気象衛星ひまわり8号・9号の運用事業推進へ高可用性を追求した地上システムを整備

気象庁様

プロジェクト概要

背景

気象衛星ひまわり8号・9号運用事業をPFI方式で推進。宇宙から衛星が送る観測データを24時間365日、途切れることなく安定して受信し続けるための施設・設備である地上システムを整備し、15年間維持管理していく。

ソリューション

入札で選定した特定目的会社「HOPE」の構成員である新日鉄住金ソリューションズが、ユーザー系SIerとして培ったプロジェクト推進力と、長年の宇宙事業で蓄積した技術知見を活かし、地上システム整備プロジェクトを牽引する。

成果

約5年の整備期間を経て、地上システムが無事に完成。静止軌道上へ打ち上げたひまわり8号の運用事業を開始した。2015年夏から天気予報などに利用するため、防災関係機関、報道機関などへのデータ配信が始まる。

  • ひまわり8号・9号の運用事業推進へ、新しい枠組みでの調達を計画

    自然災害の軽減、国民生活の向上、交通安全の確保、産業の発展などに向けて的確な気象情報の提供責務を担う気象庁。海上の台風など、陸上での観測が困難な気象情報を収集するため、長らく静止気象衛星「ひまわり」を運用している。
    その最新鋭機「ひまわり8号・9号」は、世界に先駆けて最新鋭のセンサーを搭載し、高頻度、高解像度、複数チャンネルによるカラー化などを実現。これまで以上の気象・防災情報の収集やその高度活用が期待されている。ひまわり8号・9号は気象庁単独で運用する初めての衛星であり、同庁は民間企業の知見と資金を積極的に活用するとともに、自前で運用する場合に比べてコスト効率向上も期待できる、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式を採用。2010年に地上システムの担当事業者を選定した。

  • 多重化と同時並行処理により高性能・可用性を実現

    選定された特定目的会社「気象衛星ひまわり運用事業(以下、HOPE)」の構成員であり、整備・維持管理担当となった新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)は、衛星運用システムのICT基盤分野において豊富な実績と知見がある。NSSOLはネットワーク・ITインフラの整備のほか、整備責任者として整備事業全体のプロジェクト推進を担当。大規模災害を想定して複数拠点にまたがる伝送ネットワークを設計するとともに、NSSOLの第一データセンターを中心とする計算機設備とオペレーティングセンターを整備した。本事業は15年と長期にわたるため、各設備には最適な維持管理計画が定められており、24時間365日安定的にシステムを維持・運用できる。また、万一の事態に備えてBCP(事業継続計画)を策定し、衛星運用に万全を期した。

  • 10分間隔で絶え間なく流れるデータを確実に15年送り続ける

    2014年10月に打ち上げられたひまわり8号(同9号は2016年打ち上げ予定)は、半年程度の試験運用期間を経て、2015年夏からいよいよ本格的にその観測データを防災関係機関、報道機関などへ提供していく。
    ひまわり8号は気象衛星として初めて高精細なカラー画像を撮影。全球観測の場合は10分単位、台風など観測領域を制限した場合は2.5分単位と、以前に比べて高頻度での観測が可能となっている。ひまわり8号・9号の地上システムは、衛星が絶え間なく送信し続けるデータを、常に遅れることなく確実に処理。運用事業が続く2029年までの約15年間、24時間365日にわたり、気象庁を通して、防災関係機関、報道機関、さらには国民のお茶の間へと、絶えず届けていく使命を持っている

    PFI:Private Finance Initiative。公共施設・サービスの整備、維持管理などにおいて、民間の資金、経営・技術能力を活用すること。国や地方公共団体の施設やサービスのコスト削減、品質向上が狙い。

コアテクノロジー

プロジェクトマネジメント、24時間365日無停止、システム/ネットワークの多重化、データセンター

システム概要

●ネットワーク拠点:主局アンテナサイト(埼玉県鳩山町)、主局データセンター(東京都板橋区)、副局アンテナサイト/データセンター(北海道江別市)
●顧客拠点:気象衛星センター(東京都清瀬市)、大阪管区気象台(大阪府大阪市)

気象庁様

所在地:東京都千代田区大手町1-3-4 ほか

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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