プロジェクト概要
背景
・ALM(資産・負債の総合管理)と市場リスク管理をそれぞれ精緻化しながら、統合的に実施できること。
ソリューション
・実績豊富なALMと市場リスク管理のパッケージ製品を揃え、金融業務に関する深い知見を持つ新日鉄ソリューションズを起用。
・時価開示についても同社の製品を活用。
成果
・求めていたリスク量の精緻な計測と時価開示が実現した。
・IFRSに通じる考え方が盛り込まれており、今後の対応をイメージするために役立っている。
変化する金融情勢への対応にリスク管理の高度化を検討
名古屋銀行は従来、預貸金や有価証券に関するリスクを適切に管理してきたが、金融商品の多用化・複雑化などに対応する一層高度なシステムを求めていた。
新システムの検討を本格的に開始したのは2007年である。
リスク把握を一段と精緻にすることで、これまで以上に経営計画を適切なものにすることが狙いだった。重視した要件は大きく分けて二つあった。預貸金と有価証券の各リスクを統合的・横断的に管理することと、急速に進む金融商品の多様化・複雑化への対応である。2008年12月、同行は4社の候補から新日鉄ソリューションズを選定する。選定に当たっては、統合的なリスク管理ソリューションを提供できることに加え、これまでの実績やエンジニアが金融業務に関する深い知見を持っている点を重視したという。実績ある複数のパッケージを持ち豊富な人材を擁するNSSOLを選定
開発プロジェクトは2009年1月から始まった。新日鉄ソリューションズの提案したシステムは、ALMを実現する「BancWare Convergence」と、市場リスク管理を実現する「MarketQuants」といった複数のパッケージを組み合わせ、統合的なリスク管理を可能にするものだった。
ALM・市場リスク管理機能については、同年6月に基本設計を終え、10月から結合テストに入るなど、開発は順調に進んだ。
難関だったのは、2009年半ばから開始した、金融商品の時価開示機能の開発である。同機能は、新しい企業会計基準へ対応するために必要になった。
新日鉄ソリューションズは、2009年5月に発売した時価開示対応のパッケージ「BancMeasure」をベースにしたシステムを提案。ALM・市場リスク管理機能と並行しながら、時価開示機能を開発した。最終的に時価開示機能の要件が固まったのは2009年の秋だったが、予定通り2009年12月期のデータを基に総合テストを行うことができた。
こうして、統合市場リスク管理システムは、2010年3月末データから時価開示機能が、5月末データからALM・市場リスク管理機能が稼働を開始している。満足度の高いシステムが稼働 IFRS対応にも活かせるシステムに
新しいシステムでは、従来に比べて格段に多角的な分析が可能になっており、満足度は高い。例えば、市場リスク管理指標の一つであるVaRの算出については、市場を動的に反映できるヒストリカル法が利用可能になっている。
「新システムには、IFRSに通じる考え方も盛り込まれており、今後のIFRS対応をイメージするのに役立っています」(リスク統括部係長)
コアテクノロジー
リスク管理分野における深い業務知見、統合的なリスク管理機能、多数の導入実績を持つパッケージソフト
システム概要
●アプリケーション:
BancWare Convergence(バンクウェアコンバージェンス)、
MarketQuants(マーケットクオンツ)、
BancMeasure(バンクメジャー)
●サーバー:
Windows Server 2003×3
株式会社名古屋銀行様
株式会社名古屋銀行様
本店:名古屋市中区錦3-19-17
創業:1949年
資本金:250億円(2010年3月31日現在)
経常収益:単独552億円/連結709億円(2010年3月期)
従業員数:単独2023名/連結2129名(2010年3月31日現在)
グループ会社:連結子会社5社