発注業務と大量書類をデジタル化 業務効率化と情報共有を推進

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)様

プロジェクト概要

背景

JR東日本では、大規模な工事に必要な工事契約書類が1案件あたり数百から数千ページに及ぶ。その取り扱いや保管の煩雑さから、発注業務の見直しが求められていた。

ソリューション

電子契約クラウドサービスの「CONTRACTHUB@absonne」を導入し、発注業務と大量の契約書・関連文書をデジタル化。JR東日本のデータ共有システムとも連携し、発注情報を容易に活用できるようにした。

成果

電子契約化によって作業負担が減ったことに加え、情報共有により発注業務の生産性が大幅に向上した。JR東日本は、今回導入した電子契約システムを社内に順次展開していく考え。

繁雑な発注業務を抜本的に改革

新しい鉄道路線の整備や駅の建設・改良―。JR東日本で、こうした大規模な建設プロジェクトを統括している建設工事部は、建設工事に伴う膨大な発注業務のデジタル化を進めている。
建設工事部基盤戦略ユニットの佐々木裕介氏は、「首都圏のターミナル駅の改良工事など、大規模なプロジェクトは10年近く継続する場合があり、契約書に含まれる工事図面だけでも数千ページ、そのほか注文書、請書、請求書、しゅん功検査結果通知書などの関連文書も合わせるとさらに膨大な量になります。これらを取引先とやり取りしなければならないほか、法令と当社規定により契約終了後も10年間は契約書を保管する必要があります。ここに大きな課題がありました」と語る。
建設工事部は2015年から「スマートプロジェクトマネジメント」と呼ぶ、AI(人工知能)やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などのICTを活用した業務効率化プロジェクトに取り組んでいる。今回の発注業務のデジタル化もその一環であり、これまで紙ベースで行われていた繁雑な発注業務の抜本的な改革と、工事図面データや工事検査結果をはじめとする各種関連情報の一元管理・共有化による生産性向上を目指している。

東日本旅客鉄道株式会社 建設工事部 企画ユニット 池田 充利氏
東日本旅客鉄道株式会社 建設工事部 企画ユニット
池田 充利氏

大量の工事図面データを共有

JR東日本は、各種のソリューションを比較検討した結果、日鉄ソリューションズ(NSSOL)の電子契約クラウドサービス「CONTRACTHUB(コントラクトハブ)@absonne」を選んだ。「電子契約そのものがまだそれほどメジャーな存在ではなかった頃から、CONTRACTHUBは優れた非改ざん性を備え、紙の書面と同等の原本性を確保できていました。また、各種法令に準拠したシステムであること、当社の厳格な契約手続きやセキュリティー基準に対応できることなどが選択の決め手となりました」と建設工事部企画ユニットの池田 充利氏は選定理由を語る。
CONTRACTHUBのシステム連携機能に対する評価も高い。システム導入に参画したJR東日本コンサルタンツICT事業本部建設情報ソリューションユニット課長の麻生 吉孝氏は、「CONTRACTHUBで新規契約した契約書・工事図面は、JR東日本のデータ共有システム『BIMクラウド』にも自動保存して社内や取引先となるグループ各社と共有する考えでした。このシステム連携に必要な機能を備え、シングルサインオン機能にも対応してもらえた点が非常によかった」と振り返る。

東日本旅客鉄道株式会社 建設工事部 基盤戦略ユニット 副長 佐々木 裕介氏
東日本旅客鉄道株式会社 建設工事部 基盤戦略ユニット 副長
佐々木 裕介氏

新規契約の70%をデジタル化

建設工事部は、まず設計請負契約に限定して2019年1月にCONTRACTHUBをテスト導入。2021年にBIMクラウドとの連携機能を開発して、工事請負契約を含む本運用を始めた。
電子契約への移行作業は容易ではなかったが、NSSOLがJR東日本の細かな契約手続きに合わせた形で発注業務フローの作成を支援しながら進めた。
新システムの成果に関して池田氏は、「建設工事部門における2021年度の新規契約の70%が電子契約に移行しました。年度末には、全社の変更契約書や請求書に対する電子署名も含めると、単月で約8000書面がCONTRACTHUBでやり取りされています。紙の契約書を管理する手間がなく、押印が不要になったことから、大幅な業務効率化を実現しました」と説明する。
佐々木氏は「契約書類のコピーが自動的にBIMクラウド上にも保管されることから、工事図面データを含む発注関連情報の見える化が実現し、社内や取引先との間でスムーズな情報共有ができるようになりました」と評価する。

JR東日本コンサルタンツ株式会社 ICT事業本部 建設情報ソリューションユニット 課長 麻生 吉孝氏
JR東日本コンサルタンツ株式会社 ICT事業本部 建設情報ソリューションユニット 課長
麻生 吉孝氏

電子契約を他部門に横展開へ

JR東日本は今後、建設工事部以外の部門にもCONTRACTHUBを横展開していく考えだ。これが本格化すれば、年間50万書面に上る契約書や関連文書のデジタル化が視野に入ってくる。
「電子契約システムを導入した後も、より一層使いやすいシステムを目指しているので、現場部門から機能追加の要望が出てきたら迅速に対応していきたいと考えています。NSSOLには今後も、これまで同様に質の高いサポートを期待しています」と池田氏は話す。

コアテクノロジー

●電子契約クラウドサービス「CONTRACTHUB@absonne」、電子契約に関する知見、CONTRACTHUBの導入・活用ノウハウ

システム概要

●電子契約クラウドサービス:CONTRACTHUB@absonne

関連SDGs

SDGs 8

業務の効率化により働きがいを向上

SDGs 11

鉄道サービス向上で住みよいまちづくり

JR東日本が構築した電子契約システム

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)様

本社: 東京都渋谷区代々木2-2-2
設立: 1987年
資本金: 2000億円(2021年4月1日現在)
売上高: 1兆7645億8400万円(2021年3月期)
従業員数: 4万9780名(2021年4月1日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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