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2018-10-18 サステナビリティ
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JAXAの筑波宇宙センターで日本宇宙少年団が開催した宇宙をテーマにしたイベント

~子どもたちの夢を育む「つくばスペースキャンプ2018」でプログラミング講座実施~

「つくばスペースキャンプ2018」に参加した子どもたちと

日本における宇宙開発の中心地である筑波宇宙センター。JAXAの中心拠点である同センターで、公益財団法人日本宇宙少年団(以下、YAC)は夏休みを利用し、子ども向けのイベント「つくばスペースキャンプ2018」を開催しました。

3泊4日で開催された同キャンプには、全国各地から30名ほどの小中学生が参加。宇宙飛行士の訓練を体験したり、エアロケットを自分の手で作って飛ばしてみたり、2020年に初打ち上げが予定されているH3ロケットのプロジェクト担当者の話が聞けたり。宇宙に関するさまざまなホンモノ体験プログラムが行われました。

NSSOLは特別協力として、ロケット打上げから国際宇宙ステーション(ISS)到達を目標に、プログラミングツール「K3Tunnel(ケイサントンネル)」を使ったプログラミング講座を実施しました。

今回の「広報ノート」では、スペースキャンプを主催するYACとNSSOLのメンバーがキャンプの様子を振り返えりました。

(参考)
YAC公式サイト
NSSOLプレスリリース:新日鉄住金ソリューションズが「つくばスペースキャンプ2018」に特別協力。ロケット打ち上げから国際宇宙ステーション到達を目標としたプログラミング講座を提供

目標や夢に向かって努力し続ける力を育む

佐々木:YACが「つくばスペースキャンプ」を開催する目的や、子どもたちに伝えたいことをお聞かせください。

安田:YACは、創設以来30年以上にわたり青少年の人材育成に取り組んでいる団体です。子どもたちに目標や夢を持ってもらいたい。そしてその目標や夢に向かって挑戦し続ける力を育んでもらいたい。このような想いで、毎年開催し続けています。

佐々木 公佳さん

NSSOL社会公共ソリューション事業部(取材当時)
佐々木 公佳さん

安田 みお様

日本宇宙少年団
安田 みお様

遠藤 守様

日本宇宙少年団
専務理事 遠藤 守様

遠藤:これがYACの理念ですから、特に宇宙に関する専門家を育成したい、というわけではないんです。宇宙はあくまで素材であり、子どもたちの興味や関心をかきたてるための格好のテーマという位置づけです。その好奇心をかきたてるためには本物を見たり、触れたり、といったリアルな体験が重要だと私たちは考えています。だからこそ、JAXAの施設、筑波宇宙センターを学びの場とするスペースキャンプは、よそでは体験できない格別なキャンプなんです。
筑波宇宙センターには入り口に50mを超えるH-IIロケットの本物の機体が置いてあったり、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし宇宙空間でさまざまな実験を行っている「きぼう」を24時間体制で見張っている、管制室などがありますからね。

安田:筑波宇宙センターは敷地も広大で、東京ドーム約11個分もあります。バスで向かうだけで、子どもたちはもうわくわく。入り口のロケットを見た瞬間、テンションは一気に高まり、目がキラキラと輝いています。

稲田:チームワークを育むことも同キャンプの主旨です。参加者の住んでいる地域は全国各地。今回のキャンプでは北は東北、南は九州から参加者が集まりました。年齢も小学校生から中学生までまちまちです。男の子も女の子もいます。
「宇宙が好き」という共通のテーマのもとに集まった、これまでお互いを全く知らなかった子どもたちが、つくばスペースキャンプをとおしてさまざまな課題やミッションをチームとして取り組んでいく。すると、これまで気づいていなかった自分を発見したり、仲間と共感していきます。そうした経験を経て本物のチームワークが育まれると、私たちは考えています。

稲田 伊彦様

日本宇宙少年団
理事 稲田 伊彦様

プログラミング講座のミッション 宇宙ステーションにたどりつけ!

プログラミング講座

K3Tunnel/ケイサントンネル 「宇宙ステーションへの旅」の画面

佐々木:私と武井が所属する社会公共ソリューション事業部では、宇宙関連のお客様との事業も手がけていて、お三方が長年勤められていたJAXA様も、主要なお客様でいらっしゃいます。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化される背景もあり、なにか、宇宙とプログラミングをかけ合わせたイベントを手がけたいなと。このような想いで、今回、お声がけさせていただきました。

稲田:ちょうど、タイミングもよかったですよね。H3ロケットの試験機が2020年に打ち上げ予定なので、今まさにJAXAや私たちも、ロケットをテーマにしたイベントや活動に力を入れていますから。そして今回のキャンプのテーマもロケット。まさに、ドンピシャの内容でした。

