官公庁、自治体向けに施設保全管理パッケージを開発、販売を開始

プロパティデータバンク(株)と新日鉄ソリューションズ(株)が共同事業をスタート~

清水建設株式会社などが出資し、不動産の運用・管理支援ツールのASPサービスを提供しているプロパティデータバンク株式会社(東京都港区、代表取締役社長:板谷敏正)と新日鉄ソリューションズ株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:棚橋康郎)はこのほど、官公庁、自治体、各種公的法人が保有するさまざまな施設群を効率的に管理できるソフトウェア「@プロパティ公共エディション」を共同で開発、販売を開始しました。

今後、両社は共同で営業活動を行い、納入にあたっては、プロパティデータバンクが開発元としてソフトウェアのライセンスを提供、新日鉄ソリューションズがユーザーの規模や仕様に対応したシステムインテグレーションを行います。

「@プロパティ公共エディション」は現在、プロパティデータバンクが主に民間の不動産事業者やビル管理会社を対象に提供しているASPサービス「@プロパティ」のソフトウェアをベースに、新日鉄ソリューションズの官公庁の施設管理システムに関する豊富なノウハウ(※1)を活かし、官公庁・自治体向けに公共施設の効率的な管理に必要な機能を装備・強化したWebベースのシステムです。今回の開発にあたっては、プロパティデータバンクが企画と仕様設計を、新日鉄ソリューションズがソフトウェアの開発を担当しました。

このような官公庁・自治体向けに特化した施設群の保全管理パッケージソフトウェアの販売は、日本初となります。

官公庁や自治体などの公的法人は大量の施設を保有・運営しており、なかには一法人で数千棟もの施設を管理している場合もあります。これらの施設は大量にあるだけでなく各地に分散しているため、現在、効率的な管理が求められています。また、建設コストのみならず光熱用水費や営繕費などを含むライフサイクルコストの抑制や適正化が急務となっています。

国土交通省が平成14年3月に公表した社会資本整備審議会の答申によると、約9,200万・と膨大な量(平成12年3月末現在)の官庁施設ストックにおいて、劣化が急激に進行すると言われる築後30年以上の官庁施設は、10年後には全体の4割に達すると見込まれています。このような状況のなか、答申では、保全の目的・意義、保全の業務内容等、保全の適正化・効率化のために必須となる基本的事項の明確化、保全マネジメントサイクルの確立等が提言されています。これを受けて、国土交通省のみならず他の官公庁や自治体などでは、これらの施策遂行のために、まず大量の施設情報や営繕情報の集約・分析が可能なデータベースの構築を進めています。

今回販売を開始した「@プロパティ公共エディション」は、このような今後予想される公的法人のニーズにいち早く応えるため、公共施設の管理の重要要素である基本情報管理、図面管理、営繕管理・計画、劣化診断、長期修繕計画、光熱用水費管理などの業務支援機能を装備するとともに、現在、プロパティデータバンクがインターネットデータセンターで運用しているASPシステム用のソフトウェアを、コンパクトにまとめてパッケージで販売できるようにしたものです。

このパッケージソフトウェアを利用することにより、システムの開発期間が従来のスクラッチ開発(※2)の4分の1の最短3ヶ月、費用も5分の1程度で導入することができます。

このソフトウェアを活用することによりユーザーは以下のメリットを享受できます。

(1) ユーザーの各種管理業務の効率化がはかれるとともに、大量にストックされている公共施設に関する運営情報・営繕情報あるいはコストデータなどを、統括管理することが可能となります。
(2) ユーザーは、蓄積されたデータをさまざまな切り口で分析評価することにより、施設の有効利用や、建設コストの5~6倍かかると言われているライフサイクルコストの適正化などの計画を、策定することができます。例えば、光熱用水費は5~10%の削減が可能となります。
(3) ユーザーは、イントラネットで接続された端末があればどこからでも使うことができるので、点在する公共施設の現地での発生源入出力や複数部署間での情報共有も可能となります。

