データ仮想化技術とAPI連携で顧客やパートナーに付加価値を提供

KDDI株式会社様

プロジェクト概要

背景

通信回線を利用している法人の顧客および販売パートナーからの問い合わせ対応業務にて、データが多様で分散しているため、提供情報の収集に時間を要することが課題であった。

ソリューション

KDDIとNSSOLは、データ仮想化技術「Denodo」を利用し、複数の社内システムから情報を収集・統合。法人顧客や販売パートナーにAPI経由で回線の運用・開通状況を提供するシステムを構築した。

成果

APIによる情報提供により、問い合わせ業務の効率化を実現した。また、今回構築したシステムを社内の業務に活用することを検討している。

通信回線の問い合わせ対応に課題

「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を掲げ、コミュニケーション社会の発展を目指すKDDI。同社が提供する法人向けイントラネットサービスは、法人顧客および販売パートナー(以下、顧客)を通して広く利用されている。
KDDIは、顧客との連携を一層強化するための施策に取り組んでいる。顧客からKDDIに回線の状況や開通の進捗などを問い合わせる際に、回答に必要なデータが分散しているため、提供情報の収集に時間を要する課題があった。
コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G グループリーダーの田中 亮大氏は、「当社には回線の情報を管理するためのシステムが複数あるため、問い合わせを受けたオペレーターは複数のシステムへ個別にログインして必要な情報を検索し、手元で整理しながら回答する必要がありました。そのため、お客さまをお待たせする場合もありました」と振り返る。
そこでKDDIは、顧客からの問い合わせに必要な情報を多数のシステムから収集して仮想データベースを構築し、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して顧客に情報提供することにした。これにより顧客は、KDDIとの契約情報を自社システムに取り込み、直接確認できるようになる。
KDDIはこのシステムを構築するために、データ仮想化ソリューション「Denodo」を選定。Denodoの導入とシステム開発を日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)に依頼した。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G グループリーダー 田中 亮大氏
KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G グループリーダー
田中 亮大氏

多種多様なDBとの接続が容易

コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G コアスタッフの栗林 秀紀氏は、DenodoとNSSOLを選定した理由について、次のように説明する。
「今回のプロジェクトでは、複数システムの情報を1つにまとめるという技術的な困難に加えて、営業部門や販売パートナー様からの多様な要望を短期間で新システムに取り込む必要がありました。Denodoには多種多様なデータベースと接続するためのインターフェースや高度なデータ収集・加工機能があり、多くの導入実績もあったことが採用の決め手となりました。また、コストや納期の面で厳しいプロジェクトでしたが、どんな無理難題であっても、それに対する提案をきちんと出してもらえたNSSOLに信頼感を持ち、開発を依頼しました」。
KDDIとNSSOLは、5つのシステムから約170万件のデータを収集してPartner APIシステムを整備。APIで情報提供する仕組みを構築し、予定通り2022年9月にサービスを開始した。
今回の開発では、顧客に提供する情報の多様化に合わせて、セキュリティ対策を最優先事項として取り組んだ。
田中氏は、「これまで回線のトラフィックや障害情報をお客さまに提供することはあったものの、契約情報など業務で利用しているデータを提供するのは初めての試みとなります。当社のセキュリティ基準は非常に厳しく、それをクリアするのに苦労しましたが、NSSOLの協力の下で実現できました」と語る。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G コアスタッフ 栗林 秀紀氏
KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G コアスタッフ
栗林 秀紀氏

今後のデータ活用にも期待

新システムの効果について、コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2Gコアスタッフの原島 桃花氏は、「お客さまからは、APIにより必要な情報をすぐに得られるようになった、データの取り込みが容易になり問い合わせ業務を効率化できた、などの声をいただいています」と語る。
回答の品質も高まった。「以前のように回答する情報量に左右されることがなく、お客さまが欲しい情報を確実かつ迅速に提供できるようになりました」と栗林氏は評価する。
KDDIは今後、機能拡張しながら、顧客の利用を増やしていく予定だ。さらに、「社内のデータを体系的に収集する基盤が完成したことで、社内のさまざまな部署からデータ分析にも活用したいという要望がたくさん出てきました。今、その用途への機能拡張を検討しているところです。NSSOLには今後も、高い技術力と突破力をもって支援してほしい」と田中氏は期待する。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G コアスタッフ 原島 桃花氏
KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代自動化開発本部 ビジネスプロセス開発部 プロセス開発2G コアスタッフ
原島 桃花氏

コアテクノロジー

●データ仮想化技術「Denodo」に関する知見、データ仮想化技術による業務データの利活用

システム概要

●データ仮想化基盤:Denodo

関連SDGs

SDGs 8

パートナーとともに社会の持続的成長と働き方改革に貢献

SDGs 9

通信事業を通じてサステナブルな産業・インフラの実現を目指す

KDDIが構築したデータ仮想化基盤の概要

・NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

KDDI株式会社様

本社: 東京都千代田区飯田橋3-10-10
創業: 1984年6月1日
資本金: 1418億5200万円
売上高: 連結5兆6718億円(2023年3月期)
従業員数: 連結4万9659名(2023年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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