2行共同で融資を電子契約化 連携と共通化で導入の効率アップ

株式会社めぶきフィナンシャルグループ様

プロジェクト概要

背景

グループ戦略として生産性向上のための構造改革を推進するなか、その一環として住宅ローンと事業性融資の契約を電子化し、契約手続きの迅速化とペーパーレス化を目指した。

ソリューション

グループ内の足利銀行と常陽銀行が共同で電子契約化プロジェクトを立ち上げ、NSSOLの金融機関向け電子契約サービス「FINCHUB@absonne」を導入した。

成果

両行の協働とNSSOLのプロジェクトマネジメントにより、3者が一体感を持って要件定義からシステム導入までを円滑に進め、導入期間と工数を大幅に抑えた。初年度に9割以上の電子契約化を達成。

融資契約業務の効率化が課題に

足利ホールディングス(足利銀行の持ち株会社)と常陽銀行の経営統合により2016年に発足しためぶきフィナンシャルグループでは、足利銀行と常陽銀行が2022年4月に住宅ローンと事業性融資の電子契約サービスを開始した。
同サービスの検討を開始した当時は新型コロナウイルス禍の最中にあり、両行は顧客と非対面で効率的・効果的な営業を推進していく必要があった。また、グループの中期経営計画やサステナビリティ方針に基づき、生産性向上に向けた構造改革やペーパーレス化に取り組んでいた。融資の電子契約化は、これら課題解決や施策の一環として進められた。
両行が導入したのは、日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)の金融機関向け電子契約サービス「FINCHUB@absonne(フィンチューブ・アット・アブソンヌ)」だ。金融機関での豊富な導入実績に加え、住宅ローンと事業性融資の両方に対応可能であること、さらに関連法令への準拠状況やデータセンターのセキュリティーレベルなどを総合的に評価して選定した。
常陽銀行事務管理部事務指導グループ主任調査役の内田 勝氏は、「ユーザー側でUI(ユーザーインターフェース)をカスタマイズできる操作性の良さや機能面のメリットだけでなく、複雑な融資業務に関するNSSOLの理解の深さも決め手となりました」と語る。

株式会社足利銀行 DX戦略室 上席参事役 佐川 一行氏
株式会社足利銀行 DX戦略室 上席参事役
佐川 一行氏

同時導入のシナジーを活かす

このプロジェクトは、足利銀行と常陽銀行が共同で推進した。両行は同じ共同利用型の勘定系システムを導入しており、業務プロセスやシステム環境に共通する部分が多いためだ。足利銀行DX戦略室上席参事役の佐川 一行氏は、「常陽銀行と足利銀行では、経営統合の段階から部署ごとに業務の統一化や共同化を議論してきた経緯があります。両行とも電子契約に関して同じ課題認識を持っていたので、システムの要件定義や開発を共同で進められると判断しました」と振り返る。
プロジェクトの作業は、コロナ禍によりオンライン会議を中心に進められた。しかし、「両行とNSSOLの3者が一体感を持ってプロジェクトを進められました。これは、NSSOLが強いリーダーシップと課題対応力をもってプロジェクトマネジメントを実践してくれた結果です」と佐川氏は評価する。
両行の緊密な連携によるシナジー効果も発揮された。「電子契約手続きのルールやマニュアルを作成する際、両行で協働し、成果を共有したことで、体感的に半分の労力で導入できたと感じています。それぞれの銀行で手続きが一部異なる部分もありましたが、どちらが効率的かを検討して良い方に統一し、業務改善にもつなげられました」(内田氏)。

株式会社常陽銀行 事務管理部 事務指導グループ 主任調査役 内田 勝氏
株式会社常陽銀行 事務管理部 事務指導グループ 主任調査役
内田 勝氏

研修の徹底で電子契約9割以上に

電子契約サービスの開始から約1年後の2023年3月末時点で、電子契約の利用率は足利銀行、常陽銀行とも90%以上と、いずれも高い水準に到達している。営業店での研修を徹底したことが奏功した。「マニュアルと実際の操作をしっかりと説明したほか、要望事項を丁寧に拾い上げ、きめ細かく対応したことにより、原則としてすべての案件を電子契約で行うとの意識が醸成されました」(内田氏)との成果を得た。
顧客からは、契約にかかる時間の短縮、費用面で好評価を得ている。営業店でも「融資契約にかかる時間を大幅に短縮できただけでなく、数十年にわたる紙の契約書の管理から解放されたメリットも大きい。書類の紛失といった人為的なミスを未然に防げますし、管理コストの圧縮にも効果的です。お客さまと銀行の双方にとってWin-Winのサービスと捉えています」と佐川氏は説明する。

FINCHUBの適用範囲を拡大

現時点では、融資管理システムとのデータ連携において、一部手作業のデータ入力が残っている。しかし、今後はFINCHUBとのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携により解消していく予定だ。さらに、まだ電子化されていない特殊な契約も、FINCHUBで順次カバーしていく構想がある。
佐川氏は「NSSOLにはシステムの安定稼働に協力してもらいつつ、豊富な導入実績を活かしてFINCHUBのさらなる機能追加を進めてほしい」と期待する。

コアテクノロジー

●電子契約に関する知見、電子契約サービス「FINCHUB@absonne」の導入・活用ノウハウ、プロジェクトマネジメント

システム概要

●電子契約サービス:FINCHUB@absonne(フィンチューブ・アット・アブソンヌ)

関連SDGs

SDGs 8

地域中核企業との関係強化により地方創生を支援

SDGs 13

電子契約によるペーパーレス化で環境負荷低減

FINCHUBによる融資契約(事業性・住宅ローン)の概要

・NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutions、FINCHUB@absonne(ロゴ)、FINCHUB/フィンチューブ、absonne/アブソンヌは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

株式会社めぶきフィナンシャルグループ様

本店: 東京都中央区日本橋室町2-1-1
設立: 2008年
資本金: 1174億円(2022年1月現在)
グループ会社: 足利銀行、常陽銀行など16社(2023年4月1日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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