プロジェクト概要
背景
・診療データを患者・疾患別に分析し、医療の質を高める必要
・コスト分析を通じて、経営効率の向上を改善
ソリューション
・散在しているデータを統合的に分析できるBIシステム
・BIのノウハウを自会の情報システム部門に移転
成果
・最新データを基に、診療コストを短時間で分析可能
・医療現場が研究用にデータ分析できるシステムを構築
変化する医療経営環境に対応できるBIシステムが必要
医療機関では2003年度からDPC(診断群分類包括評価)という分類方式に基づく入院医療費の定額支払い制度が始まるなど、経営環境が変化している。DPCをきっかけに、医療法人財団白十字会では2008年7月頃から診療データを詳細に分析できるBIシステムの構築を計画し始めた。
重視した機能は二つ。一つは、きめ細かな収益管理のため、入院と外来の両方にわたる医業の状況を正確に把握。それに基づいて、病院経営の状況を正しく示す新しい経営指標を算出すること。もう一つは、診療データを多様な分析軸で抽出して、医師や病院スタッフの研究をサポートすることだ。
加えて求めたのは、BIシステムを自由に拡張できるよう、技術ノウハウをシステム開発部門が短期間で習得することである。BIのノウハウを現場にも移転
開発パートナーとして選択したのが、新日鉄ソリューションズと日本オラクルのBI製品だった。白十字会の既存システムでOracle Databaseを活用していたことに加え、BIシステムに関する技術ノウハウの習得に関しても、新日鉄ソリューションズは柔軟に対応した。
「共同開発で段階的にノウハウを移転し、中核部分を構築した段階でシステムを引き渡すという提案をいただきました。」(システム開発室担当者)。
2009年2月、白十字会は新日鉄ソリューションズとともにプロジェクトを開始。5月いっぱいまで医療現場にヒアリングするなどで、システムの仕様をまとめた。構築は6月から始まった。サンプルデータを白十字会が用意して、プロトタイプ画面を新日鉄ソリューションズが開発するなどの分担で、2週間ごとにレビューを行った。プロジェクトが進んだところでは、リモートで開発環境に接続して、要望をすぐ反映する仕組みも作って開発スピードを上げている。医療現場が研究用にデータ分析できる環境も実現
2009年8月には原価計算機能についてほぼ満足できる動作を確認。2009年11月末にはシステムが予定通り白十字会へ引き渡された。
「HOMES BI」と名付けられた新システムは、日々データを抽出統合しており、白十字会では、実際に使いながら現場の要望に基づいて改良を続けている。2010年度内には、患者別・疾患別のコスト分析、予算・実績データのグラフ化機能、研究支援機能なども実装される予定だ。
コアテクノロジー
BIプロジェクト推進フレームワーク、BI、データウエアハウス、ETL
システム概要
●サーバー:
Windows Server 2003
●ミドルウエア:
Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition Plus、Oracle Data Integrator、Oracle Database 10g Enterprise Edition
●アプリケーション:
原価、経営、医業、研究に関する情報分析システム
医療法人財団白十字会様
設立:1951年
■佐世保中央病院
所在地:長崎県佐世保市大和町15
病床数:312
■白十字病院
所在地:福岡市西区石丸3-2-1
病床数:466 ほか