プロジェクト概要
背景
ベテラン作業員の定年退職による世代交代の中で、限られたマンパワーで業務を的確かつ安全に遂行する必要性に迫られていた。組織全体の作業品質を底上げする一方、老朽化する設備の信頼性向上も課題だった。
ソリューション
現場の作業員と映像・音声・位置情報を共有し、アラートの自動通知もできる仕組みを導入して現場作業を支援。同時に無線対応の振動監視システムを重要設備に配備。安全見守りシステムに実績のあるNSSOLを選定した。
成果
NSSOLのサポートによりアプリケーション導入からネットワーク構築、工事に至るまで幅広い領域のプロジェクトを短工期で実現。システムは計画通りに稼働し、作業品質と設備の信頼性に対する当初目的が確認できた。
人的エラーの抑止と安全対策、ベテランの技術継承も
出光昭和シェルグループの基幹製油所として、日量25万5000バレルの原油処理能力を誇る昭和四日市石油。地域と共生しつつ安心・安全な操業を最優先に考えてきた同社が「フィールド作業支援システム」(FWSS)の導入を検討したのは2016年9月のこと。
同社では現場作業員の若年化が進むなか、人的エラーの防止と作業員の安全確保が課題となっていた。広大な製油所のどこかで作業員が万一事故や体調不良に見舞われ、発見が遅れることになれば命にも関わる。そのため、映像や位置情報を共有し、作業支援と安全確保を両立できるシステムが求められた。技術継承への活用も念頭にあった。こうした人の見守りに加えて、重要機器などの振動を常時モニターし、設備異常の早期発見とメンテナンスの効率化を図る、設備の見守りも課題だった。
運用実績に磨かれた安全管理ソリューション
システムの比較検討の結果、ウェアラブルデバイスを使用した現場作業モニタリングソリューション「安全見守りくん」を採用。日本製鉄グループの製鉄所で活躍している実績や、独自アルゴリズムによる優れた動態検知機能を評価した。また、スマートフォンによるリアルタイム映像の共有とグループ通話のために遠隔作業支援アプリケーション「ARPATIO(アルパティオ)」を、振動監視システムとして無線ネットワークによる「日本エマソン製MHMシステム」の導入を決定した。NSSOLは現場部門の細かな要望に対して豊富な知見に基づいた提案を行い、他の協力ベンダーとともに短工期でのシステム構築に尽力した。プロジェクトは2018年11月に開始され、2期にわたる構築により予定通り2020年6月までに4部門での導入が完了予定である。
事故や災害などの緊急時における素早い対処が可能に
第3期においては、2022年度に予定する定期修繕までにFWSSの全社への適用を目指す。導入済みの部門では、ベテランの責任者がリモートで映像を見ながら適切な指 示を出すなどにより、一人作業の多い現場への支援が格段に改善され、作業の安全性向上と技術継承にもつながった。また、作業員の位置や脈拍をリアルタイムで把握でき るようになったことで、事故や災害などの緊急時に素早く救助できる態勢が整った。これまでに発生したインシデントの情報をデータベースに登録し、作業者が危険な場所に 近づいたらアラートを出すといった安全対策も実装されている。
振動監視システムも順調に稼働しており、不具合の早期発見につながった例もある。今後は収集・蓄積されたデータを解析することで、精度の高い予知保全を実施していく。
コアテクノロジー
現場作業に正対したシステム設計とチューニング、プロジェクト運営スキル
システム概要
●アプリケーション:安全見守り支援「安全見守りくん」、遠隔作業支援「ARPATIO」、振動監視「日本エマソン製MHM(マシナリヘルスマネジメント)システム」
●インフラ:光ケーブル、LTE閉域網、計装無線ネットワーク
昭和四日市石油株式会社様
本社:
三重県四日市市塩浜町1番地
設立:
1957年11月
資本金:
40億円
原油処理能力:
日量25万5000バレル
従業員数:
567名(2020年4月1日現在)
グループ会社(出資比率):
出光興産株式会社(75%)、三菱グループ(25%)