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2018-12-03 DX 働き方改革
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【対談】現場との共創で「Cogmino(コグミノ)」が進化

~事業部での活用事例の紹介~

越智 隆浩さん(左)、小野 卓彦さん(右)

企業内にある膨大な情報の中から欲しい情報を探し出すことはとても大変なことです。簡単に情報を探し出せるシステムが欲しい、このような悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。その手助けができるのが「Cogmino」です。Cogminoは、当社のシステム研究開発センター(以下 シス研)がAI技術を駆使して開発した概念検索システムです。

<Cogmino紹介動画(1分29秒)>

当社の金融ソリューション事業本部のあるチームでも情報共有で悩みを抱えていました。そこにCogminoを導入し効果を得たことがきっかけでCogminoの利用が事業本部全体に広がりました。シス研と事業本部がコラボしてつくりあげたユースケースを越智 隆浩さん(Cogminoの開発者)と小野 卓彦さん(金融ソリューション事業本部)が紹介します。

NSSOLの現場でCogminoを採用したワケ

越智:小野さんがCogminoを使いたいと声をかけてくれたのは、事業本部の勉強会でCogminoの紹介をした時でしたね。

小野:そうです。2016年ごろのことだと思います。Cogminoの話を聞いてすぐに自分が携わっているシステムの開発・保守の現場で使えると思いました。

越智:どんな問題があったのか改めてお話しいただけますか?

小野:金融システムの開発・保守プロジェクトは、期間も規模も大きいのが特徴で、10年以上続く案件もざらです。その間、メンバーのローテーションがありますから、ずっと同じメンバーではありません。ドキュメント量も何十万件という単位で積み重なっていて、たまに何年か前にさかのぼってその時の要件はなんだったのかとか、設計はどうだったのかとか振り返るときに情報を探し出せないのです。知る人ぞ知る場所に隠れていたり、議事録やどこかのチケット※1の中にあったり。

越智:長年に渡って組織内に蓄積された膨大なドキュメントの中から今、必要としている何らかの情報や手がかりを得るのにCogminoが最適だったということですね。

小野:そうです。

※1:タスク管理システムで管理されている情報

Cogminoの使い方は簡単!情報共有だけでなく人材育成も

小野:最初はあるプロジェクトの40名ほどのチームに導入しました。ただ当初メンバーには、Cogminoを使うメリットや理由が伝わらなかったし、実際の使い勝手もあまりよくなかった(笑)

越智:Cogminoの基本コンセプトは「概念拡張」で、当初私たちがあまりにも強くそれを打ち出してしまったことがわかりにくかったようです。「人間の知的作業をどのようにITで支援できるか」をテーマとしているCogminoの開発者にとっては、「人がイメージする抽象概念を具象概念=具体的な専門用語に拡張して検索してくれる」というCogminoの特徴を端的に表現した機能名のつもりでした。しかし、現場メンバーにとっては聞き慣れない言葉でしたし、そもそも自分たちの業務課題と「概念」がどう結びつくのかピンと来ない。みんな「で、このツールを使うと、何がどう改善されるの?」という反応でしたね(笑)

小野:現場メンバーは業務で日々忙しくしています。そのため簡単に使えるツールでないと、そもそも最初の導入時点で使われない、あるいは一度使っただけで離反することがよくあります。実際、開発当初のCogminoのUIは、デザインも文言もCogminoの開発者寄りで、率直に言えば、メンバーが使いたいと思える仕様ではありませんでした。そこでルック・アンド・フィールを、誰でもこんな機能があるんだと瞬時にヒラめくような形に改善してほしい、と伝えました。

越智:要望を受けて徐々にUIを改善していきました。また、当初は一足飛びに新規性のある機能にフォーカスしがちでしたが、まず横断全文検索システムとしての基本的な機能を充実させることが現場への定着には欠かせない、という学びも得ました。

小野:越智さん率いるCogmino開発チームと現場メンバーの間で定期的な打合せを行い、2週間スパンで方針見直しと機能改善を繰り返しましたね。

越智:シス研だけの思いで開発していると、今回の課題のように現場のニーズからズレていることが少なからずあります。そのズレは現場に入ってみなければわからないことなので、開発の早い段階で現場と共創していくことの重要性を改めて実感しました。

小野:Cogminoは本当に便利です。使い方が簡単で、情報を取り込むのに特に何かする必要がないんですよね。普段使っているフォルダに置いてあるドキュメントをCogminoが勝手に検索可能にしてくれる。

越智:まだまだ改良の余地はありますが、そういってもらえると嬉しいです。

小野:現場のプロマネはすごく喜んでいつも使っていました。そこは十分に効果があったと思います。それに概念拡張みたいな機能があると、いきなりプロジェクトに入ってきた新人や、新人ではなくてもこの業務に精通したいと思っているメンバーも、その業務特有の言葉を拡張して検索できるので誰かに教えてもらわなくても簡単に情報を見つけることができます。育成という面でも役に立ってくれています。

Cogminoの検索結果画面

ひとつの現場から事業本部に利用を拡大

越智:その後、小野さんの事業本部全員が使えるツールとして利用を拡大してもらいました。エンジニアに限らず、営業や管理部門など総勢470名に毎日使ってもらっていますが、なぜ事業本部まで範囲を広げようと思ったのでしょうか。

小野:情報格差を解消することでみんなの業務を効率化したかったからです。部長など上層部には社内の情報はたくさん入ってきますし、ナレッジという点ではベテラン社員がたくさん保有しています。でもそういう人たちの数は限られています。一方、各現場にいるたくさんの社員は必要な情報を得るツテが限られていているため困っているような状態でした。この格差をなくしたかったのです。

越智:なるほど。まさにCogminoが解決を狙っている「誰に、何と聞けばいいのか分からない」という課題に合致しますね。情報共有をするために新しいことを導入するのに反対や抵抗はありませんでしたか?

小野:ひと昔前のナレッジマネジメントのように、情報共有のために手間をかけて情報を発信していきましょうというやり方では確かに無理がありますが、Cogminoは手間がほとんどかからない。でも効果は大きい。これは絶対にやるべきだという確信があったので現場を巻き込みました。

越智:使ってみての反応はどうでしたか?

小野:最初こそ、価値を感じてもらうために事業本部長など上層部はもちろん、社員にも情報をCogminoの検索対象にさせてほしいとお願いして回りました。検索できる情報が増えると検索結果も幅が出ますので、メリットを感じてもらえるという好循環になります。今では、事業本部内の営業やバックオフィスの情報から設計情報や技術情報まで検索できるようになりました。

越智:もちろんすべての情報をオープンにはできないので権限設定の機能を開発するなど、ユーザーのみなさんの声を反映してより使いやすいものに進化させています。

製品化に際して事業部門との共創は必要不可欠

小野:さらにお客様からも、Cogminoを導入したい、との声をいただいています。そこで今年度中を目標に製品化する計画があります。このような製品化というフローにおいても、シス研と私が所属する金融ソリューション事業本部などのような事業部門の協力は必要不可欠だと思います。

越智:実際に製品として販売するためには、販売後の保守体制や課金モデルなど、ビジネスとして乗り越える課題がいくつもあります。そこはまさに事業部門の力をお借りしたいです。

小野:私のお客様は金融機関ですが、ほかの業界あるいは個々の企業でも情報共有という点で同じような悩み、あるいは、私たちが思いもよらないような悩みをお持ちかもしれません。

越智:そうですね、この記事をご覧になってご興味をお持ちになられたらぜひお問い合わせください。

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