参考資料:新日鉄ソリューションズとメディビック 性疾患遺伝子解析ソフトウェアの実用化に向けた活動開始

 新日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鈴木繁、以下新日鉄ソリューションズ)と株式会社メディビック(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:橋本康弘、以下メディビック)は、多因子疾患の原因遺伝子および環境因子との相関性を解析するツールの実用化に向けて、本格的に活動を開始することに合意しました。

 現在、生活習慣病(高血圧症や糖尿病など)などの多因子疾患と遺伝子の関連性を探求する研究は多くの大学研究機関にて実施されています。しかし、両者の関連は複雑かつ多様性に富むため、その解析にあたっては多くの困難が生じています。このような問題を解決するために、先端的なソフトウェア開発に多くの実績がある新日鉄ソリューションズと遺伝子解析分野において実績のあるメディビックが共同で遺伝子解析の基盤ソフトウェアの開発を完了し、実用化に向けた本格的な活動を開始します。

 この基盤ソフトウェアの開発プロジェクトは、独立行政法人情報処理推進機構が推進する次世代ソフトウェア開発事業の支援を受け、学術的利用を主目的として実施されました。同プロジェクトにおいて、新日鉄ソリューションズはソフトウェアの設計・開発を担当し、メディビックは、開発の実現に向けた解析・予測及び推定手法の確立とソフトウェア機能要件の定義を行ってきました。

 同ソフトウェアのコア機能である解析アルゴリズムの開発では、多くの遺伝子研究者の知識を取り入れることより、コンピュータの計算だけでは得られない生物学的な視点を考慮しました。特に、生活習慣病など多因子性疾患に関連する遺伝子は、加齢や喫煙、肥満などの環境因子と比較して一般的に寄与度が低いことが知られています。そのため、従来の手法では、遺伝因子の影響を検出することは困難でした。しかし、本アルゴリズムでは、遺伝-環境相互作用を解析に取り入れることで、有意な相関をもつ遺伝子も検出可能となることが特徴となります。
本アルゴリズムの妥当性を評価するために、実際の研究現場で高血圧発症とアルデヒド脱水素酵素遺伝子多型との相関について検討しました。この多型は日本人におけるアルコール不耐性の原因遺伝子であり、飲酒量を介して高血圧発症と相関することが知られています。この既知データをダミー変数とともに解析した結果、短時間で最適解を得ることができ、本アルゴリズムが極めて有効であると評価されました。

 今後、両社はこの基盤ソフトウェアの実用化を共同で推進しつつ、新日鉄ソリューションズは、将来的に創薬研究や大学・医療機関におけるライフサイエンス分野でのソリューション提供を行い、メディビックはインフォマティクス事業の製品ラインアップの強化、さらにテーラーメイド創薬Rを推進するツールとして事業強化を図ります。

 なお、本協業の合意による両社の業績見通しに与える影響は現段階では未定ですので、現時点での修正などはございません。

以上