鉄道運行のさらなる安全性向上へ保線業務管理システムを再構築

西日本旅客鉄道株式会社様

プロジェクト概要

背景

総延長約5000キロに上るレールなどの軌道設備をより厳格に保守し、鉄道運行の安全性を向上させる。年間40万件超の検査・工事発注の品質向上や現場負担軽減に向け、保線業務管理システムを再構築したいと考えた。

ソリューション

設備管理や輸送計画をはじめ複数分野の鉄道システム導入実績を有する新日鉄住金ソリューションズをITパートナーに選定。全ての設備に対して漏れのない検査計画を立案し、タイムリーな設備更新を行う仕組みを整備する。

成果

全設備のより網羅的な検査・評価、グループ会社への工事発注などが統合管理可能になり、さらなる安全性の向上を見込んでいる。画面の操作性やデータ集計性能の向上によって、現場担当者の負担も大幅に軽減された。

  • 業務品質向上や現場負担軽減へ保線業務管理システムの再構築を検討

    近畿・中国・北陸・九州北部の2府16県、総営業キロ5000キロにわたる鉄道運行を担う西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)。2013年に「安全考動計画2017」を策定するなど、鉄道事業における、これまで以上の安心・信頼の強化に取り組んでいる。
    同社が、在来線・新幹線合わせて80万本のレール、1300万本のまくらぎといった軌道設備の保守を支援する保線業務管理システムの刷新を計画したのは2010年である。JR西日本は、新幹線電気軌道総合試験車(通称、ドクターイエロー)などで、在来線・新幹線合わせて年間40万件超の検査を実施し、グループ会社の協力の下、補修工事を行っている。同システムでは、検査計画の立案から工事発注までの一連の業務を管理しており、業務品質向上や現場負担軽減に向けてシステムの再構築を検討した。

  • 鉄道システムの実績豊富なNSSOLを選択、スクラッチ開発を推進

    JR西日本はRFI(情報提供依頼書)およびRFP(提案依頼書)の提出を経て、最終的にITベンダー3社を対象にコンペを実施。設備管理や輸送計画、旧・保線業務管理システムといった複数分野の鉄道システムに関する導入実績を有し、工程管理力や企画提案力などに優れる新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)を改めて新システム開発のパートナーに選定した。大規模なスクラッチ開発であるため、JR西日本はプロジェクトを2期に分割。2011年12月にスタートした第1期では、旧システムの基本機能を最新技術で再構築し、全軌道設備に対する、より漏れのない検査計画の立案やよりタイムリーな設備更新を行えるようにするとともに、JR西日本とグループ会社が工事業務を統合管理可能にするなどで保線業務の品質を飛躍的に高められる仕組みを実現した。

  • 全設備のより網羅的な検査・評価などが実現、ERPとの連携も計画

    第1期開発の終了に伴い、新システムは2014年8月から運用を開始。より厳格なルールと最新の設備情報に基づいて検査計画の策定が実施できるようになる、グループ会社への工事発注が最新の契約ルールに基づいて効率的に行えるようになる―などによって、鉄道運行のさらなる安全性向上が期待されている。
    また、表計算ソフトに似たユーザーインタフェースの採用によって画面上のデータの操作性を高めるとともに、最新技術の活用によってデータ集計性能を向上させるなどで、現場担当者の負担が大幅に軽減された。
    第2期開発では、財務ERP(統合基幹業務システム)との連携強化により、グループ会社における工事用資材購入業務の利便性向上などを実現していく計画である。

コアテクノロジー

Microsoft .NET Framework、AmiNavire(アミナビール)、NSSDCクラウド

システム概要

●サーバー:APサーバー×4、DBサーバー×4(うち2台は特定機能向け)
●アプリケーション:スクラッチ開発(保線業務管理システム)

西日本旅客鉄道株式会社様

本社:大阪市北区芝田2-4-24
設立:1987年
資本金:1000億円(2015年3月31日現在)
売上高:単独8909億円/連結1兆3503億円(2015年3月期)
従業員数:単独2万7300名/連結4万6006名(2014年3月31日現在)
グループ会社:子会社142社、関連会社17社(2014年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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