世界最先端の生命科学実験装置へ 高性能データ集積システムを導入

茨城大学・茨城県様

プロジェクト概要

背景

世界最先端の生命科学実験装置で、大量の測定データをリアルタイムに記録するデータ集積ネットワークシステムを構築する。高い性能と、障害で実験が停止しない高い安定性を確保するため、専用システムを導入する。

ソリューション

測定データを複数のコンピュータで並列処理し、大容量ストレージへ記録する。入札で新日鉄住金ソリューションズに構築を依頼。段階的に増強と改造を行って、きめ細かな要件を満たすシステムを作り上げる。

成果

400Mバイト/秒の性能を備え、長期間安定動作するシステムが実現した。また、測定データを書き込みながら読み出せるようになり、測定状況を素早く確認するとともに、装置の障害を早い段階で発見することが可能になった。

  • 大量の測定データを記録する専用システムの導入を検討

    素粒子・原子核物理や物質・生命科学など幅広い分野における最先端の研究を行う、世界最大級の複合実験施設J-PARCがある東海地区など、多数の科学技術施設が立地する茨城県。同県自らもプロジェクト枠を設け、先進的な研究を推進している。その一つ「茨城県生命物質構造解析装置(以下、iBIX)」は、J-PARCに茨城県が設置し、茨城大学が開発と運用を行う世界最先端の生命科学実験装置で、医薬品、食品・農産物、有機材料など、幅広い産業分野における利用が期待されている。
    iBIXは、単結晶の試料へ1秒間に25回の頻度で中性子ビームを照射し、試料の構造を解析する装置で、中性子を利用した顕微鏡にたとえられる。大量のデータを記録するため、高い性能を備え、書き込みと読み出しが同時にできる専用システムを求めた。

  • 大容量ストレージに並列処理で測定データを確実に記録

    iBIXを開発した茨城大学は、大量の測定データを複数のコンピュータで分散処理し、大容量の共有ストレージシステムへ集約して記録する「データ集積ネットワークシステム」の仕様を策定。同システムの構築を入札によって新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)に依頼する。
    NSSOLは豊富な経験とノウハウを基に同システムの構築および増強・改造を実施。スケールアウト型ファイル共有ソフトウエア「StorNext」とSAN(ストレージエリアネットワーク)ストレージを組み合わせたデータ集積ネットワークシステムを2010年に完成させた。検出器が送信する大量の測定データを、データ集積用計算機に集め、共有ストレージシステムへ書き込む仕組みになっている。

  • 期待通りの性能と安定性を実現、2015年の実験規模拡大にも対応

    データ集積ネットワークシステムは、期待通りの性能と安定性を実現している。性能は最大400Mバイト/秒に達し、検出器が約60Mバイト/秒で送信する測定データを確実に記録できる。2015年に、試料へ照射する中性子ビームの強度が計画通り最大出力になり、測定データ量がさらに増えても対応が可能だ。安定性では、実験の中断に結びつくシステム障害が皆無となった。iBIXは複数の組織がタイトなスケジュールで共同利用する装置であるため、障害による稼働率の低下を防げるようになった。
    測定データを書き込みながら読み出せるようになった成果も大きい。データをリアルタイムに解析し、測定状況を素早く確認できるようになったほか、実験装置の障害を測定の初期段階で発見することが可能になった。

コアテクノロジー

SAN、StorNextファイルシステム

システム概要

●サーバー:約10筐体
●ファイル共有:StorNext、SANストレージ
●ネットワーク:イーサネット(10Gビット/秒)、SAN(4Gビット/秒)
●UPS:1台

茨城大学・茨城県様

茨城大学
フロンティア応用原子科学研究センター
所在地:茨城県那珂郡東海村白方162-1

茨城県
いばらき量子ビーム研究センター
所在地:茨城県那珂郡東海村白方162-1

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

見積もり、提案依頼はお問い合わせください。

関連リンク