数千の設備のIoTデータを起点に新サービス創出するBX基盤を構築

栗田工業株式会社様

プロジェクト概要

背景

顧客企業の工場などで稼働する数千の水処理設備からIoTデータを収集し、整形・蓄積・共有するデータ基盤を整備することで、新たなサービスの創出を目指した。

ソリューション

これまでサイロ化していたIoTデータを全社で統合し、新サービスに求められるセキュリティーやデータガバナンスに対応した「BX基盤」を構築した。

成果

BX基盤を活用し、数分~十数分間隔で収集した各種のデータから製造トラブルなどを予測する新サービス「Kuri-smart」を立ち上げた。今後も新サービスの開発・提供を推進する考え。

自社の強みは大量のIoTデータ

様々な産業の水処理にかかわるソリューションを提供する栗田工業は、デジタルを起点とした新たなビジネスの創出につなげる「BX(Business Transformation)基盤」を整備した。顧客企業の工場などで稼働する数千の水処理設備から、数分~十数分の間隔で水質や操業状態のIoTデータがBX基盤に送信され、使いやすく整形・蓄積されたうえで全社共有されている。栗田工業は、BX基盤を活用して創出した新サービスの先行案件として、操業データなどから製造トラブルを予測するサービス「Kuri-smart」を2024年9月から提供している。
執行役員イノベーション本部長の水野 誠氏は、「多種多様な産業に水処理設備を設置・運用する企業として、現場から得られる大量のIoTデータを持っていることが当社グループの強みと考えています。このデータから何か一つ課題解決の手段が見つかれば、当社にしかできない新しいソリューションを生み出せます。それを効率的に進めることがBX基盤の狙いです」と語る。
栗田工業は1996年から水処理設備のIoTデータを収集し始め、一部の業務に活用してきたが、いくつかの課題があった。「以前のIoTデータは縦割りの組織によってサイロ化していたので、それらを共有して新サービスの開発に利用するのが困難でした」と執行役員デジタル戦略本部長の前田 雄史氏は指摘する。例えば、「水処理設備のカスタマイズやお客様への提案を継続的に行うには、水処理に使用される薬品と水処理設備のデータを横断的に見る必要があります。しかし、以前は薬品と設備のデータが別々のシステムにあり、それらを手作業で集めて形を整えるのが大変でした」とKURITAIberica SLの青山 恭隼氏は語る。

NSSOLがコンサルと構築を担当

栗田工業は2022年、デジタルソリューション開発を手掛けるグループ企業のFract a Leap(フラクタリープ)と共同でBX基盤の検討を開始した。このプロジェクトのITパートナーに選ばれたのは日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)だ。デジタル戦略本部副本部長兼Fracta Leap Director of Next Transformation Div.の阿部 剛大氏は「IoTデータを活用するには、インフラの整備だけでなく、法令やデータガバナンス、セキュリティーなど、様々な課題を解決する必要があります。特定の領域に特化しているベンダーが多いなか、NSSOLはこれらの課題領域を幅広くカバーしていました。また、いつもクリタグループの事業にとって本当に意味があることをやりましょうとアドバイスしてくれるので、安心して任せられると感じました」と選定の理由を述べる。

サービスのアップグレードが容易に

BX基盤は2024年に稼働を始めた。その成果について水野氏は「サービスの立ち上げやアップグレードに必要な時間が大幅に短縮されました」と評価する。前述の予測サービス「Kuri-smart」はその成果の一つだ。また、同社の純水供給サービス「KWSS(Kurita Water Supply Service)」において、水処理設備の運転管理・保守を最適化するためにBX基盤を活用するなど、サービスの品質向上に大きく寄与している。
これらのサービスに対する社内の反応はとても良く、「BX基盤を使えば、自分たちがやりたかったことを実現できるのではないか、と現場の意識が少しずつ変わってきた印象がある」(阿部氏)という。
実務面の成果も大きい。青山氏は「これまで個別に管理されていた水処理設備や薬品関連のデータを整理して共有し、横串を刺して比較可能になりました。これにより設備の省エネ運転や安定稼働といった価値を新たに提供できるのではないかと期待しています」と語る。将来的には、設備のトラブル発生時にBX基盤のIoTデータを生成AIに一次調査させ、対応をスピードアップするための技術検証も進めているという。
今後について前田氏は、「NSSOLの協力により、当社の価値仮説をサービスとして素早く形にできる成長型プラットフォームの基礎が整いました。継続的な改善を重ね、事業全体の進化を支える中核インフラへと発展させていきます。そのために、NSSOLにはいろいろな支援をお願いしたい」と期待する。

栗田工業株式会社 執行役員 イノベーション本部長 水野 誠氏
栗田工業株式会社 執行役員 イノベーション本部長
水野 誠氏
栗田工業株式会社 執行役員 デジタル戦略本部長 前田 雄史氏
栗田工業株式会社 執行役員 デジタル戦略本部長
前田 雄史氏
栗田工業株式会社 デジタル戦略本部副本部長 Fracta Leap株式会社 Director of Next Transformation Div. 阿部 剛大氏
栗田工業株式会社 デジタル戦略本部副本部長
Fracta Leap株式会社 Director of Next Transformation Div.
阿部 剛大氏
KURITA Iberica SL 青山 恭隼氏
KURITA Iberica SL
青山 恭隼氏

コアテクノロジー

●セキュリティー、データガバナンス、メタデータ整備をはじめとする統合データ基盤の構築ノウハウ

システム概要

●BX(ビジネストランスフォーメーション)基盤

関連SDGs

SDGs 6

水資源を効率的に利用するための技術を開発・提供

SDGs 12

資源投入量、温室効果ガス排出の少ないCSVビジネスの推進

分散していたデータを集約・整理し、データと価値提供の流れを変える「BX基盤」

・NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

栗田工業株式会社様

本社: 東京都中野区中野4-10-1
設立: 1949年
資本金: 134億5075万円
売上高: 4088億8800万円(連結、2025年3月期)
従業員数: 8151名(連結、2025年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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