競争力強化へ新工場で生産能力を拡大一貫生産の開始に伴い管理を高度化

日鉄住金冷圧鋼線（蘇州）有限公司（NSCh）様

• 中国で二次加工の新工場を建設、管理高度化へシステム開発を検討

  自動車用高級ボルトなどに使う冷間圧造用鋼線の中国における競争力強化に向け、新日鐵住金と二次加工メーカーの共同出資で2013年に設立された日鉄住金冷圧鋼線（蘇州）（以下、NSCh）。同社設立の目的は蘇州市に新設する工場で、酸洗・被膜や焼鈍など従来、日本で行っていた工程を中国国内で手掛け、生産能力を拡大することだ。
  NSChの前身となった日鉄特殊鋼棒線製品（蘇州）（以下、NBC中国）がこの新工場建設に向け、生産管理システムの導入を検討したのは2011年後半である。伸線工程のみを手掛けていたNBC中国の工場に比べ、NSChの新工場は工程数が増え、品種によっては工程が循環するなど、より複雑になる。同社はITを活用して生産管理をより高度化することで、品質・コスト・デリバリー面の優位性をより高めたいと考えた。

• 現地におけるシステム構築実績が豊富なNSSOL上海が導入を支援

  NSChは、中国におけるシステムの構築実績が豊富な新日鉄住金軟件（上海）（以下、NSSOL上海）に、生産管理システムの導入支援を依頼。新工場の一貫生産工程をより厳格に管理できるよう、スクラッチでシステムを開発した。
  システム構築プロジェクトは2013年11月にスタート。2014年2月からの基本計画、4月からの基本設計、7月からの詳細設計・製作・単体テストなどを経て、2015年6月から本格運用を開始している。このシステムでは、原料となる線材に貼られているQRコードを読み取り、異材防止や進捗管理、トレーサビリティの確保に使う。NSSOL上海は、この生産管理システムの企画・検討、設計・製作・テストに加え、ITインフラの導入を含むプロジェクト全体を包括的に支援した。

• 異材防止が格段に高度化、進捗の見える化で問い合わせへ即時回答

  生産管理システムの成果は期待通りである。異材防止は、NBC中国のときより格段に高度化した。NSChの製品は品種ごとに工程が異なるが、全品種の生産状況がこのシステムですぐ分かる進捗の見える化が実現しており、ボルトメーカーなどの顧客による問い合わせに対して即時回答が可能になっている。
  生産管理システムは現場業務のさらなる生産性向上にも貢献した。鋼材メーカーが原料として提供する線材の成分情報を、システムで自動的に取り込んでいるため、従来は人手で行っていたデータ入力作業が不要になっている。
  今後は、現場の要望に応じて、QRコードをより広い範囲で活用するなど、機動的に機能を追加・変更していく。