プロジェクト概要
背景
スクラッチ開発した既存のクレーム対応システムは、度重なる機能拡張を経て保守性が損なわれていた。ワークフローを変更するにもシステム改修が必要になる場合が多く、業務の変化に追随する柔軟性が不足していた。
ソリューション
ワークフロー管理のパッケージシステムを活用し、アドオン開発によって使いやすく柔軟性の高いシステムの構築を目指した。同パッケージの導入ノウハウが豊富なNSSOLをパートナーとして選定した。
成果
開発期間は短かったが、ジヤトコとNSSOLの緊密な協働により新しいクレーム対応システムは予定通りに稼働。新システムでは、システム改修をせずともワークフローや入力フォームを迅速に変更できるようになった。
ワークフローの柔軟さを損ねるシステム改修費用の肥大化
日産自動車グループの中核を担う部品メーカーのジヤトコは、国内10拠点、海外8カ国13拠点にグローバル展開し、主に自動車用変速機を開発・製造・販売している。主力商品のCVT(無段変速機)は世界トップシェア、変速機の累計生産台数は4400万台(2019年時点)に上る。これら膨大な出荷製品の中に万一不具合が発生したとき迅速かつ確実に対策するために、同社は不具合の調査・対策に関わる情報とワークフローを管理する、独自開発のクレーム対応システム「EXPRESS 3」を運用していた。だが度重なる機能拡張によって小さな改修にも大きな費用がかかるようになっており、ワークフローや入力フォームを変更する際の柔軟性が損なわれていた。また、後付けで組み込んだワークフロープラグインの機能が弱く、安定性に欠ける点が課題だった。
「AgileWorks」の導入実績が豊富なNSSOLに再構築を依頼
ジヤトコは2017年夏、EXPRESS 3の基盤更改が近づいてきたことを機に、課題を一掃するためシステム再構築を検討し始めた。ワークフローや入力フォームの変更に対して、改修の費用を最小限に抑えながら柔軟に対応できることを重要視した。
新システムの「EXPRESS 4」には、様々なワークフロー管理のパッケージシステムを比較検討した結果、「AgileWorks」(アジャイルワークス)を採用した。同社の業務システムに採用した実績があることと、同パッケージをベースにアドオン開発することを提案した日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)のインテグレーション能力を評価した。基盤更改のデッドラインが迫るなか、ジヤトコとNSSOLはスピード感をもってシステム構築作業に取り組んだ。
簡単な設定変更だけでワークフローを変更可能に
EXPRESS 4は、計画通り2019年2月に稼働を開始した。AgileWorksの豊富なワークフロー機能をベースに構築しているため、ワークフローや入力フォームを変更する場合はAgileWorksの設定を変えるだけで簡単に対応できるようになった。費用を抑えつつ、業務に合わせたシステム変更を柔軟かつ迅速に実現している。
システムの保守・運用性も大幅に向上した。従来、ワークフロー機能で発生するトラブルへの対応に手間がかかっていたが、新システムではワークフロー機能の動作が安定し、運用の負荷を月間で数時間程度にまで削減できた。人事システムと連動するため、異動に伴う設定変更作業も不要になった。今後はNSSOLと協力して、さらなる機能拡張を実施する予定だ。
コアテクノロジー
ワークフローシステム導入の高度ノウハウ、アドオン開発、迅速な対応力
システム概要
●ワークフロー管理パッケージ:AgileWorks
クレーム対応システム「EXPRESS 4」の概要
ジヤトコ株式会社様
本社:
静岡県富士市今泉700番地の1
設立:
1999年6月
資本金:
299億3530万円(2020年3月31日現在)
従業員数:
連結1万4600名(2020年3月31日現在)