不良品の追跡を短時間かつ高精度に QRコードでトレーサビリティを確立

電装(中国)投資有限公司様

プロジェクト概要

背景

品質不良が発生した出荷済みの製品を回収する際、対象を十分に絞り込めず、多数の良品も回収していた。この問題を契機に、より高精度なトレーサビリティシステムの迅速な構築を決定した。

ソリューション

部品・製品に付けたQRコードを部品入荷から製品出荷までの約10カ所で読み取り、トレース情報をデータベース化した。NSSOL上海のタグソリューションを活用したことで、実装を4カ月で完了させた。

成果

トレーサビリティシステムにより、従来は数日かかっていたトレース作業を5分以内で実行可能にした。精度も非常に高く、不良品が発生した場合の影響範囲を正確に割り出せるようになった。

  • 回収すべき不良品を十分に絞り込めず、リコール対象数が膨らんだ

    世界の自動車部品市場でトップクラスのシェアを誇るデンソーのグループ企業として、電装(中国)投資有限公司(以下、デンソー中国投資)は中国内に30社近くある現地生産・販売会社を統括している。
    2017年3月、中国にあるデンソーの生産会社は、出荷した製品に品質不良があるという連絡を受け、早急に対象品番や生産時期を絞り込んで製品を回収した。しかし、その後に詳細な調査を実施したところ、実際に品質不良が認められた製品は回収数の10分の1にすぎないことが分かった。この問題を早期解消するため、デンソー中国投資は翌4月に、製造部品に対するトレーサビリティシステムの構築プロジェクトを立ち上げ、1年後の稼働を目指して要件定義を開始した。

  • NSSOLのタグソリューションを活用し、システムを短期実装

    同社はITパートナーとして、新日鉄住金軟件(上海)(以下、NSSOL上海)を選んだ。ITベンダー数社の提案を比較検討した結果、コストと納期に加え、トレーサビリティシステムの構築経験が評価されたからだ。
    デンソー中国投資は、部品を入荷してから製造ラインを経て製品を出荷するまで、約10カ所で部品・製品の箱に付けたQRコードを全量読み取り、購買・製造ロットと製品の構成を完全にひも付けてデータベース化することにした。
    NSSOL上海は、QRコードやRFIDタグ(無線IDタグ)を使う独自タグソリューション「NSTAG++(エヌエスタグジャージャー、開発コード名)」のトレーサビリティ用テンプレートを使い、2018年2月までの4カ月で、予定より早く実装を完了させた。

  • 数日かかったトレース作業を、わずか5分で実行

    今回構築したトレーサビリティシステムは上流方向と下流方向へのトレース機能を持ち、以前は数日かかっていたトレース作業を5分以内で、かつ高精度に実行できる。QRコードの読み取りは部品・製品ごとに1回だけとし、トレーサビリティに関わる現場の負担を最小限に抑えた。部品の入荷から製品出荷まで一貫したトレーサビリティの標準システムを開発したのは、デンソーグループで世界初となる。
    中国内の生産会社から、早く導入したいという要望が相次いでいる。デンソー中国投資は、今年度中にも6社に導入し、その後も順次増やしていく予定だ。また、今回構築したシステムで収集するデータは、在庫をきめ細かく管理するための分析にも使えるため、今後、新たなカイゼン活動につながるものと期待している。

コアテクノロジー

バーコード/QRコードなどのタグ活用ノウハウ

システム概要

●アプリケーション:NSTAG++ソリューション

電装(中国)投資有限公司様

本社:中国・北京市朝陽区東三環北路5号発展大厦518室
設立:2003年
従業員数:927名(2018年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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