輸送品質とサービスの一層の向上へJR東日本向けタブレットシステムを開発

ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社様

プロジェクト概要

背景

JR東日本が構築するタブレットシステムの開発業務を受託して、変更時刻表の送付などに活用することで、輸送品質やサービスの一層の向上を支援する。配備するタブレットのセキュリティ強化や運用効率化が不可欠になった。

ソリューション

新日鉄住金ソリューションズの協力により、「MobileIron」を活用したMDMシステムを短期間で構築。タブレットの盗難・紛失時も遠隔的にデータを消去してセキュリティを確保し、端末設定などの運用業務を効率化する。

成果

システム開発中に行った現場の実証実験で輸送障害発生時の運転再開時間短縮などの成果を確認。2013年度中にJR東日本が全乗務員区所93カ所に約7000台のタブレットを配備し、全乗務員が携行する計画である。

  • 乗務員への変更時刻表の送付などで、輸送品質の向上を目指す

    東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)グループで鉄道に関する総合コンサルティング事業を展開するジェイアール東日本コンサルタンツ(以下、JRC)。鉄道関連施設の建設や輸送計画策定などの業務を支援するとともに「クラウドレール」という鉄道情報利用プラットフォームをグループ向けのプライベートクラウドとして提供している。
    JRCがJR東日本の委託を受け、乗務員タブレットシステムの開発を開始したのは、2012年度のことである。当時、JR東日本は悪天候などによる輸送障害時に作成する変更時刻表をファクスで乗務員の居場所へ送り、ファクス受信者が乗務員に手渡していた。JR東日本は新システムで同業務の改善を含め、輸送品質やサービスの一層の向上を目指す。新システムでは、タブレットのセキュリティ強化と運用効率化が課題になった。

  • NSSOLの協力で「MobileIron」によるMDMシステムを短期導入

    乗務員へタブレットを配備すれば、輸送障害時に時刻表を乗務員へ直接送ることが可能になるほか、運転状況の収集効率向上および車内や駅での案内におけるサービス品質の向上、マニュアル類の電子化で携帯・閲覧の機会が増えることによる輸送障害時の対応能力の総合的な向上や知識・技能の維持向上などが実現できる。
    JRCは新システムの開発に当たり、タブレットのセキュリティ強化と運用効率化に向けて新日鉄住金ソリューションズ(以下、NSSOL)の協力により各種MDM(モバイルデバイス管理)ソリューションを調査。クラウドレールに「MobileIron」によるMDMシステムを組み込んだ。MobileIronで盗難・紛失に備えながら、配備するタブレットの設定をきめ細かくカスタマイズし、業務以外で利用できないようにした。

  • 実証実験で成果、JR東日本が全乗務員にタブレットを配備

    JR東日本とJRCは本格導入にさきがけて、2012年10月から2013年1月にかけてタブレット85台を利用して首都圏の湘南新宿ラインで実証実験を実施。1月の大雪の際には、ファクスで受信した変更時刻表を乗務員に手渡す従来の方法に比べて運行再開までの時間が短縮するなどの成果を上げた。2kg以上あった乗務員の携行書類の重量もマニュアル類の電子化で約400gに削減している。
    現場での実証実験の成功を踏まえ、JR東日本は2013年5月、全乗務員のタブレット携行計画を発表。2013年度中にJR東日本の全乗務員区所93カ所にタブレット約7000台を配備する。JRCは今回開発した乗務員タブレットシステムの導入・運用・保守を通じて、JR東日本の業務改革を引き続き支援していく。

コアテクノロジー

MDM(モバイルデバイス管理)、MAM(モバイルアプリケーション管理)、タブレット、ペーパーレス

システム概要

●MDMシステムのサーバー:JRCクラウドセンター上のサーバーを利用
●モバイルデバイス管理ソリューション:MobileIron
●端末:iPad mini×約7000

ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社様

所在地:東京都渋谷区代々木2-2-6
設立:1989年
資本金:5000万円
社員数:601名(2013年4月1日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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