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運行系リアルタイムデータ基盤構築 新サービスでの利用を容易に

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様

プロジェクト概要

背景

JR西日本は、リアルタイムな運行情報の利活用により顧客・従業員向けサービスを向上させるため、鉄道運行系リアルタイムデータ基盤の整備を計画した。

ソリューション

エリアごとに複数ある運行管理システムのデータをリアルタイムに統合できるデータ仮想化基盤「Denodo Platform」を採用し、「鉄道運行系リアルタイムデータ基盤」(IPD基盤)を構築した。

成果

IPD基盤により、リアルタイム列車運行情報の活用が容易になった。スマホアプリへの列車遅延情報の配信や検測用車両の走行履歴管理などに活用されている。今後、利用領域をさらに拡大していく計画。

厳格管理される情報の活用に課題

西日本を中心に鉄道事業を運営する西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)は、新たなデジタルサービスを創出するための基盤として「鉄道運行系リアルタイムデータ基盤」(以下、IPD基盤)を構築した。
IPD基盤で扱うのはリアルタイムの列車運行情報だ。「どの列車が今どこを走っているのか、時々刻々と状況が変わっています。この情報を顧客や当社従業員に即時提供するサービスを通じて、顧客体験や従業員体験を再構築することがIPD基盤の狙いです」と鉄道本部イノベーション本部鉄道システム室業務革新(企画)課長の真嵜 弘行氏は語る。
ただし、これを実現するうえで、解決すべき大きな課題があった。それは、列車の運行を制御・管理する「運行管理システム」から、いかにセキュリティを担保しつつ、データを即時に集約するか、という点だった。
運行管理システムは列車の安全な運行に直接かかわる重要なシステムなので、セキュリティ上、外部から運行管理システムに直接アクセスするには、セキュリティインターフェースを接続システムごとに構築する必要がある。そのため従来は、運行情報を利用するサービスを実現するために多大な工期と工費を要していた。さらに、運行管理システムは基本的に「環状線」や「京都線と神戸線」といった線区(路線の管理単位)ごとに、複数に分かれて運用されている。「運行管理システムは、線区によって構築したベンダーが異なっていたり、同じベンダーが構築した場合でも線区ごとに仕様が若干違っていたりします。IPD基盤の構築にあたって、データ構造が異なる多数のシステムから、いかにリアルタイムにデータを統合するかが課題でした」と鉄道本部電気部信号通信課(システム)の大上 航氏は述べる。

西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 イノベーション本部 鉄道システム室 業務革新(企画)課長 真嵜 弘行氏
西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 イノベーション本部 鉄道システム室 業務革新(企画)課長
真嵜 弘行氏

瞬時にデータを統合するDenodo

JR西日本は複数の解決策を検討した結果、データを複製することなくリアルタイムに統合できるデータ仮想化基盤「Denodo Platform(以下、Denodo)」を採用した。「各線区の運行管理システムから列車の運行情報をいったん出力しておき、それらの情報をDenodoで仮想的かつ瞬時に統合することでIPD基盤を構築することにしました」(真嵜氏)。
開発パートナーには日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)が選ばれた。国内でDenodoの導入実績が最も多く、JR西日本における輸送計画システムの構築などで豊富な実績を持つことが評価された。
IPD基盤の構築は2021年にスタートした。そのプロジェクトの様子について、鉄道本部イノベーション本部鉄道システム室システム企画の芹澤 康浩氏はこう語る。「NSSOLは、当社の鉄道業務も非常によく理解していたので、細かな課題にまでよく気づき、その解決を支援してくれました。運行管理システムを開発したベンダーとの各種調整も含め、プロジェクト全体を見てマネジメントしてくれたおかげで、予定通りに開発を進めることができました」。

西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 イノベーション本部 鉄道システム室 システム企画 芹澤 康浩氏
西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 イノベーション本部 鉄道システム室 システム企画
芹澤 康浩氏

運行情報の活用が飛躍的に向上

IPD基盤は2022年12月に完成し、顧客や従業員に向けたサービスを通して大きな成果を上げている。
その一つは、JR西日本が提供する移動生活ナビアプリ「WESTER」に対する列車運行情報の提供だ。列車の発着、遅延に関する情報をIPD基盤からリアルタイムに提供することで、鉄道利用者の利便性が大幅に向上した(2023年6月から一部線区を対象にサービスリリース)。
また、線路設備データなどを取得する事業用車の走行履歴管理にもIPD基盤データの活用が予定されている。「当該車両が運行当日、実際にどの線路を走行して検査したのか、その履歴情報を従来のやり方で入手しようとしたら、特に運行計画に変更があった場合には相当な時間とコストがかかります。しかし今後は、必要なデータをすべてIPD基盤から取得できるため、低コストでシステム構築ができ、業務負担なく走行履歴を管理できるようになる」と芹澤氏は語る。
運行情報の活用が容易になったことで、JR西日本は今後も新しいサービスを創出していく考えだ。真嵜氏は、「顧客体験や従業員体験を向上させるために、大きな構想を描いています。この構想を実現するために、これからもNSSOLには、デジタル技術と鉄道業務の幅広い知見をもって支援してほしい」と語る。

西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 電気部 信号通信課(システム) 大上 航氏
西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 電気部 信号通信課(システム)
大上 航氏

コアテクノロジー

●鉄道事業に関する知見、データ仮想化基盤「Denodo Platform」の導入・活用ノウハウ

システム概要

●データ仮想化基盤:Denodo Platform

関連SDGs

SDGs 8

デジタル技術の活用により、従業員体験を再構築する

SDGs 11

鉄道事業を通じて地域振興と街づくりを支援する

JR西日本が構築したIPD基盤の概要

•NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
•その他本文及び図表内に記載の会社名及び製品名は、それぞれ各社の商標又は登録商標です。

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)様

本社: 大阪市北区芝田2-4-24
設立: 1987年4月1日
資本金: 2261億3600万円
営業収益: 1兆3955億円(2023年3月期)
社員数: 連結4万4897人(2023年3月31日現在)

※ユーザー事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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