
PAST & FUTURE
NSSOLの歩み
草創期 1960年-1980年代後半
日鉄ソリューションズは、「鉄」を作る会社を母体として生まれました。
「鉄」と「IT」。あまり接点を感じない言葉ですが、製鉄業界は1960年代から鉄づくりにコンピューターシステムを導入するなど国内ではIT利用の先駆けでした。1968年 新日鉄(現在の日本製鉄)が世界で初めてオンラインリアルタイムシステムを全面的かつ総合的に使用して24時間365日稼働する製鉄所を誕生させました。
そしてITを駆使しながら日本の高度経済成長期を支えていきました。しかし、その後のオイルショックに加え、1985年のプラザ合意をきっかけとする円高の影響をうけると、新日鉄はふたつの大きな方向へと向かいます。
ひとつは、製鉄事業の「国際競争力」を高めること。海外の製鉄企業には真似できない薄く・軽く・堅い鉄の製造に取り組むとともに、ITを活用して生産性を向上させ製造コストの低減に努めたのです。もうひとつが「複合経営」です。その施策のなかで私たちはエレクトロニクス・情報通信事業として産声をあげました。
世界初、製鉄所全体の
オンラインリアルタイムシステムを構築
1968年、製鉄所全体がネットワークによって結ばれ、24時間365日動き続ける君津製鉄所の生産管理システムが稼働を始めました。巨大な製鉄所全体をオンラインリアルタイムシステムで24時間稼働させ続けることは技術的にも前例がなく、世界で初めての生産管理システムとなりました。これにより、大量の高品質な鉄を最小のコストで生産し、日本の高度経済成長期を支え続けることができたのです。
- 1968年(昭和43年)
- 君津製鉄所第1高炉火入れ(11月)
- 1970年(昭和45年)
- 八幡製鐵(株)、富士製鐵(株)合併 新日本製鐵(株)発足(3月)
- 1971年(昭和46年)
- 1000万トン体制へ
変革期 1980年代後半-2000年
1980年代後半、メインフレーム(大型汎用コンピュータ)からオープンシステム(クライアント/サーバ型)へと、ITの潮流が大きく変わりました。
私たちもこうした時代にあって試行錯誤しながらビジネスチャンスを模索し続けました。大きな転換点となったのは、オラクル、サン・マイクロシステムズなど海外ベンダーとの提携でした。
また、鉄の温度計算を応用した金融商品の値動きを予測するシステムの開発をきっかけに金融向けビジネスを切り拓いたり、鉄の生産計画などに必要とされる技術を応用することで製造業をはじめさまざまな業界でシステム構築を成功実績をあげていきました。
鉄の温度計算で、
金融商品の値動きを予測
1996年、日本で初めてデリバティブ(金融派生商品)の、将来の値動きを予測するシステムをメガバンク向けに構築しました。それまでまったく経験のない金融機関向けシステムの構築でしたが、鉄の熱伝導方程式と金融のオプションプレミアム計算で使われていた確率微分方程式の類似性に気づき、新しい分野へチャレンジをしたのです。
創業~躍動期 2001年-2009年
2001年4月、新日鉄ソリューションズが発足しました(2019年4月に現社名に変更)。
2000年代初頭にはインターネットが普及し企業活動や消費行動に大きな変革がおこりました。経済においても大きな変化がありました。なかでも消費者ニーズが多様化したことは企業に大きな影響を与え、これまでの大量生産から多品種少量生産への切り替えを迫られたのです。
当社はこのような時代の流れをとらえ、主に製造・流通業向けに大規模Webサイトの構築や、製品の需要予測システム、製品管理システムを数多く手がけました。
日本におけるクラウドの先駆者
横浜のシステム研究開発センターでは、三年後のお客様のビジネスに役立つ新しい技術を実証/検証しています。例えば、クラウドという言葉が生まれる前から、今でいうクラウドと同様の概念であったグリッドユーティリティコンピューティングの要素技術を実証/検証し、その有効性を確認していました。この実績をもとに国内のIT企業では、いち早くクラウドサービスの本格提供を開始しました。
- 2007年(平成19年)
- クラウド技術を活用した当社サービス「absonne」を提供開始
展開期、そして未来へ 2010年-
日鉄ソリューションズは、高度経済成長を支えた製鉄業で培ったIT活用力を他業種へ展開し、日本の成長に貢献してきました。私たちは未来に向け、受け継いできたチャレンジスピリットでこれからも高度IT活用に積極的に取り組みながら着実に歩み続けてまいります。ここでご紹介する最先端技術にも、厳しい製鉄の現場を支え続けてきた技術者たちの魂が込められています。
AR(拡張現実感)技術による、
遠隔作業支援
ゲームやエンターテイメントで活用されているAR技術ですが、システム研究開発センターがAR技術の実証/検証に着手したのは2008年のことでした。現在ではスマートグラスを通して遠隔地から作業指示できるサービスとして提供しています。
活用シーンとしては、例えば設備メンテナンス。今、設備メンテナンスの現場では熟練技術者が減少する中で、次の世代への技術伝承が課題になっています。これまでは熟練技術者が若手技術者に1対1で指導してきたことが、熟練技術者の不足により継続が難しくなってきました。こうした課題に対しAR技術を活用することで、熟練技術者が管理センターから、複数のメンテナンス現場の作業員に指示/指導することが可能となります。
鉄の生産計画で、
Jリーグの試合日程を組立
1993年に発足したJリーグ。公式戦開催日程の計画には、2014年以降、製鉄の生産計画などで活用された、「組合せ最適化技術」が活かされています。Jリーグの試合日程を計画するには、ホームとアウェイの連続回数、グラウンドが使える日程、平日と土日のホームでの開催など、すべてのチームに公平な試合開催日程を算出する必要があります。様々な制約条件をクリアする「組合せ最適化技術」により、それまでは2時間ほどかかっていた計画が、3分程度で出来るようになりました。
ローカル5Gビジネスを開始
2020年、日本国内における第5世代移動通信システム(5G)の本格商用サービスの立ち上がりにあわせ、SIerとしてはいち早く、ローカル5Gビジネスの提供を開始しました。労働人口の減少やベテランのリタイヤなどを背景に、AIやIoTなどの高度IT活用が進むなか、超高速・大容量通信の現場適用が大きな鍵となります。
現場状況の4K/8K映像でのリアルタイムな把握、超低遅延による大型機械の遠隔操作、多数のセンサーから瞬時にデータを集約し、高度な予防保全・故障予知につなげるなどが可能となります。ローカル5Gの現場適用により、次世代の「モノづくりの現場」を実現してまいります。
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