日本経済の動向を示す調査統計 抜本的な業務改善へシステムを再構築

経済産業省様

プロジェクト概要

背景

「電子政府構築計画」策定を受け、調査統計に関する業務の抜本的な改善に向けシステムを再構築する。調査統計の分野ごとに6システムがあり、データベースの構造やシステム開発言語、操作方法が異なっていた。

ソリューション

システム統合によって業務の標準化を進めるとともに、調査項目や集計データの審査内容を柔軟に変更できるようにする。調査の回答をインターネット経由で行いやすくして、調査票の準備などにかかる負担を軽減する。

成果

業務の標準化・効率化、調査の柔軟性向上が期待通り実現し、従来より少ない人数で業務品質を維持可能になった。運用コストは約20%削減している。今後はシステムの使い勝手を高めるなどで、さらに効率化を進めていく。

  • 「電子政府構築計画」を受け、調査統計システムの再構築を検討

    経済産業省は、産業構造の変化といった日本経済の動向を把握するために「生産動態統計」「工業統計調査」をはじめとする12種類の調査統計を実施・公表している。調査業務の増加に伴いシステムを拡充してきたが、ハードウエアやデータベースの構造などが異なる六つのシステムが混在し、運用負荷の軽減が課題になっていた。
    また従来のシステムでは調査項目を見直すたびに、システムの改修が必要になった。そこで2003年の「電子政府構築計画」策定を受け、2005年には業務の標準化・効率化・品質向上やデータの一元管理を目指した「統計調査等業務の業務・システム改善計画」を作成。翌年から既存システムを統合した「経済産業省調査統計システム(STATS)」の開発に着手した。

  • NSSOLの支援により、調査項目の変更などを容易に

    要件をもとに経済産業省は新システム構築プロジェクトの入札を実施。新日鉄ソリューションズが基本設計と詳細設計を落札した。基本設計は2006年10月、詳細設計・開発は2007年10月から実施している。新日鉄ソリューションズは、同社のJavaアプリケーション標準フレームワークである「DukeNavire(デュークナヴィール)」や独自開発の統計用フレームワークを使用して新システムを構築した。
    新システムでは、調査項目や審査内容の変更を柔軟にする機能を実装した。まず「調査票メタ」などメタ情報という定義機能で、調査票の形式・項目を変更しても前年のデータとの関連付けを容易にした。また「個票審査スクリプト」など審査スクリプトという機能で、調査票の入力ミスと思われる値を検出するルールを定義できる。

  • 従来より少ない人数で業務品質が向上、運用コストも20%削減

    新システムは、主に月次で実施する動態統計の部分と、年次で実施する構造統計の部分の2段階でリリースした。全面稼働は2010年11月である。導入によって少ない人数で業務品質を維持可能になり、運用コストは約20%削減できたという。
    また、調査項目を柔軟に変更できるようにしたことで、産業構造の変化をよりきめ細かく調査できるようになった。調査項目を変更する調査は多く、システム開発コストの削減効果も大きいという。また、調査の回答をインターネット経由で行いやすくしたことによって、調査票の準備や送付、記入済み調査票の回収、調査票用紙からのデータ入力といった業務が効率化している。今後はシステムの使い勝手を高めるなどで、さらに効率化を進める。

コアテクノロジー

Java、大規模開発、フレームワーク(DukeNavire、Spring、NSSOL独自統計用フレームワーク)、Oracle Database

システム概要

●サーバー:16台(Windows Server、Linux、AIX)
●クライアント:400端末
●プログラム本数:約5000本
●プログラム規模:約75万STEP
●画面数:508

経済産業省様

所在地:東京都千代田区霞が関1-3-1

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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