PROJECT STORY 03最適な生産・物流コストを
導き出すシステムを開発せよ。

予測不能なマーケットで、
最適な生産・物流コストを導き出すシステムを開発せよ。

キリンビバレッジ様は、「午後の紅茶」や「生茶」、特保コーラという新しいマーケットを開拓した
「メッツコーラ」など、誰もが知る清涼飲料ブランドの製造・販売を行っています。
国内の総合飲料事業再成長に向けた競争力強化と強いブランドの育成が、中期経営計画の
重要な基本方針に位置付けられていました。個人の嗜好はより複雑に、
マーケットの変化は年々激しくなっています。予測がつかないマーケットの中でも、
生産から物流までの流れを最適化し、抜本的コスト削減を実現する
SCM(Supply Chain Management)[※1]システムをNSSOLが、ともにつくり上げました。

[※1]SCM(Supply Chain Management)…自社内あるいは取引先との間で受発注や
在庫、販売、物流などの情報を共有し、原材料や部材、製品の流通の全体最適を図る管理手法。

輸出のプロセスが見えないと、
海外での生産拡大の成功も見えない

  • H.S

    毎年、新しい商品が生まれては消えていく清涼飲料業界の競争は、ますます激しくなるばかりです。物流・生産・原料など様々なコストの変化に対応し、いかに収益を向上させるか、お客様の大きな経営テーマは抜本的なコスト削減でした。

  • N.T
    N.T

    サプライチェーンを最適化し、コスト・在庫を削減する狙いで、2002年に構築されたのが、旧SCMシステムでした。

  • U.Y

    しかし、旧SCMシステムは「正確な需要予測」を前提に、最適化されたコストを算出するロジックが組まれていました。清涼飲料マーケットは変化が激しく、商品も短サイクルで入れ替わります。需要予測のもととなるデータの収集ができず、正確な生産計画を立てる上で大きな課題となっていたのです。

  • T.N

    加えて、生産と物流、それぞれのコストは単独で把握していましたが、両方をトータルで把握し、最適化することはできませんでした。ここにも、改善の余地があると考えました。

  • T.T

    良い商品が開発されても、最適なサプライチェーンがなければ、清涼飲料マーケットで勝ち続けることはできません。中期経営計画をカタチにするためにも、なくてはならないシステムだったのです。

最適解エンジンを、
お客様の事業成長のエンジンに

  • N.T
    N.T

    新SCMシステムはキリンビバレッジ様の社内で「SCOPE」と名付けられ、その中核となる生産・物流計画策定部分を2007年から当社が開発を始めました。これまで私たちは、数多くのSCMシステムを構築してきましたが、今回のシステムは、ゼロから構築するスクラッチ開発の中でも、特に大規模でした。その上、物流費と製造費が最少となるように最適化問題を解く、非常に難易度の高い、挑戦的なシステムでもありました。

  • T.N

    今回のシステムには線形計画法[※2]を利用した、生産・物流コストを最適化するエンジンを用いることに決めました。この最適化エンジンには、1ヶ所の製鉄所で、最適な多品種小ロット製造を行い、最適な物流を行うという、製鉄で蓄積してきた知見が活かされています。しかし、エンジンが導き出す最適解が、必ずしも正しい訳ではありません。実際の業務に沿うように調整することは、容易なことではありませんでした。

  • U.Y

    キリンビバレッジ様のプロジェクトメンバーは、業務のあるべき姿を真摯に考え、妥協することなくそれを実現していく方々で、弊社にも高いレベルの仕事が求められました。内部での議論を深夜まで繰り返した上でお客様とのディスカッションに臨み、お客様との対話を通じてさらにアイデアを深化させていくというプロセスは、大変ではありましたが、とてもやりがいがあり、私たちも大きく成長できました。

  • T.N

    お客様も、私たちメンバーも全員が試行錯誤を続け、「最適解」に対する最適解を徹底的に追い求めました。正直、大変なことも多かったのですが「このシステムであればOKです」と言っていただけた時は、今までの苦労が一瞬で吹き飛びました。お客様にとって、最適な生産・物流コストが導き出せるロジックを突き詰めたという、まさにSE冥利に尽きる瞬間でした。
    [※2]線形計画法…いくつかの1次不等式、および1次等式を満たす変数の値の中で、ある1次式を最大化または最小化する値を求める方法。

システムの付加価値が、
お客様の競争力に

  • T.N

    SCOPEは2008年の4月から稼働し、年間数億円の生産・物流コストを削減しました。在庫日数も29日から24日に短縮することができ、生産・物流現場へのヒアリングでは業務効率が20%向上できているようです。

  • H.S

    キリンビバレッジ様の社内で大きく成功したプロジェクトとして、最も栄誉ある社長賞を受賞されました。プロジェクトが終了した後にも直接、感謝の言葉までいただけました。

  • T.T

    特に今回は「同じ釜の飯を食った仲間」という意識が強いので、自分が関わったプロジェクトでお客様が大きな賞を受賞されることは、自分のことのように嬉しいです。

  • N.T
    N.T

    社内の賞にとどまらず、SCOPEは新聞にも取り上げられました。

  • U.Y

    新聞の記事の中で「人間の経験知よりも、最適な解が得られた」と、お客様が話されているのを読み、業務を効率化しただけではなく、業務の高度化に貢献できたと実感しました。

  • T.N

    SCOPEはコスト削減や収益向上を実現しただけではありません。私たちが提供した付加価値がそのまま、お客様の競争力につながっているのです。

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