遠藤:テーマがロケットで一貫していたこともあり、NSSOLさんのコンテンツだけでなく、他のプログラムでも子どもたちは興味を持って、取り組んでいました。

プログラミングの様子1
プログラミングの様子2

佐々木:私たちはキャンプが終わったあと、子どもたちにアンケートをとりました。その声を見ても、ほとんどの子どもたちに満足してもらえました。

武井 丈治さん

NSSOL社会公共ソリューション事業部
武井 丈治さん

武井:制作の際、子どもたちの学習レベルに合わせて、専門用語をなくして簡略化した計算式で制作することも、できなくはありませんでした。でも、そうはしてこなかったんです。先の「ホンモノ」という話にも繋がりますが、宇宙を目指すミッションにおいて、例えば「重力加速度」といったキーワードは、外せないワードであり知識です。講座に参加する小学生にはまだ難しい概念ですが、難しくても最低限の専門用語は盛り込みました。ただその代わりに、学習をはじめる前の説明の段階で、登場する専門用語を子どもたちがわかるように噛み砕いて説明するなどの配慮をしました。

安田:子どもたちの中には既にビジュアルプログラミングに詳しい子もいましたから、その子らにとっては、専門用語を理解したことで、かなり楽しめるプログラムだったようです。

プログラミングの様子3


努力すれば夢はかなうことを、子どもたちに伝えたかった

佐々木:アンケートの中には「プログラミング教室に行くより楽しかった」。こんな嬉しいコメントをくれた子どももいました。ちなみに武井さんは、宇宙に興味を持つ子どもたちと触れ合いたいとの強い想いがあり、今回のプロジェクトに参加されたのですよね。

遠藤:私は42年間。他のメンバーも長年JAXAをはじめとして宇宙関連の組織で働いてきましたが、武井さんも宇宙関連の事業に長く携わっているんですよね。

武井:幼い頃から宇宙が大好きで、大人になったら宇宙に関する仕事に就きたいと、強く想っていました。大学で航空宇宙学を学び、アメリカに留学した経験もあります。おかげさまで社会人となってからも宇宙に関する仕事一筋です。今はNSSOLで人工衛星の地上システムの仕事に携わっていて、実際にロケットの打ち上げにも衛星管制室で何度も立ち会ってきました。

遠藤:まさに私たち宇宙少年団の理念である、夢を持ち続け、そして叶えたわけですね。

武井:はい。今回のキャンプに参加している子どもたちの多くは、幼い頃の私と同じだと思ったんです。だからその子どもたちの前で、夢はあきらめず挑戦し続ければ叶えられることを、どうしても伝えたかったんです。

講義の様子

遠藤:そうですね。今回武井さんの熱い思いは、大変よく子どもたちに伝わったと思います。

安田:実際、キャンプに参加した子どもの中からJAXAの職員になるケースもありますね。またJAXAに限らず、武井さんのように、宇宙に関連したお仕事に携わることも多いようです。

稲田:宇宙というとどうしてもロケットや宇宙飛行士が注目されがちですが、実際にロケットを飛ばしたり、人工衛星を正しく制御するには、武井さんのような技術者のサポートが必要不可欠ですからね。いわゆる、縁の下の力持ちが。

次は火星を目指すプログラムをスマホで

安田:今の稲田さんの話に関連するのですが、今回のキャンプを通じて、気づいたことがありました。キャンプのプログラムでも、ロケットを飛ばす、プログラミングを使って制御する、といった活動プログラムを分けるのではなく、実際に自分が製作したロケットの飛行を飛ばす前にシュミレーションできるプログラムがあればいいな、と。実現すれば、もっと子どもたちの好奇心は高まると思うんです。

武井:そうですね。子どもたちとはまた触れ合いたいので、がんばって、そういった実際に自分たちで作って飛ばすロケットを題材にしたプログラムが作れるかどうかも検討してみます。ちなみに、実は今回のミッションは宇宙ステーションをゴールとしていましたが、当初は月や火星まで行くことをゴールにしようとする話もあったんです。

佐々木:月や火星だと、道のりが遠すぎてあまりにも学習レベルが高くなってしまうので、今回はやめておいてロケットの打ち上げだけにした、という経緯があります。

稲田:先ほども話しましたが、2020年にH3ロケットが打ち上がるということで、ロケットに関するテーマは、今とても盛り上がっています。そして打ち上げが近づくにつれ、もっと盛り上がるでしょう。

安田:ですから私たちのキャンプやイベントでも、2020年まではロケット関連のものが増えると考えています。もちろん同じ内容だと子どもたちは飽きてしまいますから、テーマは同じだけれど、見せ方や内容を毎回アレンジしようとも思っています。

遠藤:そういった観点で考えれば、月や火星に行くミッションを行えるプログラミング学習はとても興味があります。ぜひこれからも、一緒に協力してもらえればと思います。

集合写真
広報・IR室 エキスパート 奥村 康子

プログラミング講座当日は台風がきていましたが、子どもたちは元気いっぱいでプログラミングに挑戦してくれました。

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