TO THE FUTURE NSSOL STORIES TO THE FUTURE NSSOL STORIES

2019-12-01 DX
TwitterTwitterでシェア FacebookFacebookでシェア

<対談>DXで競争優位性を高める秘訣とは

〜経営層が戦うべき事業領域を明示することが成功の鍵に〜

世界中の企業が、競争優位性を創出するためデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。日本企業もここへ来て本格的に向き合い始めた。DXを成功に導くための秘訣は何か。顧客を支援するIT企業は、どのような役割を果たしていくのか。日経BP総研イノベーションICTラボの所長を務める戸川尚樹氏と、日鉄ソリューションズ代表取締役社長の森田宏之が語り合った。 (文中敬称略)

森田 宏之
日鉄ソリューションズ株式会社
代表取締役社長

戸川 尚樹氏
日経BP
日経BP総研イノベーションICTラボ 所長

ポイント

  • もはやDXはバズワードではない想定以上に市場が広がっている
  • 競争領域と非競争領域を明確にして資源をどのように向けていくかを示す
  • 業種の垣根を超えた組織改革で顧客企業の「ファーストDXパートナー」に

もはやDXはバズワードではない想定以上に市場が広がっている

戸川: 経済情勢は予断を許さない展開を迎えています。日本の産業界の先行きを不安視する見方も増えてきました。

森田: 2019年の年始の挨拶では、製造業とサービス業で温度差があるなと感じていました。製造業の方々は、19年度の下期の情勢が不透明で経済が減速する可能性を指摘していました。一方でサービス業の方々は、インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加や2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック大会に向けて年度内は業績が堅調に推移すると見ていました。
現状はおおよそこの見立ての通りなのですが、製造業にとっては中国経済の減速が大きなマイナスになっています。製造業に限らず、中国に依存したビジネスを展開している企業ほど、業績に影響が出ています。
そこで、お客様ごとに市場の動向を見極め、それぞれに対応した提案をすることが大切だと考えています。現在の業績が成長過程の踊り場にあるのか、あるいは変曲点なのかを捉えなければなりません。このためには、営業もエンジニアもお客様に寄り添うような対応が求められます。

戸川: 現在のIT業界では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みが市場をけん引しています。この動きをどう捉えていますか。

森田: DXは、もはやバズワードではないと考えています。当初の想定以上に市場が広がっています。特に、クラウド上でAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータ分析を活用する取り組みが加速しています。少し前までは、エンタープライズシステムのシステム基盤といえばオンプレミスが中心でしたが、需要の構造がクラウドに完全にシフトしています。クラウド上で最新のデジタル技術を活用することが当たり前といった状況です。

戸川: 私が所長を務める日経BP総研イノベーションICTラボでは19年11月に『DXサーベイ』という専門レポートを発行したのですが、この執筆のために多数の日本企業を取材しました。ほとんどの企業が成長のためには何らかの変革が必要だと考えており、さらに現在の変革ではデジタル技術を使うことが前提であると捉えていることが分かりました。

森田: 2~3年前までは、欧米に比べて日本企業はDXへの取り組みで後れを取っていると言われていましたし、実際、そうだったと思います。ただし、日本企業には新しいムーブメントが一気に広がるという特質があります。この1~2年で、日本企業が一斉にDXに対して本気で取り組み始めたと感じています。

戸川: 近年は、働き方改革の一環としてデジタル技術を導入する企業も増えています。「働き方改革」というキーワードが注目され始めた3~4年前には、残業時間を減らすことが目的とされたように思います。今では生産性の向上のために業務の「超自動化」を進めて、従業員がクリエーティブな仕事の時間を増やすことを目的に掲げ、その手段としてデジタル技術を活用する企業が増えていると感じます。

森田: 働き方改革の本質は、仕事の付加価値を高めることです。このためには、機械が賄える仕事はコンピューターに任せて、人間にしかできない仕事に集中できるような環境をつくることが重要です。この実現に向けて、チャットボットや機械学習のようなAI、あるいはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といったデジタル技術を導入する企業が増えているのです。この数年におけるデジタル技術の急速な進化が、働き方改革を変質させたといえるでしょう。

この続きは、以下のPDFをご参照ください。

詳細版ダウンロード(PDF: 627K)

関連リンク