パッケージは公共施設の管理に必要な基本機能に絞り込んでおり、ユーザーは大幅なカスタマイズをすることなく利用できます。また、サーバにインストールする1パッケージの購入のみで、ネットワークに接続された端末での利用が可能となり容易に導入できます。用途に応じ3種類のパッケージを揃えており、さらに、ユーザーの要望に応じて選択可能なオプション機能も用意しています。

1パッケージの価格は50人程度の利用を想定し15百万円からです。すでに、官公庁施設や首都圏の自治体の営繕部門での導入が決定しており、それぞれ施設のストックマネジメントに関する施策推進のツールとして活用される予定です。


※1:新日鉄ソリューションズは郵政事業庁の施設CALSや関西国際空港の施設管理システム等公共向けの施設管理システムの納入実績を豊富に保有しています。
※2:オーダーメイドのソフトウェア開発


《参 考》 【「プロパティデータバンク株式会社」の会社概要】
(1) 代表者板谷敏正
(2) 主な事業内容・不動産運用・管理業務に関するソフトウェア開発販売
・不動産の運用・管理業務に関するASP事業
(3) 設立日2000年10月1日
(4) 所在地東京都港区海岸2丁目2番6号 YS海岸ビル9階
TEL: 03-5765-4825(代表)
(5) 資本金10,700万円
(6) 総発行株式数2,140株
(7) 主要株主清水建設(株)、(株)ケン・コーポレーション、オリックス・キャピタル(株)、中央三井アセットマネジメント(株)、みずほキャピタル(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)

プロパティデータバンク(14)は、清水建設(14)など法人6社、個人2名からの出資を得て2000年10月に設立された清水建設の社内ベンチャー企業で、不動産運用管理に関するITツールをインターネット上で提供するASP事業を展開しています。このITツールは「@プロパティ」という商標を取得し、すでに不動産会社やJリートなどの不動産投資ファンドあるいはオーナー代行であるプロパティマネージャーやビル管理会社が、管理業務の効率化や不動産運用情報の集約や分析を目的に導入しています。現在、この業務支援ツールを活用して約60社が1500棟あまりのビルを管理・運営しています。

【「新日鉄ソリューションズ株式会社」の会社概要】
新日鉄ソリューションズ(14)は、製鉄業で培った経験と高度なIT力を活かし、中立的なオープン系システムインテグレータとして製造・流通・金融・公共などの業務アプリケーションと、ネットワーク構築・サーバーやデータベース設計・セキュリティ構築など基盤系ソリューションの領域に強みを持っています。また、システムに関するコンサルティングから設計、開発、保守、運用までワンストップでソリューションを提供しています。

新日鉄ソリューションズは、郵政事業庁の施設CALSや関西国際空港の施設管理システム等、公共向け施設管理システムの納入実績を豊富に保有しています。今回、新日鉄ソリューションズは、これらの豊富な知見を活かし、新たに公共施設向けの保全管理のパッケージソフトを開発いたしました。

【「@property公共エディション」の概要】
不動産運用・管理ツールを、ユーザー向けにパッケージシステムとして提供します。

■施設基本情報管理パッケージ
公共施設の所在地、面積、地目、構造、価格、営繕履歴・劣化診断履歴、図面などの資産関連書類など、基本的な不動産情報約500項目を管理できます。資産管理者の管理業務をサポートしたり、資産情報を保全するツールとしてはもとより、関係者間の共有ツールとして活用されています。

■運営管理パッケージ
公共施設の部門・部署ごとの利用面積管理、予算および収支実績管理、長期修繕計画(ライフサイクルコスト)、地震や火災のリスク管理などの業務支援機能を用意しています。関連する各種情報約1000項目を管理できます。

■施設管理パッケージ
メンテナンス履歴管理、設備機器建材台帳管理、光熱用水費管理、スケジュール管理、クレーム対応管理などの業務支援機能をパッケージとして用意しています。関連する各種情報約1000項目を管理できます。

□ポートフォリオ総合分析ツール(上記いずれのパッケージにも附属)
以上のツールで収集・集約したデータに基づいて、複数の公共施設の運用・管理情報および資産戦略立案に必要な情報を抽出・分析できます。法人の営繕部門や管財部門の統括管理ツールとして活用が可能です。

以上