新日鉄ソリューションズが信用リスク分野で米社と戦略的提携

新日鉄ソリューションズ株式会社(NS Solutions)(本社 東京都中央区新川二丁目20-15 代表取締役社長 棚橋康郎)は、この度、リスク管理の世界的パイオニアであり、JPモルガンの関連会社でもある米国リスクメトリックス グループ社(本社 米国 ニューヨーク ウォールストリート44、 設立:1998年)と信用リスク管理ソフトウェアパッケージ、CreditMetricsの販売代理店契約を締結し、信用リスク管理ソリューション事業に本格参入いたします。

本提携は、信用リスクを中心としたBIS規制の改訂(2005年適用予定)、統合リスク管理や審査部門高度化ニーズの高まりの中で、世界トップクラスの信用リスク管理システムを日本のマーケットにおいて優れたコストパフォーマンスで提供することを意図したものです。

1996年にJPモルガンが信用リスク管理手法として発表したクレディットメトリックス方法論は全世界の金融機関にリスク測定およびリスク管理のベンチマークとして広く受入れられ、今年1月発表のBIS規制改訂の第二次市中協議案においても数箇所で引用されるなど、事実上の国際標準の一つとなっています。この方法論を、JPモルガンが世界有数の金融機関やコンサルティング会社の参画を得てコンピュータ上に実装した製品がCreditMetricsです。

従来クレディットメトリックス方法論は先進的であるがゆえにコンピュータ上に実装するためには、1.高度なIT技術、2.多額のシステム投資が必要でした。しかしCreditMetricsの開発成功により、最先端の機能がシングルプロセッサPC上でも実行可能となり、安価なシステム構築が実現することになりました。

さらにクレディットメトリックス方法論では、当然のことながら日本固有の商習慣(短期貸出しのロールオーバーなど)が考慮されていない等の適用上の難点もありました。しかし新日鉄ソリューションズがデリバティブなどで培った高度な金融技術力や複雑な金融取引慣行における豊富な経験を背景にした付加機能提供のサポート体制をとることにより、本邦金融機関のニーズにマッチした柔軟かつ高度な機能を理想的な形で実現することが可能になります。

CreditMetricsは、信用VaR、マージナル標準偏差、インクリメンタル標準偏差、新BIS規制に基づく所要自己資本額の算出、リスクリターン分析、ストレステストなどの各種分析機能等や、レポート作成機能、インポート・エクスポート機能等、信用リスク管理に必要な広範な機能を提供しています。また、対象となる金融商品も、ローン、債権からクレディットデリバティブまで多岐に亘っています。さらに、週次更新の株価時系列データや大手格付機関による格付推移確率データなどのダウンロードサービスにも常時対応しており、データのオンライン供給に対しても万全の体制をとっています。

CreditMetricsは毎年ライセンス提供され、現在既に世界で150ライセンス以上が使用されています。
新日鉄ソリューションズでは既に定評のある市場リスク管理、ALM管理に加え、CreditMetricsを核とした信用リスク管理ソリューションを提供することにより、一層高度な統合収益リスク管理ソリューションの提供を行います。

《参考》リスクメトリックス グループ社
1993年、JPモルガンは市場リスク管理の方法論であるリスクメトリックスの開発に成功しました。この方法論は公開され、全世界からの反響を呼びました。JPモルガンはその後も信用リスク管理の方法論であるクレディットメトリックスを発表する等、世界中の金融機関のリスク管理に大きく貢献してきました。しかし、リスク管理に対する世界中からの要求が膨らむ中で、それらに応えるためにはもはや銀行組織としての限られたリソースでは対応しきれなくなりました。そこで1998年、開発部門はJPモルガンの出資を得て分離独立しリスクメトリックスグループ社を誕生させました。リスクメトリックスグループ社は、ニューヨーク、ロンドンの拠点に東京、シンガポールを加え、ワールドワイドのビジネスを展開しており、450セット以上の製品ライセンス世界に提供しています。

以上