プラント系でグループ初の海外拠点 日・中・米が原材料の供給で連携

尼鉄隆（江蘇）炭黒有限公司（新日鉄住金化学グループ）様

• プラント系の海外拠点設立に合わせて新システムの導入を検討

  製鉄化学事業で世界トップクラスの規模を誇る新日鉄住金化学。同社が、コールタール蒸留の世界最大手米Koppersとの戦略的提携を基に、カーボンブラックやニードルコークスといった化学製品の製造・販売拠点を中国に新設すると発表したのは2012年のことである。日本・中国・米国の大手が江蘇省徐州市に隣接して拠点を設立。コークスで中国最大手の沂州（いしゅう）集団がコールタールを製造し、それをKoppersと沂州集団の合弁企業が処理。さらに新日鉄住金化学がカーボンブラックおよびニードルコークスを製造する。プラント系では新日鉄住金化学グループ初の海外拠点で、カーボンブラック事業では尼鉄隆（江蘇）炭黒を、ニードルコークス事業では喜科墨（江蘇）針状焦科技を設立。拠点の稼働に合わせて新システムの導入を計画した。

• 中国における実績が豊富な新日鉄住金軟件（上海）に支援を依頼

  拠点設立プロジェクトは2012年11月にスタートした。まず会社設立に合わせ、中国では定番の会計パッケージソフトウエア「金蝶」を採用し、導入を支援するITパートナーとして複数の日系ITベンダーから、新日鉄住金ソリューションズの中国現地法人である新日鉄住金軟件（上海）（以下、NSSOL上海）を選定。2013年後半には、設備予約やスケジュール管理を行うOAシステムとしてNSSOL上海のクラウドサービスを導入する。さらに、同時期には原材料調達から出荷までの基幹業務をカバーする生産管理システムの導入を検討。日本の生産管理システムを基本にしつつ、ITベンダーと日本語で打ち合わせができる、生産拠点を運営する機能がそろっている、コストパフォーマンスが高いといった評価を基に、「Infor SyteLine」をベースにしたNSSOL上海の提案を選択する。

• 拠点の業務をシステムで標準化、製品の安定供給を強力にサポート

  NSSOL上海の支援で導入した3システムはすべて計画通り稼働している。パッケージソフトウエア「金蝶」を使った会計システムは、会社設立時の2013年6月に稼働。NSSOLのクラウドサービス「absonne for China」上で提供されるOAシステムは、オフィスに会議室が整備された2014年10月から本格的に利用している。生産管理システムの開発は2014年6月に開始され、厳格なスケジュール管理の下、最適化した機能を実装した。2015年9月の製造設備試運転に伴って生産管理システムも稼働を開始している。
  これらシステムの導入によって、拠点では業務の標準化が進んだ。さらに生産管理システムについては、人為ミスを防ぐことで製品の安定的な供給が実現すると期待されている。今後は、会計システムと生産管理システムとの連携強化などを検討していく。