以前は突発的に記事アクセスが殺到すると遅延が数時間に及んだが、AtlasではAWSのリソースを瞬時に増やす仕組みを開発して遅延を回避している。これにより、読者の反応を正確かつリアルタイムに確認しながら日経電子版サイトの記事構成をタイムリーに更新するなど、成果を上げている。
    アクセス分析の年間コストは10分の1になった。日本経済新聞社は今後、Atlasの利用層を広げ、オーディエンスエンゲージメントの強化につなげていく。

コアテクノロジー

Amazon Web Services(AWS)関連技術

システム概要

●システム基盤:Amazon Web Services

株式会社日本経済新聞社様

東京本社:東京都千代田区大手町1-3-7
創刊:1876年12月2日
資本金:25億円(2017年12月末現在)
売上高:1872億円(2017年12月期)
従業員数:3021名(2017年12月末現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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