科学衛星データ処理システムの基盤を更新 仮想化技術によるサーバー統合と、可用性の高いストレージシステムを実現

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)様

プロジェクト概要

背景

・膨大なデータを、365日24時間安定して処理できるシステム
・データを安全、かつ容易に保存できるストレージ

ソリューション

・仮想化技術を用いてサーバーを統合
・NAS/SAN両用で、可用性の高いストレージを採用

成果

・FTPでのデータ転送速度が従来の2倍に
・運用保守体制の強化でより一層高度なデータ処理体制を実現

  • 研究データを安定して世界中に公開できるシステムが絶対条件

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究本部では、科学衛星の運用と観測データの収集・解析を行っている。同本部が2003年に導入した従来のシステム基盤は、データ量の増加などのため、一層の高い性質と安定性が必要になっていた。
    「収集したデータを世界中の研究者へ公開するため、24時間365日にわたり安定稼働するシステム基盤を求めました」(宇宙科学研究本部教授)
    またデータの保存先を磁気テープから、管理が容易なメディアに移行することも検討。データはわずかの欠損も許されないため、新基盤では確実にデータを保護できる仕組みが必要であった。
    JAXAは、従来は一体だったシステムを「科学衛星運用システム」と「科学衛星データ処理システム」に分離し、個別の入札対象にした。このうち「科学衛星データ処理システム」の構築を担当することになったのが新日鉄ソリューションズである。同社にはJAXA地球観測研究センターのデータ解析システムを構築した実績があり、さらにハードウエアを自由に選択できる点も高く評価された。

  • サーバー統合を仮想化技術で実現、ストレージは740TBのNAS

    新日鉄ソリューションズが落札した基盤は、740テラバイトもの大容量NAS(ネットワーク接続ストレージ)と、30台のサーバーコンピュータなどで構成される。
    サーバーはSolaris、Linux、MacOS用をそれぞれ用意し、特にSolarisサーバーは仮想化技術を用いて統合できるようにした。
    ストレージには、NASとしても、SAN (ストレージエリアネットワーク)としても利用できる製品を選定。ファイル公開時にはPCから利用しやすいNASとして、JAXA内のサーバーからはSANとしてアクセスできる。また、2台構成のディスクバックアップを採用し、データ保護の信頼性を高めた。
    新しい基盤の構築は、2008年4月から始まり、予定通り完了。同年9月から稼働を開始している。

  • FTP転送速度が従来の約2倍になり、業務効率が大幅に向上

    新基盤の性能向上効果はめざましく、ファイル転送テストでは、速度が従来の約2倍になった。
    運用保守では、新日鉄ソリューションズの5人の常駐スタッフが同本部のリクエストに迅速に応えている。
    「今後は、運用保守スタッフと密接にコミュニケーションしながら、安定したシステムを運用すると同時に、より高速なシステムへ拡張したいと考えています」(宇宙科学研究本部教授)

コアテクノロジー

サーバー統合、ストレージ統合、NAS、SAN、仮想化

システム概要

●サーバー
 30台(Solaris、Linuxなど)
●クライアント
 4台
●ストレージ
 NetApp FAS6080A×2
●ネットワーク機器
 10台

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)様

本社:東京都調布市深大寺東町7-44-1
創立:2003年
常勤職員数:2173名(2008年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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